比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

5 / 824
5作目、突入!

噂とは一体……?


噂とメニュー作り

ーーーーーー

 

 

「ねぇねぇ知ってる?昨日からこの学園に配属されたトレーナーが居るんだって!」

 

「えぇ〜何それ?そんなの珍しくも何ともないじゃん。トレーナーが来る事なんて今時期普通でしょ。それがどうしたの?」

 

「それが普通のトレーナーじゃないんだって!何でも、あのビワハヤヒデ先輩がそのトレーナーが作ったメニューを手帳に丸写しする程だったんだって!」

 

「えぇっ!?あのビワハヤヒデ先輩が!?」

 

「あっ、それ私も知ってる!それに私チラッと聞いちゃったんだけど、多分私のもそのトレーナーだと思う!」

 

「何々!?何聞いたの!?詳しくっ!!」

 

「実は昨日、会長とエアグルーヴ先輩が一緒に歩いている時に話してたんだけど、こんな会話してるの聞いちゃったの!」

 

 

ーーー回想ーーー

 

 

「あっ、会長と副会長だ!今日も凛々しいなぁ………」

 

 

ルドルフ『今年は中々見所のあるトレーナーが来てくれたとは思わないか、エアグルーヴ?』

 

エアグルーヴ『……まぁ、多少なりは。しかし、トレーニングでそれが発揮できるかどうかとは、また別問題です。』

 

ルドルフ『そうかな?これは私の憶測でしかないが、彼なら私達の癖やちょっとした仕草も見逃さないと思う。もし私が彼にスカウトされたら、理由は単純でも受けてしまうかもしれない……いや、こちらからお願いしてしまうかもしれないな。』

 

エアグルーヴ『!?か、会長がですか!?』

 

ルドルフ『あぁ。君にも彼の魅力は伝わっていると思っていたのだが……果たしてどうなのだろうな?』

 

エアグルーヴ『………』

 

 

「……嘘、あの会長が?」

 

 

ーーー回想終了ーーー

 

 

「って言ってたの!!会長もあの人にスカウトされたら受けるかもって!!」

 

「嘘っ!!?それって本当に凄いトレーナーって事じゃん!!」

 

 

比企谷八幡という名前は知られてはいないが、昨日から来たという新人トレーナーという噂はウマ娘達の間ではすっかり有名になっていた。

 

曰く『シンボリルドルフが逆スカウトしたい程の凄腕トレーナー。』

 

曰く『ビワハヤヒデが丸写しする程、緻密に組み込まれたメニューを作る事が出来るトレーナー。』

 

 

これだけでも噂になるには充分過ぎる程だった。そして当の本人はというと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「………」カキカキ

 

 

本と睨めっこをしながら書き物をしていた。いや、メニュー作成と言った方が良いだろう。だが本の内容はトレーニング専門の本もあればそうではない本もあった。

 

 

『ウマ娘でも分かる距離適性からの始め方』

 

『レース場で違う走り方とポイント』

 

『芝とダートで違う足の使い方』

 

 

3冊の本を読みながらメニューを組み立てていた。PCでなら組み立ても早いだろうが、八幡は手書きという癖がついてしまっている為、PCでの組み立てはしない。

 

 

八幡「よし、阪神は終わった。あと残ってるのは地方は全部と中央が……中山だけか。じゃあ中山だな。」

 

 

ガラガラッ

 

 

葵「あっ、比企谷君!今日からこの部屋なんですね。」

 

八幡「桐生院?お前もこの部屋だったのか?」

 

葵「はい。よろしくお願いしますね。」

 

八幡「あぁ、よろしく頼む。」

 

葵「ところで比企谷君は何を書いてるんですか?」

 

八幡「ただのメニュー作りだが?」

 

葵「でもコレ、トレーニングじゃなくてバ場とか距離適性の本ですよね?それでメニューを組み立てられるんですか?」

 

八幡「まぁな。見て分かった事だが、このトレセン学園のコース場は真っ平らだ。上り坂も下り坂もない。だからこそ必要なのは平らなコースでも坂があると思えるような走りを身につける事が必要だと思ってな。まぁ学園外でも練習できそうな所はあるんだろうが、来たばかりの俺には何処にどんな場所があるのかなんて分からない。それは追い追いにしていこうと思ってる。まぁ結論はそれぞれのコースの走り方だな。」

 

葵「考えた事もなかった……そういえば確かにトレセン学園のコースって斜面がなかったかも。」

 

八幡「だから俺は今、各レース場毎に違うメニューを作ってる最中だ。今は東京、京都、阪神、中京、新潟、福島、函館、札幌、小倉が終わって次は中山でその次が地方のレース場だ。」

 

葵「と、途方も無いですね………そこからメニュー作成ですか?」

 

八幡「半分正解だ。その次が距離適性と合わせたトレーニングメニューの作成だ。最初は基礎体力を見てから、距離適性がどれだけあるのかを見定めて、それから本格的な指導だな。」

 

 

この時、葵は八幡の言葉を聞いて自分も頑張らないと!っと心の中で自分自身を鼓舞していたのであった。

 

 

八幡「あっ、書く音が耳障りだったら言ってくれ。違う場所で書くから。」

 

葵「いえ、大丈夫です。あっ、そういえば比企谷君。」

 

八幡「ん?」

 

葵「比企谷君、ウマ娘達から凄く注目されてましたよ。ルドルフ会長やハヤヒデさんも注目している凄腕のトレーナーだって。」

 

八幡「………誰がそんなデマを?そんな注目勝手にしてもらっても困るんだがな。」

 

葵「でも私は分かる気がしますよ。比企谷君の注目の理由。今書いているレース場毎に違うメニューをハヤヒデさんに見せたら、きっとまた書き写すと思いますよ。」

 

八幡「そうには思えないがな………じゃあ試しに餌として持ってくか。会えるかどうかは知らんけど。」

 

葵「ふふふ、餌って……」クスクス

 

 

2人は談笑を続けながらも自身のやりたい事を続けていたのだった。

 

そして模擬レースの時間も刻々と迫っているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ま、まさかルドルフもあんな事を言っていたなんて………

それ程、八幡は注目されているという事なんでしょうか?

チョコっとマメ知識!

現在日本に存在する競馬場は中央と地方に分かれていて、中央に10ヶ所、地方に15ヶ所となっています。その内、札幌だけは中央と地方どちらにも入っているという、ちょっとだけおかしな競馬場となっています。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。