八幡side
………なんか最近、ウマ娘達からの視線がどうも気になる。今までの視線とは違って、生暖かいような、見守るような、そんな視線を感じる。隠れながらではなく、俺が歩いていても堂々と視線を向けてくるのだ。この状況は一体何なんだ?訳が分からん………
八幡「………」
コソコソ…
ヒソヒソ…
生憎俺は人間だからウマ娘の聴力なんて無いから、内緒話は全く聞こえない。何の話かは気になるが、触れたところで隠されるのは目に見えてるから無視している。しかし気になるものは気になる。
たづな「あっ、比企谷トレーナーさん!こちらに居たんですね!」
八幡「駿川さん、どうかしましたか?」
たづな「はい。実は先日の校門前での事で先方の方々から謝罪文を頂きました。ですのでお時間のある時で構いませんので、理事長室までお越しいただけると助かるのですが………」
八幡「エアグルーヴのトレーニングが始まる前と終わった後なら時間ありますけど、どっちがいいですか?」
たづな「でしたらトレーニング終了後でも宜しいでしょうか?その方が落ち着いて読めると思います。それに、先日のお礼がまだでしたので。」
八幡「あんなの気にしなくてもいいですよ。」
たづな「いいえ!是非させてください!」ズイッ!
ち、近い……近いよ駿川さん。一応此処は学園の廊下でウマ娘も居るから。だが何を言っても引き下がらないだろうなこの人は。
八幡「……わ、分かりました。ではエアグルーヴのトレーニングが終わりましたら、理事長室まで伺います。」
たづな「はい、お待ちしてますね。それでは。」
八幡「はい。」
ふぅん……昨日の取材陣からか。3社全てあるのなら問題無いが、1社だけならある意味問題だけどな。まぁいい、取り敢えずトレーナー室に向かうか。
「ねぇ今の!」
「うん、たづなさんって大胆!」
「お礼って何をする気なんだろう?」
「うまぴょいですかっ!?」
「でもトレーナーさん、よく落としたよね〜。」
「うん、流石会長達が認めただけはあるよ。」
「お礼ってもしかして……2人きりで!?」
「うまぴょいなんですかっ!?」
『お前は黙ってろ!』
………やっぱりなんかコソコソ話をしているな。一体何の話をしてるんだ?
ーーートレーナー室ーーー
桐生院「あっ、比企谷君。おはようございます。一昨日の重賞制覇、おめでとうございます!」
八幡「あぁ、ありがとな。お前のところもこの前デビュー戦を勝ってたな。おめでとさん。」
桐生院「ありがとうございます。お互い、次も勝てるように頑張らないといけませんね!」
八幡「あんまり気を張り過ぎるなよ?ウマ娘だけでなく、子供ってのは不安や緊張ってのが肌で分かるくらいなんだからな。俺達がしっかりしとかねぇと、余分なパワーを与えちまうからな。」
桐生院「へぇ〜そういうものなんですね〜………」
そう思うだろ?ホントそうなんだよ。今の年齢がそうとは限らないかもしれないが、子供って本当に鋭い時があるから。
桐生院「ところで比企谷君、比企谷君達がやっている坂路トレーニングはまだ行う予定ですか?もし良かったらウチのミークにもやらせてみたいんですが………一緒にトレーニングをする事って可能ですか?」
八幡「別にいいぞ。作ったのは俺だが、別に俺だけのメニューってわけでも無いしな。この前の鬼ごっこだって真似してるトレーナーだって居るくらいだし。」
桐生院「そ、そうなんですか?でもそれって当然比企谷君から許可を貰ってるんですよね?」
八幡「いや、そんなの貰ってねぇよ。向こうが勝手に取り入れてるだけ。俺には相談のその字も無しだ。」
桐生院「えぇ!?それっていいんですか!?」
八幡「さぁな。要点さえしっかり理解して見てれば効果はあるからな、分かってなくてやってるんだったら損はしてるな。無駄とは言わないが。」
チーム抱えてるトレーナーや複数人担当を持ってるトレーナーの一部は鬼ごっこをさせてるみたいだ。偶に観察しているが、本当に理解しているのは半分以下といったところだ。多分だが、ウマ娘達の視点からの説明で理解したって感じなのだろう。それだけだと本当に理解してないからね?子供だけの説明を真に受けたらダメですよ?
あっ、そうだ。桐生院に聞いてみるか。
八幡「なぁ桐生院、1つ聞くけどよ、俺って最近何か噂になるような事したか?」
桐生院「え、比企谷君が…ですか?」
八幡「あぁ。最近なんか妙に視線を感じるんだよ。主にウマ娘達から。重賞を制覇したとか、トレーニングに参加させて欲しいとかならまだ分かるんだが、そんな感じの視線じゃ無いんだよなぁ………なんか知らないかなって思って聞いてみたんだが、知らないみたいだな。」
桐生院「はい。今初めて聞きました。比企谷君、また何か注目を集めるような事をしたんですか?」
八幡「したのなら向こうから集まってくる。」
桐生院「比企谷君が言うと説得力がありますね………」
とはいえ、自分に支障は無いものの、何だか居心地が悪い。少しでも早く解決しないとな。