八幡side
俺とライスが日本に帰国して数日、今は東京レース場に来ている。シービーのデビュー戦だからだ。何でもないように言ってるが、大変だったんだぞ?俺達が帰国した翌日には全校集会が行われ、俺とライスが何も知らされてない状況でいきなり登壇して拍手喝采を貰ったんだから。いやまぁね?ライスがやったのは凄い事だ。日本ウマ娘の歴史でこれまで海外のレースを制したのはグレート制が導入されていなかったくらい、昔の話にまで遡る。その勝利以降、日本のウマ娘の海外での勝利は1勝も無い。そしてグレート制が導入されて初めてライスが海外を勝った。これは日本全国が喜ぶべき事だろう。
話を戻すが、打ち合わせくらいはしてもよくねって思っちまった。断らないから何か知らせるとかなんかあっただろって思う。理事長、今度からは頼みますよ?
タリアト「まだ疲れは抜けないか、八幡?」
八幡「あぁいえ、頭が痛くなるような事を思い出しただけです。何でもありません。それよりもどうですか、シービーの状態は?」
タリアト「最大限の力を出せるようにはしてある。仕上がりは100%の状態ではないが、シービーならば難無く乗り切れるだろう。」
八幡「そうですか……まっ、大丈夫だと思いますが、何が起きるか分からないのがレースですからね。」
タリアト「何をしでかすか分からないのが、ミスターシービーというウマ娘でもあるがな。」
八幡「上手く走ってくれる事を祈りますよ。」
実況『最後、大外枠11番、本日の1番人気のミスターシービーです。』
解説『誰もが注目しているウマ娘ですね。この子のデビューを楽しみにしていたファンは多いのではないでしょうか?早い話ですが、来年のクラシックが今から楽しみになりますね。』
本当に早い話だな、まだデビュー戦始まってもいないんだぞ?楽しみになる気持ちは分からなくもないけどよ、これデビュー戦な?
シービー「あっ、居た居たっ♪おぉ〜い八幡〜!!1着取るからしっかり見ててね〜♪」ブンブンッ!!
………なんて事してくれんだよあの子は。そういうのはやらなくていいんだよ!
ルドルフ「ははは、シービーはレース場に来ても相変わらずだな。」
ライス「うん、楽しそう……」
八幡「はぁ……アイツは全く………」フリフリ
マンノウォー「調子は悪くなさそうだな。」
タリアト「八幡が戻って来なければどうなっていたか分からんな。もしかしたらレースを拒否していたかもしれないしな。」
八幡「いやいやそれは………あり得ますね。」
シービーだから無いとは言えないんだよなぁ……
ーーー控え室ーーー
シービー「八幡!あたし1番後ろから全員抜くからしっかり見ててね!!」
八幡「うん、しっかり見ておく。それとなシービーさん、さっきのパドックのアレは何?」
シービー「え?八幡が居たからだけど?」
八幡「普通パドックであんな事はしねぇの!!あれじゃ他のウマ娘達にケンカ売ったようなもんだろう!それにアレのおかげでちょっと視線が痛かったんだからな!?」
シービー「大丈夫大丈夫!あたしが勝てば全部解決するから!ね、だから見ててよ!」
八幡「その解決するって自信はどっから来るんだよ……あぁもう分かった。とりあえず作戦は追込って事は先生から聞いてるみたいだから俺から言う事は何もなさそうだが、楽しんでこい。」
シービー「うん♪終わったらナデナデね〜♪」
抜け目の無い奴だ……
ーーー観覧席ーーー
ライス「あっ、お兄様お帰りなさい。」
八幡「ん、ただいまライス。出迎えありがとう。」
ライス「うん♪」
八幡「……なんか楽しそうだな?」
ライス「デビュー戦を観るのってライス初めてだったから新鮮なのと、ちょっと懐かしいなぁ〜って思ってたんだ。」
八幡「ライスは新潟でデビューしたんだったな。長い直線でロングスパートを仕掛けて後ろに7バ身差をつけて勝ったんだよな。今でも思う、デビュー戦であの勝ち方は異常だって。」
ライス「い、異常……」
八幡「だって普通は居ないからな?ロングスパートを仕掛けるレース未経験者なんて。」
まぁライスが長距離タイプだって知ってたからそんなに驚きはしなかったが、普通に考えたら結構恐ろしい事やってるんだよな、俺の妹ちゃん。
八幡「さて、ウチのじゃじゃウマ娘は一体どんな事をやらかしてくれるんでしょうかね?」
ガッコンッ!!
ルドルフ「兄さん、スタートしたよ。シービーは……追込とは聞いていたが、あれは………」
八幡「最後方強襲、か……アイツらしいやり方だな。アレなら直線の脚次第で一気に注目を集めるぞ。」
シービーが取った策は追込の中でも1番後ろで尚且つ4〜5バ身くらい離れた場所で脚を溜めて直線勝負に出る最後方強襲という作戦だ。ハイリスクハイリターンな作戦だが、ハマったらとんでもない脚で前へと襲いかかる。
ライス「でも大丈夫なのかな?あんなに後ろで……」
タリアト「安心しなさいライス、あれはああいう作戦でああいう走り方なのだよ。」
ルドルフ「もう4コーナーか……やはりマイルだと早いな。シービーはまだ動かないか。」
実況『さぁ最終コーナーを曲がり切って、525mの直線です!!1番人気ミスターシービーはまだ後方です!あの位置から届くのか!?』
シービー「さぁ、楽しいのはここからだよっ!!」
八幡「動いたな。」
ライス「わぁ〜すっごく速い〜!」
実況『ミスターシービーが大外から一気に追い込んで来たぁ〜!!ミスターシービーがゴボウ抜きで先頭に立った!!後ろとの差をどんどん引き離していく!!これは強いっ!!』
マンノウォー「ふむ、まぁこんな感じだろうな。」
タリアト「師のトレーニングと私の調整、八幡も加われば文句は無かったが、今回は仕方あるまい。」
八幡「ですが、見事な仕上がりだと思いました。」
マンノウォー「それでも八幡の滞在が延びてからは絶不調だったのだぞ?八幡が帰って来て漸く持ち直したってところだ。」
八幡「アイツは全く………」
実況『ミスターシービー、圧勝!!これは強い!!最後方から一気にゴボウ抜きで駆け抜けました!!』
ライス「凄かったねお兄様!」
八幡「あぁ。お前と同じで来年が楽しみだな。」
シービー、デビュー戦でも色々とやりましたね。