八幡side
4月に入って入学シーズンがまた訪れた。夢を追いかけ、それを実現させる為にこの学園に入学したウマ娘がたくさんだ。今は校内見学という形で自由に回っているみたいだ。俺も何人かに声をかけられた。あっ、ただ道を聞かれただけだからな?まぁヒソヒソされたりもしたけど……多分去年の天皇賞の事だと思う。そう思いたい。
そんで俺は今、理事長室へと向かっている。お呼び出しだ。理由は分からないが、何かあるのだろう。チームの事だったらどうしよう………
八幡「はぁ、着いちまったか。」
コンコンコンッ
秋川『許可っ!!入ってよろしい!!』
八幡「失礼します、トレーナーの比企谷です。」
秋川「おぉ、比企谷トレーナー!!今か今かと待っていたぞ!!」
八幡「はぁ……それで、どんなご用件でしょうか?」
秋川「質問っ!!比企谷トレーナーは現在、チーム設立に興味は無いだろうか?」
八幡「……確か一昨年にも同じような質問をされましたが、その時と答えは同じです。やりたいともやりたくないとも思っていません。」
秋川「ふむ……では辞令が出されればそれに従う、という解釈で捉えてもよろしいかな?」
八幡「決まった事に対して逆らっても時間を浪費するだけなので。」
秋川「……では、辞令を言い渡す。たづなっ!!」
たづな「はい。」
あぁ………なんか言質を取られたような気分だ。
秋川「比企谷八幡、担当上限3名を5名に増やし、チーム設立を命ずる!!」
八幡「………」
秋川「よろしく頼むっ!!」
八幡「これの為にあんな事を聞いたんですか?」
秋川「正解っ!こんなにも早くチームを持ったトレーナーはこのトレセン学園創設されて以来初めての事だ。故に一昨年はトレーナー間との間で相談を行って、1年間の猶予を与えた。」
八幡「それが担当増員ってわけですか。」
たづな「新たに担当になったシンボリルドルフとミスターシービーさんからの不満の声は一切上がっておらず、チーム設立の資格ありとの決断に至り、こうして辞令を出したというわけです。」
八幡「………」
秋川「説明っ!勘違いしないでほしいのだが、シンボリルドルフもミスターシービーも自分の意志で君の担当になった。我々から指示を出したわけではないっ!!」
八幡「それは分かってます。あの2人が嘘をついてまで俺の担当になるとは考えにくいので。しかしチームですか……他のメンバーは俺が決めてもいいんですか?」
秋川「肯定っ!!どのウマ娘にするかは比企谷トレーナーの裁量に任せるっ!!」
ーーー廊下ーーー
八幡「失礼しました。」
チームトレーナー、か………だが今はまだ増やすつもりは無い。クラシックが始まったばかりだからそっちに集中したい。
八幡「取り敢えず、メンバーに報告だな。」
ルドルフ「……おや、兄さん。こんな所で会うとはね、何をしていたんだい?」
八幡「ちょっと理事長に呼ばれてな、さっきまで理事長室で話をしてたんだよ。」
ルドルフ「ほう……その内容、興味があるね。聞かせてはもらえないかな?」
八幡「元々言うつもりだったから問題無いが、ライスとシービーも交えて話す。」
ルドルフ「それは兄さん……というよりも兄さんが担当している我々にも関係している、という事かな?」
八幡「まぁそんなところだ。」
ルドルフ「では共に部室に行こうじゃないか。」
八幡「おう。」
ーーー校庭ーーー
八幡「しかし、入学式後の校舎見学って事になってるが、やっぱ多いな新入生。」
ルドルフ「この中から未来の新時代を切り開くウマ娘が現れるかもしれないと思うと、楽しみになってくるよ。兄さんもそう思わないかい?」
八幡「俺は新入生からも兄さんとかお兄ちゃんって呼ばれないかが当面の悩みになりそうだ。」
ルドルフ「ふふふっ、きっとそれは避けられないと思うよ。君の面倒見の良さを知れば、誰でも兄と呼びたくなるものさ。」
八幡「………優しくするの、やめるか。」
ルドルフ「やめるのをやめてくれ。」
八幡「ならメリットを提示してもらおうか。」
ルドルフ「私の知る兄さんは損得で動くようなトレーナーでは無かった筈だが?」
八幡「こういうのはダメか?」
ルドルフ「合理的になるのは悪くはないと思うが、これまでの兄さんの像が消えてしまうからやめてほしい。近寄りづらくなってしまう。」
八幡「そうか。」
ーーー部室ーーー
八幡「う〜っす。集まってるか?」
ライス「あっ、お兄様。うん、居るよ。」
シービー「待ってたよ八幡〜♪」
八幡「みたいだな。早速行きたいところだが、その前に全員に報告だ。」
シービー「え、何々?」
八幡「さっき理事長から辞令をもらった。担当をもう2人増員してチーム設立の辞令をな。」
ライス「えっ、ホントッ!?凄いよお兄様!!おめでとう!!」
ルドルフ「チームの辞令が出たのか……おめでとう兄さん。これで私達も正式なチーム活動が出来るというわけか。」
八幡「あっ、それはまだダメだ。」
ラ・ル・シ「え?」
八幡「今月からクラシックが始まって忙しくなるだろ?だからハッキリ言ってチームを設立する余裕は無い。だからシービーの春……つまりはダービーを終えるまではチームは結成しないでこのままで行こうと思ってる。」
シービー「でもさでもさ、こういうのは早い方が良いんじゃないの?」
ルドルフ「シービーの言う通りだ兄さん、【善は急げ。】という諺もある。こういうのは早い段階で済ませておいた方が良いのではないか?」
八幡「じゃあ逆に聞くぞ?チーム作りました、残り2人を募集します、走りを見る、トレーニングの時間が減る、効率的だと思うか?」
ライス「あうぅ……お兄様は凄いトレーナーだってすぐに広まると思うから、希望者が凄く多くなりそうだね。ライス達のトレーニング時間が無くなっちゃうくらい。」
八幡「トレーニングが休みの日にやっても良いんだが、それだと俺が新しいトレーニングを考える時間や息抜きをする時間も無くなる。それに新入生は右も左も分からない奴ばかりだ、そんな奴等がいきなり上級生と混じって走りをやっても勝てる道理なんて無い。環境にすら適応してないんだからな。」
ルドルフ「ふむ、一理ある………それならば兄さんがその期間空けるのも納得が行く。」
今チームを作っても、希望者の殆どが顔見知りの奴だろうしな。それなら少し時間を置いてからの方が新入生だって動きやすいだろう。
シービー「分かった。じゃあチームを作るのは6月からで、新メンバーも6月以降って事で!」
ライス「うん、ライスもそれで良いよ。」
八幡「よし、じゃあ決定だ。それじゃあ行くか、ライスの事を待ってるだろうしな〜川崎の奴。」
今から小料理屋に行ってライスの海外初制覇と日経賞連覇のお祝いと、シービーの皐月賞健闘を祈っての打ち上げと前祝いに行く。やっと都合取れたのが入学式当日ってすげぇよな。
チーム設立の許可!でもまだ設立しない模様。