ラモーヌside
「それではお休みなさいませ、ラモーヌお嬢様。」
ラモーヌ「えぇ、お休み。」
バタンッ
ラモーヌ「………はぁ。」
……今日は色々と収穫があった日だわ。トレーナーの退職は前々から聞かされていたけれど、そのおかげで私は兄様の担当になる事が決まったわ。
前々から行っていた兄様との合同トレーニングとメニューについての質問はトレーナーが少しでも私が移籍した時に順応しやすくする為にやっていた事。そのくらい前から決まっていたという事になるわね。騙していた、というわけではないけれどそういう風に見られてしまうかもしれないわね。
ラモーヌ「あの子はどうしているかしらね?」
prrr…prrr…prrっ!
アルダン『もしもし、姉様?』
ラモーヌ「こんばんはアルダン。夜遅いけれど、ちょっと良いかしら?」
アルダン『……はい、何でしょうか?』
ラモーヌ「貴女、担当はもう決まったのかしら?」
アルダン『……いえ、まだですが?』
ラモーヌ「そう、なら早く決めた方が良いわ。時間はもう残されていないのだから。」
アルダン『っ!………それはお母様やお父様、お婆様が私に走る舞台から降りろと?』
ラモーヌ「いいえ、そうでは無いわ。ただこのままだと、貴女の望む形でデビューが出来なくなる、そう言いたいだけよ。」
アルダン『……それは一体?』
ラモーヌ「………そうね、これも伝えておこうかしら。今の話をした上で貴女に1番必要なもの、それを探す事ね。それが分かればきっと上手く行くわ。」
アルダン『………私の1番必要なもの。』
これは答えを言ったようなものだけど、あの子なら簡単に解ける筈……何せ、私よりも先に兄様にご執心だったのだから。気付かない方が不自然だわ。
ラモーヌ「因みに私はもう手に入れているわ。」
アルダン『姉様にあって私に無いもの……それは、たくさんある気がするのですが?』
ラモーヌ「あら、そうかしら?貴女に持っていて私に無いものもたくさんあると思うのだけど?」
アルダン『………』
ラモーヌ「一応、伝えておいたわ。最後にもう1度だけ言うけれど、時間はもう残されていないわ。」
………あの子は気付く事は出来るかしらね?兄様がチームを設立するのはもう決まっているけれど、肝心のチームメンバーの空きまでは知らない。私が入れたという事は最低でも後1人か2人、3人は無いわね。手遅れにならないといいわね、アルダン?
ラモーヌ「妹で遊ぶわけではないけれど、どうなるか少し楽しみではあるわね。」
ラモーヌsideout
アルダンside
アルダン「………」
先程の姉様からの電話、あれは一体どういう事なのでしょう?私の今1番必要なもの………姉様との会話を察するにトレーナーである可能性は高い。でも、となると姉様の言っていた『時間が残されていない。』『望む形でのデビューが出来なくなる。』この言葉が引っ掛かります。
私が1番理想とするデビュー……ですがそれに必要なのはトレーナーの存在。トレーナーといえば私が最初に思いつくのは兄様以外に居ません。それに私は兄様以外の担当になる気はありません。
アルダン「ですがそれだと余計に分かりません。時間が残されていない……望む形でのデビューができなくなる……姉様は何の意図があって私に電話を?」
……っ!!もしかすると、兄様の担当枠が増えた?昨年はシンボリルドルフさんにミスターシービーさんが兄様の担当になりましたが、今年になってから担当枠が増えたと考えれば、姉様の電話の辻褄が合います!
時間が残されていない、つまりこれは何らかの理由で兄様の担当出来る担当数が埋まり切ってしまう事……そしてこれを何故か姉様から連絡してきた、きっと姉様も関与しているに違いありません。
そして次の私の1番理想とするデビュー、これは兄様の担当になった状態でデビューする事を指しているのかもしれません。確かに私は兄様以外と契約するつもりはありませんから、この機会にを逃すと次は来年にチャンスが……いえ、もしかしたらこの次は無いかもしれません。だから姉様はこんな回りくどい言い方をして私に?
アルダン「……であれば早速、行動開始です!」
兄様が確実に居る場所……部室、トレーナー室、カフェテリアでもよくお姿を拝見します。それ以外には……朝のコース場でもよく遭遇する事があります。
アルダン「決めました、明日は朝練からスタートしましょう。手遅れにならないようにっ!」
チヨノオー「んうぅ〜アルダンさん、どうかしたんですか?明日何かするみたいですけど……」
アルダン「あっ、チヨノオーさん!すみません、起こしてしまいましたか?声が大きかったようで、申しわけございません。」
チヨノオー「い、いえいえっ!ただ、アルダンさんにしては珍しいなと思ったので。何かあるんですか?」
アルダン「……はい。私にとって分岐点とも言える選択肢が明日あるのです。」
チヨノオー「成る程、大事な事があるんですね……なら今日は早く寝て明日に備えないといけませんね!」
アルダン「えぇ、そうですね。」
明日の朝、兄様がコース場に来てくれる事を願いながらトレーニングをしましょう。
アルダンはラモーヌの言葉を正確に読み取れたみたいですね。さてこの次はどうなるか!?