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ーーーフランス・シャンティイ学園ーーー
ファブル「………」
「ねぇトレーナーさん、どうしたの?突然今日のトレーニングはお休みって言って全員を此処に集めてさ、何かあったの?」
「未だに何も知らされていないので、とても気にしています。何か重要なお知らせでもあるのですか?」
ファブル「……うん、そうだね。重要なお知らせなのは間違い無いね。」
「……なんか元気無いけど、大丈夫?」
カーネギー「ねぇトレーナー、早くその重要なお知らせっていうのを教えてよ!私早く日本のレースを見たいの!今日の朝に宝塚記念が開催されて、ライスも走ってるんだから!」
「そうでしたね。ちょうどその時間は登校しなければならない時間でしたから見られませんでしたね。」
ファブル「………では報告しましょう。とても辛いお知らせになります。今カーネギーさんが言った宝塚記念の事です。レース終盤の3〜4コーナーの中間で、ライスシャワーさんが転倒しました。」
「……え、ちょっとトレーナー。笑えない冗談を言うのはやめてよ。」
「そ、そうですよ。今はエイプリルフールではありませんし、とっくに過ぎています。」
カーネギー「もしかして惨敗だったから見せたくないとか?嫌だなぁ〜そんな程度じゃ別にライスをバカにしたりしないよ私。」
ファブル「………今は京都の病院に運ばれているそうですが、詳しい事は分かっていません。ただ、これだけは言えます。ライスシャワーさんはきっと、重度の骨折を発症した可能性が高いです。」
集められたミスターファブルの担当をしているウマ娘達は、トレーナーのあまりの剣幕と真剣さに事実なのだと徐々に理解していった。しかし………
カーネギー「そんなの嘘だっ!!!ライスが骨折?トレーナー、言っていい事と悪い事があるよ……レースを見れば分かるんだからっ!!」
ファブル「予め言っておきましょう。レース映像を見る事はお勧めしません。貴女達にとってとてもショッキングな映像である事は間違い無いからです。」
『………』
全員が固唾を飲んでミスターファブルを見つめる中、カーネギーだけは自分のスマホを取り出してイヤホンを耳に付けてレース映像を再生した。
カーネギー「………っ!!!」
ファブル「だから見ない方が良いと言ったのに……」
カーネギー「………」フルフル
ファブル「詳しい事はまだ分かっていませんが、恐らくその内にニュースになるでしょう。なので我々も怪我に【ガタッ!!】っ!」
「っ!?カ、カーネギー!!」
「カーネギーさん!!」
無理も無かった………このシャンティイ学園の生徒の中で1番にライスとの交流が深かったのがカーネギーで、仲が良かったのもカーネギーだった。そんな友人があんな無惨な形で映像に映るとは思っていなかったのだろう。
ファブル「……少し行ってくるよ。皆、今日は解散。また明日からトレーニングを再開するよ。正直、私も気持ちの整理が出来てないんだ。」
ーーーコース場ーーー
ファブル「………やはり此処に居たんだね。」
カーネギー「………」
カーネギーはミスターファブルの声に反応せず、体育座りになったまま顔を額につけていた。
ファブル「カーネギー、私もショックだよ。まさかあんな事になってるとは思わなかった。今日トレーニングを休みにしたのは、皆の気持ちを落ち着かせる為でもあるんだ。特に君のね。」
カーネギー「………」
ファブル「1番ライスシャワーさんと仲の良かった君が1番ショックを受けるのは分かっていた。けどねカーネギー、今日は良くても明日もこのままだったら、君はきっとライスシャワーさんに笑われるだろうね。」
カーネギー「……どういう事?」
ファブル「………ライスシャワーさんは今も必死に闘ってる。怪我に負けないように苦しい中もがき続けてると思う。でも、君は蹲って泣いているだけかい?少しでもライスシャワーさんの力になれるようにレースに勝って応援を送るのが、君にも出来る1番の励まし方だとは思わないかい?」
カーネギー「………」
ファブル「次のニエル賞、それに勝てば凱旋門賞……世界一の舞台で勝てばライスシャワーさんにこれ以上無いくらい大きな勇気を与えられる筈だ。」
カーネギー「………」
ファブル「………」
カーネギー「……分かった。まずはニエル賞、そこで絶対に勝つから。」
ファブル「その意気だよ。」
カーネギー「………でもさ、今日はいいんだよね?」
ファブル「うん、その為に休みにしたんだ。」
カーネギー「……じゃあさトレーナー、ちょっと胸貸してよ。もう抑え込めない。」
ファブル「こんな年寄りの胸で良ければ。」
カーネギー「ライス……ライス……うっ、ううっ………ライスウウゥゥゥ!!!わあああぁぁぁぁぁ〜〜〜ん!!!」
ファブル「………」ナデナデ
ファブル(ミスター比企谷、きっと貴方はこの数倍……いや、数十倍は辛い思いをしている筈。ですが、決して折れないでくださいね。)
ーーーアイルランド・レパーズタウン学園ーーー
クラウ「………」
オライエン「………」
ダァン!!!
クラウ「……本当なのかよトレーナー、ライスが転倒して搬送されたって。」
オライエン「あぁ、その通りだ。詳しい事はまだ明らかになってないけど、その内に報道されるだろう。」
クラウ「………んだよ、それ。勝ち逃げなんてあたしは絶対に認めねぇぞ。」
オライエン「クラウ……」
クラウ「あたしはまだ1回負けただけだ!!その1回こっきりで勝負ありなんてあたしは絶対に認めねぇ!!次のレースではあたしが勝つんだ!!それまでは絶対に……絶対に………」フルフル
オライエン「………」
クラウ「絶対に……引退なんてすんじゃねぇぞ!!!まだ勝負はついてねぇんだからなっ!!」ポロポロ
ーーーイギリス・アスコット学園ーーー
ルプルー「失礼します。」
アップル「どうだったかな、クローネの様子は?」
ルプルー「完全に塞ぎ込んでいます。私が部屋に入っても啜り泣くのを止めませんし、布団からも出て来ません。余程、トレーナーからの報告がショックだったのでしょう。」
アップル「レースを見られるよりかはずっとマシだよ。あの映像はクローネには絶対に見せられない。ミスライスシャワーがあんな姿になるところをどうして見せられると思う?」
ルプルー「………」
アップル「君には申しわけ無いけど、クローネの面倒を頼むよ。私も気にかけるつもりだけど、身内の君の方が色々とやってくれそうだからね。」
ルプルー「それは構いませんが、トレーニングはどうしますか?引っ張り出しますか?」
アップル「いや、メンタルが落ち着くまで様子を見よう。無理に参加させても悪影響が出るだけだからね。彼女が立ち直るのを待つよ。」
ルプルー「分かりました。」
アップル(ふぅ………ミスター比企谷、こっちも1人重症だよ。きっとフランス、アイルランドでも同じ事が起きてるだろうね。今の君は心身共にボロボロだと思う、でも決して諦めないでほしい。ミスライスシャワーもそれを望んでいる筈だから。)
やはり親しい3人には、ショックが大きかったみたいです……