八幡side
どうも、都会の喧騒から離れた場所よりこんばんは。現在、担当の実家にてお世話になっている比企谷八幡です。さて、俺は今日、ライスの実家に泊めてもらう事になってしまったのだが………ご両親めっちゃ良い人過ぎない?
俺が泊まるって流れになってお母様がお父様に連絡を入れたんだよ。俺が今日泊まるって事を。だからお父様の使っている服を貸してもらおうって旨の連絡をしたんだが、お父様からは『僕のを使うなんてトレーナーさんに失礼だから、帰りに僕が買ってくるよ!』なんて言い出したんだよね。いやもう失礼とかじゃなくてマジで恐縮しちゃうレベルなんですよそれは。
ただのトレーナーですよ?ただのトレーナーが1日泊まるから服だけ貸してくださいの筈なのに、どうして『僕の使ってるのじゃトレーナーさんに失礼だから新品のを買ってくる。』って話になっちゃうんですかね?めっちゃ古着のでもいいんですよ?そんな気を回さないでくださいよこんな奴に。
その後にお母様も『やっぱりそうだよね。』って頷かなくていいんですからね?ホントに俺は何でもいいんですから。今の格好のままでも寝ますから。
八幡「変な気を使わせちゃいましたかね?」
ラック「いいえ、お父様がそうしたいからだと思うので気にしないでください。私もお父様のLANEを見て、やっぱりそうだよねって思っちゃったので。」
八幡「いや、ホントに貸してくれるのなら古着で全く構わないんですけど。」
ラック「それはダメです!トレーナーさんにはライスちゃんがとってもお世話になってるんですから!」
そう、このご両親ってこういうところで意固地になるんだよなぁ……俺、そんな大層な人じゃないですよ?
ーーー数時間後ーーー
6月にもなると陽はかなり長く昇っている。なのでまだ外は明るい。でもだからといって時間が長くなるわけでもないが、晩御飯の準備をしている。当然俺も手伝おうとしたのだが、いかんせんお母様が俺をゆっくりさせたがるので全く出番が無い。いや、まぁ台所は女性の領域とはよく言うけど、最近は男性だって使うんですよ?
八幡「あの〜、本当に何も手伝わなくていいんですか?俺も一応料理は出来るんですけど……」
ラック「大丈夫ですよ。こういう時くらいはゆっくりしてください。いつもライスちゃんや他の子の為にトレーニングメニューやレースの事を考えて時間を割いてくださっているのですから、今日はのんびりしていて下さい。」
八幡「は、はい……」
ガチャッ
お父様「ただいま〜あぁトレーナーさん!どうもご無沙汰しております!」
八幡「いえ、こちらこそご無沙汰しております。」
お父様「お会い出来て嬉しいです。あぁそれと、今日寝る時に使ってください。」
………ホントに買ってきてくれたんですね。
その後すぐにお代を渡そうと思ったんだが、全く受け取ろうとはせず、寧ろ『僕からのほんの恩返しです。』という感じで収められてしまった。何でもライスが活躍しているレースを見るのがとても嬉しいようで、その度に何か返せないかと思ってしまっているらしい。俺は当たり前の事をしているだけなんだが………このご両親の寛容な心を持っているからなんだろうな。
ラック「ご飯が出来ましたよ〜!お父様はお着替えしてきてね、トレーナーさんはこちらにどうぞ。」
八幡「あ、はい。ありがとうございます。」
……テーブルの上に用意されているのはとても美味しそうな彩り鮮やかな調理をされた食材達だった。これだけでも食欲を唆られる……のだが、存在感をより強調させているのが銀色のアルミに包まれたお米のジュース、つまり缶ビールだった。お母様、マジで帰らせる気無いじゃないですか………
ーーー数十分後ーーー
お父様「んぅ〜やっぱりラックの作る料理は美味しいなぁ〜。それに……んぐっ…はぁ〜!トレーナーさんと一緒に飲むお酒も美味しいです!」
八幡「そ、それは何よりです……」
ラック「トレーナーさんも遠慮せずに食べてくださいね?まだまだありますから。」
八幡「はい。常々お父様の食事を見ていて思いましたが、やはり見た目によらず食べるんですね。お母様はウマ娘なので分かってはいましたが、お父様は人間にしてはかなりの量を食べますね。」
お父様「妻の作る料理が美味しいのもありますけど、1番はライスがよく食べていましたからね。それに感化されていつの間にかって感じですよ。美味しそうに妻の料理を食べるライスを見ていると、お腹いっぱい食べた筈なのに何故か口に入ってしまっていたんですよね。今ではすっかり大食いですよ。」
八幡「成る程、ライスの大食いは学園に来る前からだったんですね。」
ラック「小柄な割によく食べるからトレーナーさんも驚いたでしょう?」
八幡「えぇ、最初に学園のカフェテリアで注文している姿を見た時はその量を食べ切れるのかと疑問に思いましたが、杞憂でしたね。」
ラック「ふふふっ、ライスちゃんが美味しそうにご飯を食べているところが目に浮かびます。」
お父様「そうだね。僕も1度、トレセン学園の料理を食べてみたいものだよ。」
八幡「授業参観があるかどうかは分かりませんけど、毎年9月には感謝祭をやっていますし、見学はいつでも受け付けている筈ですから、もし機会があれば来てみて下さい。」
ラック「昔とあんまり変わっていないんですね!ねぇお父様、もしお父様のお仕事の都合が合えば行ってみない?」
お父様「うん、僕も気になっていたんだ。どんな環境でライスや他のウマ娘達が日々研鑽しているのかをね。都合が合えば行ってみようか。」
もしかしたら、アレだな……もし2人が来たら案内を頼まれるかもしれないな。
ご両親もきっと気を遣っているみたいですね。ライスの今を話してなかったですからね。