八幡side
ーーーレストランーーー
八幡「先生、プロフェッサー、この1週間京都の滞在、本当にありがとうございました。」
マンノウォー「いや、気にする事は無い。それよりもタリアト、お前が此処に残ると聞いた時は私も驚いたぞ。過去の事もあるんだからな。」
タリアト「……重ねているわけではない。ただ、私も放って置けなかった。あの子も……ラフィアンも放って置けなかったからな。」
八幡「先生………」
タリアト「ラフィアンもライスと同じ黒鹿毛、性格は似ても似つかないがな。無事でいてほしいと願う事しか出来なかった……無意識に重ねていたのだろうな、重ねていたわけではないと言ったばかりなのに。」
マンノウォー「………」
八幡「何にしろ、ライスの怪我は既に競走能力喪失の1つ……いや、崖っぷちです。高い崖に片脚だけで踏ん張っているような状態です。そんなウマ娘に無理は出来ません。」
タリアト「そうだろうな。ライスの脚は既に限界、無理に走らせようとその為の治療を施せば、今度こそ走れなくなるかもしれない。それこそ………ラフィアンの二の舞だ。」
マンノウォー「………辛いものだな、いつ見ても。」
お父様にも言ったが、ライスの現役続行は流石に認められない。ライスが希望したとしても、これ以上続けるのは本人にとっても酷というものだ。
マンノウォー「八幡、お前はライスにそれをどう伝えるつもりなんだ?正直に言うのか?」
八幡「そのつもりです。ちょうどご両親も一緒ですので、交えてお話するのが1番だと思ってます。」
マンノウォー「そうか………その席、私とタリアトも同席してもいいだろうか?」
タリアト「私達も気になっていたところだ。八幡、頼めないだろうか?」
八幡「っ!?先生、頭を下げないでください。分かりました、同席を許可します。それに先生のお話を……いや、すみません、口が過ぎました。」
タリアト「いや、気にするな。その事を話そうとも思っている。その方が分かってくれるだろう。」
八幡「………」
マンノウォー「私達からは余計な事は言わない。だから八幡、お前はライスと両親の2人と今後の事を話し合え。直ぐにとは言わないが早い方が良いだろう。」
八幡「……はい。」
お父様「こちらにいらっしゃいましたか!」
俺達に話しかけてきたのはお父様だった。
お父様「初めまして、ライスの父です。この度は娘の様子を見てくださり、ありがとうございます。父として、お礼申し上げます。」
タリアト「私はセクレタリアト、八幡の師だ。」
マンノウォー「その師のマンノウォーだ。様子を見る事は私が選んだ事だ、気にする事は無い。」
お父様「ありがとうございます。こちらはつまらない物ですけど、お納めください。」
マンノウォー「結構な物を頂いた。ライスと一緒に居なくてもいいのか?」
お父様「今は私の妻が傍に居ます。私がこちらに来たのは今のお礼もそうですが、娘の今後についてお聞きしたくて来ました。」
タリアト「その件に関してはトレーナーである八幡から説明がある。それに今は本人とご両親が揃っている。全員の顔を揃えた上で話をしようと話していたところだ。」
お父様「そうでしたか、分かりました。」
八幡「それで、どうでしょう?明日にでも今後の話をさせていただけませんか?」
お父様「はい、僕はそれで構いません。妻にもそれを伝えておきます。それとトレーナーさん、貴方も娘とお話がしたいでしょう。よろしければ「いえ、今はご家族のお時間をお過ごしください。お母様もきっとまだライスと一緒に居たいでしょう?勿論、お父様も。」ト、トレーナーさん……」
八幡「お2人が満足するまで自分は待ちますので、それまでは先生とプロフェッサーと一緒に居ます。2人には時間を割いてもらいましたから、弟子として手足になる覚悟です。」
マンノウォー「ほう、ならば3人で京都観光を楽しむとするか。」
京都観光、か……なら俺は婆ちゃんの墓参りに行きたいな。長らく行けてなかったからな。顔をちゃんと見せないとな。
お父様「では僕もトレーナーさんのお言葉に甘えてもう少しライスと話してきます。」
タリアト「それが良いだろう。私達も京を少しばかり楽しんでくるとしよう。」
お父様「ではまた後程。」
……少し時間が出来たな。
タリアト「それで八幡、さっきの言葉は何処まで本気なのだ?手足になると言っていたが?」
八幡「言葉のまんまですよ。先生達の希望のままに動きますよ。」
マンノウォー「そうか。では八幡、まずは京の街を見に行こう。タリアトと交代でライスを見ていたが、近場しか見られていなかったからな。」
八幡「じゃあ行きましょうか。」
それから数時間、俺は先生とプロフェッサーの3人で京都の街や寺、景色なんかを楽しんだ。勿論、食べ物なんかも含めてだ。にしてもアレだな、こうして先生達と普通に過ごすのも随分と久しぶりな気がする。
京都観光を楽しんだところで、俺の電話にお父様から連絡が来た。端的に言うと『ライスが会いたがっているから、来て欲しい。』みたいな感じだ。なので俺はもう1回病院に向かっている最中だ。先生達は引き続き観光を楽しむと言っていたから、病院に向かっているのは俺だけだ。
いよいよ八幡とライスのお話。