八幡side
八幡「………」
ルドルフ「兄さん、遠慮しなくていい。普段通りに寛いでくれて構わない。」
いいえ、出来ません………
スイート「娘の言う通りですよトレーナーさん。ご自分の家の空間だと思ってゆっくりしてください。」
八幡「は、はぁ………」
スピード「では揃った事だし、乾杯といこうじゃないか。」
皆さん、どうもこんばんは。只今シンボリ家にお邪魔している只の一般人の比企谷八幡です。何故、俺がこんなお屋敷に居るのかというと、数日前に遡る……
ーーー回想・生徒会室ーーー
ルドルフ「……そういえば今年のクリスマスは皆どう過ごすつもりなんだい?」
エアグルーヴ「私は友人と過ごすつもりです。その日くらいは多少の贅沢をしても文句は言われないでしょうし。」
ブライアン「……あたしはいつもと変わらん。」
ルドルフ「ブライアンは誰かと過ごさないのかい?」
ブライアン「……誘ってくる奴は居るが、興味無い。」
ルドルフ「君らしいな。兄さんは?」
八幡「俺か?そうだな……去年と一昨年はライスの実家に居たから、今年は家でのんびりしてるかもな。」
エアグルーヴ「何だそれは……生産性の無い奴だ。」
八幡「まっ、家で豪華飯作るくらいだな。」
ルドルフ「ふむ、そうか……」
ーーー回想終了ーーー
…ってな感じの事を話してて、一昨日にスピードシンボリさんから電話を受けてお誘いを受けたのだ。俺も断ろうとは思ったが、ルドルフの前でああ言った事を思い出して断るのは無理だと悟ったので、現在此処に居るというわけだ。
スピード「では、メリークリスマス。」
八・シ・ス「メリークリスマス。」
……うわっ、この酒美味っ!絶対高いやつだ。
スピード「突然だが比企谷トレーナー、聞いてもいいだろうか?」
八幡「はい、何でしょう?」
スピード「君の祖母君、クリフジ殿の事を聞きたいんだ。以前話した去年の京都以来、とても気になっていてね。」
八幡「はぁ……といっても、特段話せるような事はありませんよ。現役時代の事はスピードシンボリさんの方が詳しいと思います。俺が知っているのは年寄りの姿だけですから。それ以外の事はあまり……」
スピード「些細な事でも構わないのだよ、思い出せないかい?」
八幡「……そういえば、祖母は街の人達から『クリさん』とか『クリちゃん』と呼ばれていたのですが、一部からは『トシ』と呼ばれていましたね。」
ルドルフ「ほう、トシ……それで?」
八幡「俺も気になったから祖母に聞いてみたんだが、どうやら祖母は小さい頃『
スピード「そうか……ルドルフでいう『ルナ』と一緒か。」
八幡「そうですね。でも今年は墓参りに行けて良かったです。去年は行けなかったので。」
スピード「何っ、墓石があるのか?」
八幡「はい、墓石ではなく墓碑ですけど京都の神社に。祖母のレースを見て感動した現在の神主が作ってくれたらしいです。」
スピード「それは是が非でも伺いたいものだ。今度、君が京都に行く時は案内してほしい。」
ルドルフ「兄さん、その時は私も連れて行ってほしい。」
八幡「はい、分かりました。」
意外にも形式みたいな感じで食事をしなかったので、会話をしながら食事を楽しんでいる。
スイート「比企谷さん、娘から聞きましたが、貴方は料理の造詣が深いのだとか……」
八幡「いえいえ、この家のシェフに比べたら齧った程度ですよ。」
スイート「それでいてフランス料理をお作りになられるのですから、相当な腕前だと思われますよ。」
八幡「……先生の、師匠の教えが良かったものですから。」
スイート「そうなのですね……1度、食してみたいものですね。」
ルドルフ……お前という奴は余計な事を喋りやがって。
八幡「よろしければ、簡単なものをお作りしましょうか?」
スピード「いいのかい?客人の手を煩わせるような事はあまりしたくは無いのだが……」
八幡「いえ、庶民の味を知ってもらいたいだけですよ。本当に簡単に作りますから時間もそう掛からないと思います。」
スピード「では、一品お願いするよ。」
八幡「分かりました。」
簡単にって言ったから、リゾットでいいか。フランス料理が出てきたからちょうどいい。それに今回の食卓に並んでいた料理、割と淡白な味が多いからチーズとトマトを入れて濃厚にするか。所謂トマトチーズリゾットだな。
ーーー数十分後ーーー
八幡「お待たせしました。」
「っ!比企谷様、配膳でしたら私共が「いえ、自分で作った料理ですので自分でやらせてください。」か、かしこまりました……」
八幡「お口に合うかどうかは分かりませんが、どうぞ。トマトチーズリゾットです。」
スピード「これは美味しそうだ……」
ルドルフ「リゾットか、これはまだ食べた事が無いね。」
スイート「見た目も香りもとても美味しそうですね。」
今のところは高評価だな、後は味だけだ。名家だから口に合うかどうかまでは分からんからなぁ……
スイート「では一口………っ!これは、美味しいっ!」
ルドルフ「はい、チーズの濃厚さがありながらトマトの酸味もしっかり効いています。」
八幡「今日の食卓が割と淡白でしたから、多少濃い味のがあっても問題無いと思いましたので、作りました。」
スピード「うむ、これなら私でも3回くらいはお代わり出来そうだ。比企谷トレーナー、この料理のレシピを教えてはもらえないかな?」
八幡「構いませんよ。」
ルドルフ「私も何回でもお代わり出来そうだよ。」
スイート「比企谷さん、現職のトレーナーに仰る事ではないのは理解していますが、もしトレーナー退職後のご予定がお決まりでなければ、いつでもシンボリ家にお越しください。貴方の席をいつでも空けておきましょう。」
スピード「ふふっ、確かにその通りだが……うむ、君の退職後のセカンドキャリアを用意しておこう。」
八幡「ははは………」
いやぁ……今そんな事を話されてもなぁ~。俺、トレーナーになってまだ4年目だし。
八幡、クリスマスパーティーにお呼ばれされて、退職後の外堀埋められる?