比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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始まりの3本指

 

 

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実況『去年、私達は伝説を目の当たりにしました。皐月賞、日本ダービー、そして菊花賞……そのレースを全て先頭で駆け抜けたウマ娘だけにしか許されない称号、それが【3冠ウマ娘】。しかも去年の覇者ミスターシービーはそれだけではなく菊花賞を含む全てのレースを勝ち抜き、これまで存在しなかった【無敗の3冠ウマ娘】という称号を手にしました。そして今年もまたその称号に挑もうとするウマ娘が1人、この淀の坂越えに挑戦します。今レース圧倒的1番人気のシンボリルドルフ、果たして菊花賞でも圧倒的な走りを披露する事が出来るのでしょうか!?』

 

解説『これまで多くのウマ娘達がこの淀の3,000mに飲み込まれてきましたからね、是非とも1着で走り抜いてもらいたいですね。』

 

実況『さぁ本日のメインレース、京都11レース……GⅠ、菊花賞!ファンファーレですっ!!』

 

 

鳴り響くファンファーレと共にボルテージが最高潮に達する観客席。それとは裏腹に緊張が走るゲート前の18人のウマ娘達。そんな中1人だけ目を瞑り、時間が来るのを待っているウマ娘が居た。深緑の軍服のような勝負服を纏い、左肩のショートマントは風に揺れ、トレードマークでもある三日月の形をした曲星を持つウマ娘だった。

 

 

実況『さぁ、これからゲートへと向かって行きます。天候には恵まれませんでしたが、バ場状態は良です。次々とウマ娘達がゲ-トへと入って行きます。これが3冠クラシック最後のGⅠです、走る18人には頑張ってもらいたいところです!』

 

 

ルドルフ「ふぅ……さて、行こうか。」

 

 

実況『さぁここで1番人気シンボリルドルフもゲートに入りました!これに勝てば史上2人目の【無敗の3冠ウマ娘】となります。さぁそして大外18番サウンドパーソが入りました!伝説か、下克上か、大波乱か!?未知の世界での勝負だ!!京都メインレース、菊花賞………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッコン!!

 

 

実況『ゲートが開きました!!少しバラついたスタートになりました。やはり行くかロングハヤブサ、更にはスズマッハも続きます!そして外からリキサンパワーも上がってくる!その後ろカルストンイーデンとラッシュアンドゴー、外サウンドパーソとシーブラック。シンボリルドルフは此処には居ません!シンボリルドルフ中団やや後ろのインコースに位置しています!今日はどのようなレースを見せてくれるのかシンボリルドルフ!さぁ間も無くホームストレッチ、1周目のスタンドを駆け抜けて行きます!!』

 

 

シービー「いつもより気持ち後ろだね。八幡、今日はどんな指示を出したの?」

 

八幡「出してない。」

 

アルダン「………え?」

 

八幡「今日のアイツには指示を出してない。好きに走って来い、これだけだ。」

 

シービー「うへぇ~思い切ったね~!」

 

ラモーヌ「それじゃあ、【皇帝】様がどんな走りをしてくれのか、お手並み拝見ね。」

 

 

実況『2コーナーを抜けて向正面へと向きました!先頭はロングハヤブサ半バ身リードで外にリキサンパワー。すぐ後ろにニシノライデンとラッシュアンドゴー、真ん中にスズマッハ!カルストンイーデン、ポスターソロン、フジノフウウン!後ろにポットマーチン、インコースにミスタールマン!そしてその外、シンボリルドルフが動いた!!これから第3コーナーの坂を登って行きます!!初めての坂、どう登り、どう降るか、京都の正念場と呼ばれている坂をこれから登っていきます!!』

 

 

八幡「さて、此処からが勝負だ。」

 

シービー「降った後に前に行けるか、沈むか、だよね?」

 

八幡「その通りだ。さぁどうするルドルフ?」

 

 

実況『3コーナー降りに入りました!各ウマ娘一斉に動き出しました!ルドルフはどうだ!?まだバ群の中に居るぞ!前に出られるのか!?さぁこれから4コーナーを抜け出して直線へと向いて行くぞ!!先頭はニシノライデンに代わって直線に入った!!』

 

 

ルドルフ「我の前に道は無し。なればこそ…勇往ー邁進!道は自ら切り開くっ!!

 

 

実況『ニシノライデンが先頭だっ!ニシノライデンが先頭だっ!しかしその内からシンボリルドルフが差を詰めてきたっ!!物凄い脚だ、物凄い脚で差を詰めてきたっ!!来たぞ来たぞ来たぞ!!外からゴールドウェイも来た、ゴールドウェイも来た!!しかし差が縮まらない!!シンボリルドルフが先頭に立った!!大歓声だ、大歓声だ京都レース場!!大輪が薄曇りの京都レース場に大きく咲いたっ!!7戦7勝、我が国のウマ娘史に名を刻むクラシック3冠が達成されました!!!

 

 

ルドルフ「はぁ……はぁ……ふぅ、やったぞ兄さん!これが、【皇帝】の走りだっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「さて、少し行って来る。」

 

シービー「なぁんかあたしの時よりも騒がれてる気がするのは気のせい~?」

 

八幡「さぁ、どうだろうな?」

 

 

八幡も観客席からサークルエリアに移動した。そこには既に怒号にも似た大歓声を浴びているルドルフの姿があった。

 

 

ルドルフ「っ!やぁ兄さん、会いたかったよ。見ていてくれたかい?」

 

八幡「勿論だ。瞬きせずに3分間ずっと見ていたから、さっきまで必死に眼球を潤していたところだ。」

 

ルドルフ「ふふふ、それは何よりだ……さて兄さん、これで仕上げだ。」

 

八幡「あぁ。これまでは憶測でしか注目されてなかったが、この菊花賞でそれが確信に変わる。見せてやれ。」

 

ルドルフ「あぁ!」

 

 

ルドルフは八幡の元から離れ、再びサークルへと戻った。

 

 

ルドルフ「皆、応援ありがとう。3冠達成だ!」

 

 

短くそう言葉にした後、ルドルフは右手を天高々と突き挙げた。3冠制覇を象徴とする3本の指を立てて。この3本指のポーズは未来永劫、今はまだ見た事も無い、声も聞いた事も無い、顔も知らないウマ娘達にまで語り継がれていく事だろう。

 

 

 




3本指を掲げるポーズは今でも競馬の伝説です!
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