ライスside
やっと宝塚記念のレース直前まで時間が迫って来た。普段のお兄様だったら落ち着きながら座ってるんだけど、今日は何だか落ち着かない様子だった。座ってるのはいつも通りなんだけど、不安そうな顔をしているの。
でも大丈夫!ライスはお兄様のおかげでダメじゃないライスになれたんだもん!だからお兄様にも大丈夫だって伝えるんだ!
ライス「大丈夫だよ、お兄様。」
八幡「っ!ライス……」
ライス「お兄様、ずっと不安そうな顔してる……きっとライスが走った宝塚記念の事を考えるんだって何となく分かるんだ。」
八幡「………」
ライス「でも大丈夫だよ、ライスは絶対に走り切るから!それでお兄様の所に帰って来るから!」
八幡「………あぁ。ありがとうな、ライス。」
ライス「えへへ……」
八幡「じゃあそろそろだ、行ける所まで見送りはしていく。その先からはお前の舞台だ。」
ライス「うん!」
ーーー地下バ道ーーー
八幡「っ!」
ライス「あっ……」
黒沼「……漸く来たか……」
沖野「遅ぇぞ比企谷、俺達は待ちくたびれたぜ。」
八幡「……どうして此処に?」
ライス達が本バ場に向かって歩いていると、その先には黒沼トレーナーさんと沖野トレーナーさん、ブルボンさんとマックイーンさんの4人が待っていた。
沖野「お前等を待ってたに決まってんだろ。」
マックイーン「ライスさん、復帰おめでとうございます。こうしてまた一緒に走れる事を心待ちにしておりました。」
ブルボン「やっと勝負の続きが出来ます。ここまで1勝1分1敗、今日で決着です。」
ライス「マックイーンさん、ブルボンさん……」
沖野「うしっ、揃った事だし行って来い!勝ってこいよマックイーン!」
マックイーン「当然ですわっ!」
黒沼「この春、チーム・カペラの2人にしてやられたからな。今日はお前のライバルが相手だ。春最後の冠だ、勝ってこい。」
ブルボン「はい、マスター。行ってきます。」
八幡「……行って来い、ライス。」
ライス「うん、行ってくるね!」
ライスsideout
ーーーーーー
ーーーレース場ーーー
実況『さぁ、残った3人が姿を現しました!!3冠路線で争ったライバル、天皇賞で争ったライバルが1度に揃いました!そして2年前の悲劇を乗り越え、苦しい闘病の末にこのターフへ戻って来ました!!
さぁ紹介していきましょう!!この春のシニア路線では連続2着、最後の冠は逃げ切れるかっ!?【坂路の申し子】ミホノブルボン!!
中距離路線を中心に連戦連勝!今年の大一番は春のグランプリ!宝塚の栄光を再び我が手にっ!【名優】メジロマックイーン!!
2年前、ウマ娘にとって致命的な怪我を負い、半年前まで長い闘病生活を送っていました。しかし今日、この京都レース場に舞い戻って来ました!さぁ今度こそ淀の坂越えをっ!【黒い刺客】ライスシャワー!!以上、宝塚記念を走る12人のウマ娘でした!!』
八幡「戻りました。」
ルドルフ「兄さん、今ちょうど紹介が終わったところだよ。堂々としていたよ。」
八幡「そうか。」
ラフィアン「さっきまでの態度とは見違えたな。今のアイツは良い感じに見えるぜ。」
タリアト「そうだろう?あの子は普段あまり自信の無さそうな態度を取るが、レースや走りとなれば表情が変わる。今のライスがまさにそれだ。」
八幡「………」
ーーーレース直前ーーー
実況『今年の宝塚記念、どんなレースになると思いますか?ペースを握るのはやはりメジロパーマーでしょうか?』
解説『そうですね。先頭に立つのはメジロパーマーだと思いますよ。ミホノブルボンはきっとペースを刻みながら走るでしょうね。メジロマックイーンとライスシャワーは中団前目で走ると思いますよ。』
実況『成る程……しかし2年経ってライスシャワーが復帰してこのレースを選択するとは驚きましたね。』
解説『他にもレースはあったと思いますが、担当トレーナーが『ライスシャワー本人の意思を尊重したい。』と言っていましたからね、きっと本人もこの舞台に立てた事がとても喜ばしいと思っていると思いますよ。』
実況『そうですね。さぁそろそろ時間です!春の見納め、春最後のGⅠ、宝塚記念の発走です!!』
♪〜♪〜♪〜
実況『上半期最後のレースのファンファーレが終わって、ゲートへ進んで行きます。このレースに走るウマ娘は様々な思いがある筈です。その思いを強く感じながらゲートへと入って行きます。メジロの爆逃げウマ娘のメジロパーマーも入りました。ライスシャワーもすんなりと入りました。2年ぶりのレースがGⅠ、勝つ事は出来るのでしょうか!?』
ライスシャワー「すぅ〜……ふぅ〜……(……見ててね、お兄様!)」
実況『さぁ大外12番、ナリタキングオーが入りました!春最後のGⅠを勝つのは誰だ!?初めての栄光か!?再びの冠か!?栄光を掴み取るのは誰だ!?宝塚記念………』
ガッコンッ!!
実況『ゲートが開いてスタート!!揃って飛び出しました18人!さぁやはり行くかメジロパーマー!メジロパーマーが先頭立って爆逃げだ!後ろにはミホノブルボンとシーズグレイスが並ぶように2番手!メジロマックイーンとライスシャワーは中団の5、6番手を走っています!2コーナーを抜けて向正面を走って行きます!』
「おぉ、ライスが走ってる……」
「ヤバい、これだけでも来て良かったって思う。」
「最下位でも良いから走り切ってくれ……っ!」
「この前、チーム・スピカの芦毛のウマ娘がやってた念を送るってヤツがあったんだけど、それやらん?走り切れますようにって。」
「「「「「「それだっ!!!」」」」」」
実況『最後方にヤシマソブリン!人気のミホノブルボンは2番手!メジロマックイーンとライスシャワーは変わらず5、6番手を追走中!気持ち良く走っています!さぁ此処からだ、京都レース場3コーナー坂の登りに差し掛かりました!!』
八幡「………」
タリアト「大丈夫だ八幡、ライスならきっと乗り越えてくれる筈だ。きっと大丈夫だ。」
シービー「そうだよ八幡、ライスならきっと走り切ってくれるって。」
クローネ「ライスさん………」ギュッ!
実況『坂の降りで一気にウマ娘達が一気にペースを上げますが、注意が必要です!ペースの上げ過ぎも用心です!!』
ライス(……大丈夫、きっと大丈夫!ライスならきっと出来るもん!いっぱい練習したんだもん!)
『貴女ならきっと大丈夫だよ、自信を持って走りなさいな。』
ライス「っ!!うんっ!!」
実況『3、4コーナー中間でライスシャワーがペースを上げた!!乗り越えた〜!!!悲劇を乗り越えて今、4コーナーへと向かって行く!!そして一気に先頭集団へと襲い掛かっていくぞ〜!!!』
ライスが3、4コーナー中間点を越えた瞬間、観客席からは大歓声が上がった。
実況『さぁ内にはミホノブルボンとメジロパーマー、外からライスシャワー、更に外からメジロマックイーンが上がって来たぞ!4コーナーをカーブして、色んな思いを走りに込めて直前コースに向きました!!』
ブルボン「勝負です、ライスッ!!」
ライス「負けないよ、ブルボンさんっ!!」
マックイーン「お2人共、私の事を忘れてもらっては困りますわっ!!」
実況『この3人の争いか!?逃げるミホノブルボンに迫るライスシャワーとメジロマックイーン!!後ろからはメジロパーマーとマチカネタンホイザも追っているが3人には届きそうにないっ!!』
ブルボン(まだ……まだ行けるっ!!)
マックイーン(メジロの誇りにかけてっ!!)
ライス(ライスだって……ライスだって……っ!!)
ライス「誓います…大好きな人と、幸せの青いバラに。」
ライス「今度こそ……ライスが咲いてみせるっ!!」ゴオオォ!!!
実況『ライスシャワーが抜け出したっ!!ライスシャワーだ、ライスシャワーだ!!2年前の悲劇を乗り越えて、先頭で今、ゴオオォォォォォルイイイィィィィィン!!!!!』
再び大歓声が起こった。しかしさっきのとは比べ物にならない程の大きな歓声だった。その歓声の大きさは、小規模の地震が起きる程の大きさだった。
ライス、2年ぶりのレースで見事な大勝利!!