先輩2 ①
先輩2side
……多分、これが最後のチャンスだと思う。カンパニーだってもう高等部3年、トゥインクルシリーズでの活躍は流石に厳しくなりつつある。これも俺が長い間、迷走していたせいだ……頭を下げたところで時間は巻き戻って来ないし、文句を言われても俺は何も言い返せない。だから俺は去年の夏初めからは心を入れ替えてカンパニーの為に全力でずっとGⅠを勝ててないが、この秋がラストチャンスになる。それはカンパニーにも伝えてある。こんな形で送り出すのが心苦しく思う。
先輩2「………悪いなカンパニー。」
カンパニー「何度目ですかトレーナー?もう謝罪の言葉はやめてと言ったじゃないですか。」
先輩2「何度謝っても足りないくらいだ。俺はお前をずっと勝たせる事が出来なかった。しかもそればかりか………ずっとお前には迷惑を掛けてばかりだった。自覚も無しにな。」
カンパニー「………」
先輩2「………なぁ、聞かせてくれないか?何で俺のところから離れなかったんだ?他の皆は俺に愛想尽かして抜けたのに、何でお前は残ったんだ?」
カンパニー「それは………秘密です。」
先輩2「………お前がそう言うならもう聞かない事にする。悪かったな、レース前に変な事聞いて。」
カンパニー「いいえ、気にしてませんので。じゃあトレーナーさん、行ってきます。」
ーーー観客席ーーー
先輩2「ふぅ……」
沖野「随分遅かったな?」
先輩2「ちょっとだけ話してました。」
八幡「作戦会議ですか?」
先輩2「いや、そんなんじゃない。ただの世間話だ。比企谷、今日はわざわざ来てもらって悪かったな。」
八幡「それは大丈夫です。気にしてません。けど何で俺を?沖野さんを呼ぶのはライバルのウオッカが居るから分かりますけど、ウチのチームは出てませんよ?」
先輩2「いや……なんていうか、どうしても見てもらいたいって思ってよ。俺にも分かんねぇ……けどなんか良い予感がするんだよ。」
沖野「良い予感?」
先輩2「………前走の毎日王冠は勝たせてもらいましたけど、そん時は4枠でした。でもその前勝った中山記念とマイラーズCでは2枠だった……そして今日の枠順も2枠。ひょっとしたらって思うんですよ。」
沖野「おいおいそれを俺の前で言うなよ……」
八幡「1番勝率の良い枠を引いたって事ですね。」
先輩2「あぁ、だからって勝てるわけでもないけど、ちょっとだけ予感がするんだよ。」
沖野「こんな事ならもうちっとウオッカに助言しとくんだったぜ、今からスタート地点に行きてぇくらいだ。なぁ、ダメか?」
八幡「蹄鉄付きのシューズに踏まれたいのならいいんじゃないですか?」
先輩2「お前……容赦無いな。」
沖野「気にすんなよ、俺と比企谷の挨拶みたいなもんだからよ。」
八幡「そうです。なので沖野さん、今度ゴルシに沖野さんが「ゴルシに何か告げ口するのだけは止めてくれ。」分かりました。」
……今のは挨拶じゃないみたいだな。
ガッコンッ!!
実況『スタートしましたっ!!ほぼ横一線揃いました!!ドリームジャーニー遅れて若干後方からとなりました!オウケンブルースリ、エアシェイディも後方からとなりました!』
みなみ「ウマ娘がレースで活躍するのは大体中等部3年から高等部2年半の間になっている。それまでの期間を全盛期という期間だ。」
ますお「どうした急に。」
みなみ「このレースではその全盛期を過ぎて衰退期に入っている高等部3年のウマ娘が1人だけ出走している。一見出番は無さそうに見えるが、この間の毎日王冠ではあのウオッカを差し切った!」
ますお「成る程、つまりはそのウマ娘にも可能性があるって事だな!」
実況『1番人気ウオッカは後方5番手の位置、好位の一角!1,000mの通過が59.8です!3コーナーをカーブして追い上げの体勢に入っています!』
沖野「くそっ、前が壁になってる!」
八幡「ウオッカの位置はあまり変わらず……カンパニーも中に居ますね。さぁこっからですね。」
先輩2「………」
実況『4コーナーから直線コースに向きます!!先頭エイシンデピュティ粘っている!しかし中からスクリーンヒーローが追い込んで来ている!ウオッカは中団5、6番手の位置!出るところを狙っている!!』
カンパニー(この東京のコースをやっと克服出来たんです!それにこの間の毎日王冠だってウオッカさんを差し切る事が出来ました!御膳立ては全てトレーナーさんが整えてくれました!!後は私が、私が全力を出すだけっ!!!)
カンパニー「はああぁぁぁぁぁ!!!」
実況『さぁここでカンパニー先頭に変わるか!?内をついてウオッカだ!!内をついてウオッカ!カンパニー、ウオッカ!真ん中にスクリーンヒーローこの3人の争いになるのか!?』
沖野「差せ〜ウオッカ〜!!もう少しだ〜!!」
先輩2「後もう少しだカンパニー、行け〜!!」
実況『先頭は3番のカンパニーだっ!!カンパニーゴールインッ!!!カンパニーです、カンパニー!!!高等部3年にして、初めてのGⅠ制覇っ!!悲願のGⅠ制覇ですっ!!やりました13回目の挑戦で遂にGⅠを勝ちましたっ!!』
カンパニー「はぁ……はぁ……や、やった!やっと勝てました!やっとGⅠを獲れたっ!!」
ウオッカ「はぁ……はぁ……チキショー!!」
沖野「……負けちまったか。良い脚を使えてたんだが、前が開かなかったのが痛かったな。」
八幡「まっ、こればっかりは仕方ないですよ……GⅠ初優勝ですね、しかも天皇賞……凄いですよ。おめでとうございます。」
沖野「そうだな。お前の言ってた2枠が当たったな、おめでとさん!」
先輩2「ありがとう……ありがとう………」プルプル…
カンパニー、GⅠ初優勝おめでとう!!
それと、ウマ娘の全盛期が中等部3年〜高等部2年の間とありますが、あれは適当です。