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「おおきに!また来てな〜!」
???「ふぅ……峠は越えた感じか?」
「せやね、この後来るとしたらお話好きなおばちゃんだけやろし、あんまし混む事は無いやろね。」
???「そうだな……ならば私は【カランカラン♪】準備をっ!?」ダッ!
八幡「こんにちは、店長さん。」
「おぉ〜お孫さん!こっちに来てたんやね!」
八幡「はい、レースがありますのでこっちに。それに挨拶するにはちょうど良いと思いましたので。」
「そかそか、そりゃ何よりやわ。きっとクリちゃんも喜んでるやろね〜こんな風に来てくれるお孫さんが居るんや、きっとニッコニコやで?」
八幡「あはは……だと良いです。」
「それじゃ、いつもの用意してくからちょっと待っててな。」
八幡「はい、お願いします。」
ーーー店の奥ーーー
「……あんま言いたないけど、そのままじゃ一生告白出来へんで?そのままでええんか?」
???「………」
「まっ、今は待たせたら悪いからすぐに持ってくけど、早くせんと手遅れになるで?」
???「……分かっている。」
「………」
ーーー店頭ーーー
「お待たせ〜はい、じゃあコレいつもの花やからね。クリちゃんによろしく伝えといてな。」
八幡「はい、ありがとうございます。」
「おおきにね、また来てな〜!」
???「………行ったか?」ヒョコッ
「行ったで。ホンマ、お孫さんが来たらすぐそうやって隠れるんやから……もうそんな歳でもないやろ。」
???「………」
「………俺も君から事情は聞いとるし、その上でこうやって君と一緒におる。せやけどお孫さんがトレーナーになってもう数年、クリちゃんが天に召されてからは10年以上経ってるんやで?なぁ、もうそろそろ時期が来たと思わへんか?」
???「分かっている、分かってはいる……だが、どんな顔を向ければいいのか分からんのだ。」
「それも全部ブチまければええやん。あのクリちゃんのお孫さんや、絶対分かってくれる筈や。お孫さんの器がそんな狭いわけないって君も分かっとるやろ……マイト。」
マイト「………」
「なぁ、次にお孫さんが来たら会ってみぃや。大丈夫やって、そん時は俺もついとるから。」
マイト「………あぁ、分かった。」
「約束やで!」
(約束したはええけど、次にお孫さんが来るのはいつやろなぁ〜。今はトレーナーになってあちこちのレース場に行ってるみたいやけど、京都にいつ来れるかどうかなんて分からへんからなぁ………)
「どうなるかのぉ……」
マイト「………」
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店主side
皆には誤解されんようにする為に言うんやけど、他の人には言いふらさんようにお願いするで?俺の女房、マイトっちゅうやけどな、本名はハッピーマイトっていうんや。聞いた事ある人もおると思うけど、正直に言うわ………クリちゃんの姉なんよ。せやからお孫さんの八幡君はマイトにとって姉の孫、
何でそない事になってんのかは俺からは言えんけど、簡単に言うと姉妹ケンカや。せやからクリちゃん……というか家族とは半ば絶縁関係で、やり取りは一切なんもあらへん。そんでクリちゃんが亡くなったって知った時はエラい落ち込みようやった………きっと心ん中ではケンカした事謝りたかったんやろなぁ。当然、半絶縁状態のマイトには式の参列の案内なんて来るわけないし、向こうだって送りたくても今何処で何しとるか知る術なんて無い。せやけどチャンスはあった、当時の藤森神社の神主さんがクリちゃんのファンで墓を作る事にしたんや。勿論親族の許可を得てな。そん時にお孫さんの事を知ったっちゅう事や。
知れたはええけど、相手はクリちゃんの息子夫婦に孫もおった。きっと言い出しづらかったんやと思う。会いに行く事は出来んかったんや……それからは月に1度はクリちゃんの墓の掃除に行ったりしとるのが日課になってるってところやな。せやけどそんなマイトにも転機が訪れた……お孫さんが来たからや。
僕も最初はお孫さんやなんて知らんかったけど、まだちっちゃい頃……大体小学生くらいまでは家族一緒に来てたから顔は覚えとったんよ。今では立派なトレーナーになって命日が近い日で担当の子が京都で走るってなると、決まってウチに来て花を注文してくれるんや。お金貰わへん理由やけど、仮にも家族やしな。身内からは金取らんようにしとるってわけや。今までもそうやったしな。あの頃は誤魔化すのが大変やったなぁ〜……っと、話逸れてもうたな!マイトにはさっきみたいに何回か言うてるんやけど、中々勇気が出ないようでな……隠れてまうんよ。
マイトもケンカ別れみたいな形になった事をひどく後悔しとるみたいでな、今でも『若い頃に千葉に行っとけば良かった。』なんて言う時がある。多少強引にでも接点を作った方がええのかも?って思う時があるんやけど、義理の弟の俺がそんな勝手な事してもって思うんよ。ホンマ、上手く行かへんもんやなぁ………
今回の競走馬紹介、名前はハッピーマイト!!
何とあのクリフジのお兄さんなんですね!!勝ち鞍は帝室御賞典(現在の天皇賞)・秋を勝っています。何といってもこの馬は初代天皇賞馬でもあるんですね!!1937年にハッピーマイトが天皇賞を勝って以降、4歳で天皇賞を制した馬は1996年バブルガムフェローまで存在していません!数えるに59年間!長いですね〜!
でも38年から天皇賞は5歳以上に変更され、4歳以上に戻されたのは87年なので、実質的には9年ぶりくらいですね、ロマンの無い事を言ってしまうと。
なので僕は前者の59年の方を取ります。だって実際そのくらいの年月が経ってるわけですからね!