八幡side
八幡「何度も行ったら飽きられるかもしれないけど、婆ちゃんに会える数少ない機会だから出来る限り行きたいんだよなぁ〜。それに俺も墓の掃除とかしたいし、話もしたいし。」
今、俺は菊花賞のレースに出るルドルフの為に京都へと来ている。勿論他のメンバーも揃って来ているが、今は1人だ。前にも来た事はあるが、俺が京都に来られるタイミングってのが春か秋のどちらかだけだから、会えるのなら会っておきたいと思ってしまう。
八幡「明日のルドルフの調子も良いし、ライスは歩けるようにもなったし、先輩2との蟠りも無くなったし、本当に良い事づくめの夏になったな。婆ちゃんにも色々報告出来るから奮発しても良いよな。」
ーーー花屋ーーー
八幡「こんにちは〜。」
マイト「あぁ、いらっしゃ……っ!!」
八幡「すいません、店長さんは居ますか?」
マイト「あ……いや、今は少し出ていてな……私だけだ。」
八幡「あぁ、そうなんですか……ん〜じゃあどうすっかなぁ………店長くらいしか分からないよなぁ。」
マイト「……な、何か必要なのか?」
八幡「実は祖母の墓参りに。自分トレーナーをやっているんですけど、祖母の墓が京都にあるんです。そんで担当のレースがある時にはいつも行くようにしてるんです。そういう時くらいでしか挨拶や話が出来ないので。」
マイト「そ、そうなのか……どんな人だったんだ?」
八幡「記憶はあまり無いんですけど、優しい人でした。祖母のおかげで今の俺が居ると言っても過言ではありません。祖母はウマ娘だったんですが、当時はとても強いウマ娘だったんです。オークス、日本ダービー、菊花賞、長い距離のクラシックレースを総ナメにしたくらい強かったんです。特に菊花賞は2着に大差をつけるくらい圧巻の走りだったそうです。そんな人の孫に生まれて俺は幸せです。」
マイト「……そうか。」
八幡「俺の誇りです……本当に。数十年後には顕彰ウマ娘に選出されて史上3人目の殿堂入りをしたんです。他に5人も居たみたいなんですけどその年から始まったみたいなので、実質初年度の殿堂入りをしたウマ娘って事になりますね。」
マイト「……その、なんだ……そのお婆さんに姉妹は居なかったのか?兄や弟でも構わないが………」
?やけに興味津々だな……
八幡「兄弟……姉妹……あっ、そういえば姉が1人居るって言ってましたね。確かそれを聞いたのは祖母が亡くなる3日前の事でした。」
マイト「っ!」
八幡「何の予兆も無く、突然話し始めたんです。」
ーーー回想・二十数年前ーーー
クリフジ「私にはお姉ちゃんが1人だけ居てね、もう何十年も会えてないんだよ……」
はちまん「へぇ〜……会いに行かないの?」
クリフジ「会いに行きたいんだけど、ケンカしてそれっきりなんだよね……謝りたくても、何処で何をしているのかも分からないの。元気にしているのか、病気なのか、生きているのか、死んでいるのか、全く分からないんだよね……」
はちまん「………」
クリフジ「何年も前からお婆ちゃんはね、お姉ちゃんに謝りたくてしょうがなかったの。ただ一言、『ごめんなさい。』それだけ言いたいんだけどね………何処に居るのかも分からないから、どうしようもできないの。」
はちまん「かわいそう………婆ちゃんもそのお姉ちゃんも。」
クリフジ「……お姉ちゃんも?」
はちまん「だって、きっとお姉ちゃんだってお婆ちゃんに会いたいって思ってると思う。ごめんなさいって言いたいって思ってると思うよ。」
クリフジ「ありがとうね八幡。だからね八幡、小町とも仲良くするんだよ?八幡は男の子でお兄ちゃんだから、ほんの少しで良いから、小町に優しくしてあげるんだよ?お婆ちゃんみたいにケンカして別れちゃったら、寂しいって言っても会えなくなっちゃうからね。」
はちまん「うん、分かった。」
クリフジ「うん、約束だよ。」
ーーー回想終了ーーー
八幡「そんな話をした記憶があります。多分、祖母は悟ってたんだと思います……自分の死期が近いって事を。どうして姉の事を話したのかは分かりませんけど、誰かに聞いてほしかったんだと思います。自分の後悔と自責を……」
マイト(違う……違う、違う!!クリフジ、お前は何も悪くないっ!!悪いのは私だ!!私の身勝手のせいでお前をこんなにも辛い思いをさせてしまったのは私だ!!なのにどうしてお前が自分のせいだと言う!?何故お前が私に謝る!?謝るべきなのは私の方だというのにっ!!)
マイト「………」ポロポロ
八幡「えっ!?ちょっと、お婆さん!?大丈夫ですか!?すみませんこんな話をしてしまって。」
マイト「いや……いいんだ………」ポロポロ
「ただいま〜……ってお孫さん!?来てたんかいってマイト!?どないしたんやっ!?」
八幡「あっ、すみません!俺の祖母の話をしたら、泣かせてしまったみたいで。すみません!」
「あぁ〜………そうやったんか。いや、お孫さんは何も悪くあらへん。せやな……なぁお孫さん、ちょっと上がって行かへんか?もし無理なら明日でもかまへん。時間が欲しいんや。」
八幡「俺なら今でも大丈夫です。」
「そか、ほんなら奥に行こか。マイト、掴まり。」
店長さんは店の奥にある部屋にマイトさんを連れて行った後にプレートをcloseにして鍵を閉めた。
報告、というか超がつくくらい嬉しい事!!(自慢)
今日の正午に開催されたウマ娘の【チャンピオンズミーティング CLASSIC】で、僕が育て上げたライスが見事に先頭で駆け抜けてくれたんですよ!!!
しかもフランスのロンシャンレース場で走ってくれたものだから、このSSに出て来るのと照らし合わせながら見ると、本当に嬉しくて………もうヤバいです!!!
本当にすんごく良い子………僕の部屋に飾ってあるライスグッズの前でしっかり土下座&感謝をしました!!