比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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婆ちゃん

 

 

八幡side

 

 

俺は店長さんと一緒にお店の奥にある部屋へと向かった。どうやら自宅と店舗を一体化しているようだ。生活感のある居間へと繋がっていた。

 

 

「お孫さんはソファに座っててええよ。」

 

八幡「あの、それよりもその人を安静にさせてあげた方がいいんじゃないですか?」

 

「いいや、このままの方がええんよ。」

 

八幡「はぁ………」

 

「マイト、大丈夫か?」

 

マイト「……あぁ、少し落ち着いた。」

 

「ん、ならえぇ。ちょっと待っててな、今お茶出すわ。少し込み入った話になるから。」

 

八幡「………」

 

「………」

 

 

それから少しして店長さんはお茶が入った湯呑みを3つ持って来て、俺の向かいに座った。

 

 

「さて、どっから話したもんか………」

 

八幡「あの、まずは「いやいや、お孫さんが謝る事やない。全部ウチの女房の問題なんよ。」……どういう意味ですか?」

 

「お孫さん、これは俺の推測やけどクリちゃんの話をしてたんとちゃうか?」

 

八幡「……はい。」

 

「そうやろなぁ………なぁマイト、もう正直に話そうや。心苦しいのはもう嫌やろ?こうしてお孫さんが来てくれたのも、きっとクリちゃんが見とってるからやと俺は思うで?」

 

マイト「………」

 

 

……何だ?この人達は婆ちゃんの何を知ってるんだ?

 

 

マイト「………正直に話そう。」

 

八幡「っ!」

 

マイト「君のお婆さん、クリフジは………私の妹だ。」

 

八幡「………………………え?」

 

マイト「私の名前はハッピーマイト。正真正銘、クリフジと血の繋がった姉妹……という事になる。」

 

八幡「………」

 

「つまりな?お孫さんにとって俺等は簡単に言うと親戚の大伯母と大伯父って事になるんや……済まん、今までずっと黙っとって。この通りや。」

 

 

そう言って店長さんと隣のお婆さんは頭を下げた……けど俺はどんな反応をしたら良いのか分からなかった、というよりも頭が何から整理していいのか分かっていないような状態だ。

 

 

八幡「………俺も少し、整理が出来てないんですけど質問させてください。何時頃から俺だって気付いてたんですか?」

 

「お孫さんがまだ小学生くらいの頃からや。中学と高校・大学はウチに来れてなかったみたいやけれど、お孫さんを一目見てすぐに気付いたわ。」

 

八幡「どうして言ってくれなかったんです?」

 

「………マイトからも聞いたと思うけど、クリちゃんとマイトはケンカ別れしたんや。せやからお孫さんにも言い出しづらかったんよ。」

 

八幡「………」

 

マイト「……妹は、確かにそう言ったのか?『謝りたい。』と本当に?」

 

八幡「……はい、確かにそう言ってました。」

 

マイト「……何故アイツはそうなのだ。」

 

八幡「?」

 

マイト「昔からそうだった……私に非がある事だとしても、すぐ先に謝る。私がやろうとしている矢先にだ。ケンカの原因だってそうだ、悪いのは私だ!それなのに……何故、何故向こうから謝ろうとする?」

 

八幡「………婆ちゃんは自分の事をあまり話したがらない人でした。けど他の人の事となるとすぐに話し始める人でした。特に良い部分を………もしかしたら、全部貴女の事だったのかもしれません。『性格は似てないけど、根は優しい』とか『私の事になるといつも真剣になる』とか『走る時はいつも一緒だった』とか……きっとお婆、マイトさんの事だったんだと思います。」

 

 

婆ちゃんが誰かの話をする時、名前を出す事はしなかった。けど必ず自分の身近な部分で話をするのがお決まりみたいになっていた。きっとこれはマイトさんの事を言っていたんだと思う。

 

 

「なぁお孫さん、いや八幡君。マイトの事を許してやってくれへんか?言い出せへんかったのも、ずっと引き摺って言い出しにくくなってたからなんや。それにクリちゃんも亡くなってもうたから尚更やったんや。」

 

八幡「いえ、俺は気にしてませんから大丈夫です。それにマイトさんもきっと墓参りに行っているんでしょう?ならその時にでも謝ってるんじゃないですか?」

 

マイト「……あぁ、行く度ににな。」

 

八幡「それだったら婆ちゃんなら許している筈です。てんち……なんて呼べば良いですかね?やっぱ爺ちゃんとか婆ちゃんとかですか?」

 

マイト「……私の事を、そう呼んでくれるのか?」

 

八幡「親戚、ていうか家族なんですから当たり前ですよ。それにそう呼べる人がもう居ませんし、2人が良いのであればそう呼びたいですね。婆ちゃんにあまり孝行出来なかった分2人にそうしたいです。」

 

 

マイト(あぁ………クリフジ、私には勿体ないくらいの子だ。優しい目や性格なんてお前に瓜2つだ。私がこの子にそう呼ばれてしまって本当にいいのか?)

 

 

「……良え響きやわぁ〜。八幡君からそんな風に呼ばれる日が来るなんて思わんかったからむっちゃ気持ち良ぇわぁ〜♪」

 

マイト「……本当に、いいのか?」

 

八幡「はい、俺がそう呼びたいので。」

 

マイト「………では、頼む。口調も普通で良い。」

 

八幡「……分かった、婆ちゃん。」

 

マイト「っ!!」ツー

 

「ちょ、マイト……今度は嬉し涙かいな。けどそうやな、泣くくらい嬉しいわな。」

 

マイト「あぁ……」

 

 

こうして俺は婆ちゃんの姉のハッピーマイトさんと出会い、家族として仲を深める事が出来た。

 

 

 




マイトさん、本当に良かったね……(泣
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