八幡side
時が経つのは早いもので、トレセン学園に配属されてから1ヶ月が経った。俺は相変わらずルドルフのトレーニングに専念しているのだが、周りからの視線は改善されてはいない。偶に同期や先輩達からその話をされる時はあるのだが、別に俺は正す必要は無いと思っているから放置状態だ。ルドルフもきっとこの事は知っていると思うが、何も言ってこないという事は静観を決めているという事だろう。
けど今はそんな事はどうでもいい。ルドルフのデビュー戦まで約2ヶ月を切った。今は5月の下旬、残り1ヶ月と半分でルドルフを理想の形で仕上げなければならない。今のところは順調に来れているから問題は無いが、順調な時こそ用心をしなければならない。
八幡「ふぅ………」
ルドルフ「おや、溜め息なんて珍しいね?」
八幡「ん?そうか?」
ルドルフ「あぁ。あまり見かけないからね。」
八幡「よくするけどな。っていうか、お前も体調は大丈夫か?最近トレーニングを変えてハードにしてるけど、痛む箇所とかはあったりして無いか?」
ルドルフ「あぁ、問題無いよ。これも君が1ヶ月の間にハードトレーニングに耐えうる身体を作ってくれた効果が現れているのだろう。」
八幡「俺はただメニューを作っているだけだ、やったのはお前であって効果もちゃんと出てんだから素直に自分を褒めろよ。」
ルドルフ「そういうのはどうも苦手でね……」
八幡「まぁ俺も自分を褒めるなんてした事ねぇし、する気も多分起きないだろうな。」
ルドルフ「………比企谷君?」
八幡「ん?どうした?」
ルドルフ「そろそろ構ってあげてはどうかな?」
八幡「何で土足で入ってきた奴の相手をしなけりゃならんのだね?俺は嫌だぞ?そう思うんだったらお前が何とかしてくれ。」
ルドルフ「……という事みたいだぞ、シービー。」
シービー「えぇ〜何でそうなるかなぁ〜……」
八幡「ていうかお前はこの大事な時期に何やってんだよ?こんな所で油売ってる場合じゃねぇだろ。もうすぐダービーだぞ?」
シービー「いや、まぁそうなんだけどさ?ルドルフのトレーニングを見てたら混ざりたいなぁって思っちゃうんだよね。」
ルドルフ「君にはもう担当トレーナーがついているだろう?」
シービー「まぁそうなんだけどね?キミのトレーニングをしているルドルフを見てると、すっごい良いなぁ〜って思っちゃうんだよね。それでトレーナーにちょっとだけ言ったんだよね、キミのところに行ってもいい?って。そしたらね、邪魔をしないのであればいいよって。」
堂々と聞く事じゃねぇだろそれ。ていうかそこに俺とルドルフの意思が反映されてないのはどういう事だ?そっちだけで一方的に決めつけられて、担当ウマ娘を押し付けられても困るんですが?
八幡「俺達、いいよなんて一言も言ってないから摘み出してもいいかな?」
シービー「酷いっ!八幡って女の子にそんな酷い事するの!?」
八幡「お前なら特に問題無いだろ。」
シービー「あたしならって何?あたしにならやっても大丈夫っていう事なの?」
八幡「概ねその通りだ。」
シービー「いやいやいやいや!今雨降ってるんだけど外見える!?豪雨だよ豪雨!」
八幡「………何か問題でも?」
シービー「大有りじゃん!!この土砂降りの中女の子を外に出すの!?普通に考えておかしいって!!」
八幡「………散歩すればよくない?」
シービー「流石のあたしでも土砂降りの中で散歩を楽しめる勇気も度胸も無いよっ!!」
ルドルフ「しかし、本当に突然だったからね……この部室が比較的コース場に近かったのが幸運だったね。そうでなければ今頃ずぶ濡れだったよ。」
八幡「だろうな。予報にもこんな事は無かったのにな、おかしな天気だ。」
シービー「けどさ、ずっとこのまま?」
八幡「それはマズいだろ……何とかして学園か寮に行きたいところだが、外の音聞いてみ?雨だけじゃなくて風も強い、その上雷も。」
ルドルフ「嵐のような天気だね。こうなれば暇つぶしに何か時間を潰せる事をしないか?」
八幡「……ダジャレとか?」
ルドルフ「おぉ、それは良い!」
シービー「それって面白いの?」
八幡「面白さなんて今はどうでもいいんだよ。とりあえず時間を潰せればな。」
シービー「ふぅ〜ん……バラをバラバラにするとか?」
八幡「お前さ、いきなりそんな怖い事言う?ニシノフラワーに聞かせられないだろ。」
ルドルフ「では比企谷君は何かあるかい?」
八幡「……よし、思いついた。じゃあ言うぞ。このイモ、ジャガイモじゃが?」
シービー「おぉ〜ジャガイモじゃなくてイモとじゃがって事だね?」
ルドルフ「反対にしたのか……見事だよ。」
シービー「じゃあ次あたしね、そうだなぁ………あっ、芝を縛る!」
八幡「おぉ……成る程。じゃあ今度やって……ダメだな、芝を無駄には出来ない。」
ルドルフ「そうだな、じゃあ次は私だな。」
ーーー数十分後ーーー
八幡「……雨、止まないなぁ〜。」
シービー「ホントだね〜。」
ルドルフ「うむ、これでは此処に泊まりか?」
八幡「ルドルフ、それはシャレでも冗談でも流石に寒くなるからやめてくれ。」
その後、雨の勢いが弱まった時を見計らって部室を出て学園へと向かったのだが、それでもかなり濡れてしまった………そして俺は決めた、部室に雨具も置いておこうと。
これを書き終わって思った事、何でこれを思いついたんだろう?