エアグルーヴside
八幡「調子はどうだ、エアグルーヴ?」
エアグルーヴ「……問題無い、良い調子だ。」
八幡「そうか。」
3月に入って最初の週の土曜日、今日はトリプルティアラ第1弾のレース、桜花賞のトライアルレースであるチューリップ賞が開催される日だ。これに勝てば桜花賞の勝利に大きく近付く。トレーナーが言っていたが、私は12月の阪神JFからの成長がとんでもないらしい。負ける可能性が限りなく低いとまで言われた。
エアグルーヴ「だが、油断はせん。貴様からは負ける可能性は低いと言われたが、他の者達が私を警戒していないわけがないからな。」
八幡「そうだな、その通りだ。きっと残りの13人はお前を警戒しているだろう。そして人気上位のウマ娘でお前と同じ脚質の奴は必ずお前をマークする。特にビワハイジには気を付けておけ、前走ではお前と同じレースで2着になった奴だ。なるべく前目のポジションにつけて走れ。」
エアグルーヴ「分かった。私はそのビワハイジをマークする形で走る事にする。私は奴の走りを映像で見ただけでどんな癖や走り方をしているのかは知らん。今日はそのウマ娘の走りを見る事に専念しよう。まぁ、勝ちを譲るつもりは無いがな。」
八幡「そうか……分かった、作戦は先行で前目のポジションになってるが、それ以外は任せる。」
私を信頼しているかは分からんが、奴の提示した作戦以外は任せてもらえた。今日は前哨戦ではあるが、これまで無敗で来ているのだ。この場で負けるわけにはいかん。
ーーーパドックーーー
実況『4枠5番、エアグルーヴです。今レース圧倒的1番人気です。』
解説『これは………見ただけでも分かりますが、飛び抜けていますね〜。これ程の仕上がりをこの場で出すのが勿体無いと感じる程ですね。』
やはり分かる者には分かるのか……何人ものウマ娘を見てきているだけはある。見る目はあるという事か。
エアグルーヴsideout
ーーーーーー
八幡「………」
南坂「凄いですね、今の彼女は………」
八幡「っ!南坂さん……っていうか、皆さんお揃いですね。」
そこに居たのは、八幡と比較的友好的な関係を持っているトレーナー達だった。皆恐らくエアグルーヴを見に来たのであろう。
沖野「ったり前だろ?クラシッククラスの粒揃いが一斉に出るんだからな。」
東条「けれど、頭1つ抜けているのはエアグルーヴね。さっき解説も言っていたけれど、飛び抜けているわね。周りが可哀想に思えるくらい、ね。」
葵「凄いですよね〜でもどうやったらあんな調整が出来るのですか?どんなトレーニングを?」
八幡「別に特別な事はしてねぇぞ。ただ2週間前から軽いトレーニングをしていたくらいだ。重いトレーニングは行わずにな。」
黒沼「ほう……やはり過度なトレーニングは行わないやり方だったか。」
八幡「後は………いや、これは秘密です。」
沖野「おいおい何だよ、そこまで言ったなら教えてくれよ。そこに秘密があるかもしれないだぜ?」
八幡「はい、なので教えません。」
東条「気になるわね………」
黒沼「あぁ。比企谷の能力を考えると、やはりどんな事をしているのかは気になる。」
葵「そこを何とか教えてくれませんか〜?」
八幡「謹んでお断りします。」
葵「えぇ〜!?」
♪〜♪〜
八幡「っ!失礼………」
_____________________________________________
・To:比企谷 八幡
・From:○○先生
内容:今頃レース場に居ると思うが、私も今テレビで見ている。彼女は凄まじい成長を遂げているようだな。画面越しでも分かる仕上がりだ、これからが楽しみになってくる。君の事だから大丈夫だと思うが、私の忠告を忘れないように。またメールを送る。
_____________________________________________
八幡「先生………」
沖野「噂の師匠か……ホント誰なんだよ?」
八幡「だから教えませんって。先生の許可が出るのを待ってください。」
沖野「いつだよ、その許可が出るのは………」
黒沼「随分と用心深いようだな、お前の恩師は。」
南坂「そこまで教えてくれないとなると、逆に気になってきますよね。」
八幡「前にも言いましたけど、先生の事を探るのはやめてくださいね?」
南坂「流石にそんな事はしませんよ、それにする暇だってありませんし。」
八幡「ならいいんですけど………」
東条「ほら、その辺にしてパドックに集中しなさい。といっても、もうすぐ終わるけど。」
葵「パドックのウマ娘を見てたのって黒沼先輩とハナ先輩と私だけ、ですよね。」
沖野「お、おいおい俺も見てたぜ?」
八幡「じゃあ沖野さん、4枠5番のウマ娘の名前は?」
沖野「お前、マジで意地悪いぞ………」
八幡「因みにその番号のウマ娘、俺の担当のエアグルーヴですけどね。」
沖野「なっ!?」
東条「プッ、フフフ!」
南坂「あははは………」
葵「ふふふふっ!」
黒沼「ふっ………」
沖野「クソォ………何も反論出来ない。」