ルドルフside
ルドルフ「いよいよ、だな。」
八幡「そうだな……お前にしては少し落ち着きが無いような表情だな。」
ルドルフ「それは、まぁ……GⅠの舞台だ。私とて初めての大舞台、緊張もするさ。」
八幡「ならダジャレでも言おうか?」
ルドルフ「せっかくだが遠慮しておこう。今はそんな気分ではないんだ。」
八幡「じゃあレース終わりの頭を撫でるのも「それはやってもらう。レース後なのだからね。」………さいですか。」
師走は第3週、残すところ今週を含め2週となった今年はまだ賑わいを見せている。それに先週はトリプルティアラを目指すウマ娘の戦いだとすれば、今週は3冠路線に進むウマ娘が戦う。つまり私にとっても都合の良いレースだ。
ルドルフ「比企谷君、このレース必ず勝つぞ。」
八幡「勿論だ、今後のクラシック路線を中心に走るにはこのレースが1番だからな。ホープフルSでも良かったが、あっちを走ったらお前の底を見せてしまう。お前の底はまだ見せたくない。」
ルドルフ「成る程、君の思惑はそこまであったのか。ジュニアクラスは最大距離の2,000mを走らせず、1,600mで力を見せつける……という事かな?」
八幡「概ね正解だ。2,000mは弥生賞で走るからどの道同じルートを辿る事になる。なら今はお前のスピードを見せつけてやれば良い。」
ルドルフ「そうか、分かった。では今日のレース、類を見ない走りを見せよう。」
八幡「ふっ……良い顔になったな。その顔のままパドックに行ってこい。」
ルドルフ「あぁ、行ってくる。」
ーーーパドックーーー
実況『本日のメインレース注目の1番人気、4番シンボリルドルフ。』
解説『これまで2戦していずれも大差、この大舞台でどれだけの走りが出来るのか楽しみですね。素晴らしい走りを期待してしまいますね。』
「やっぱりそうだよね……会長が出るんだもん、16人出走出来るのに半分の8人しか居ないよ。」
「だよね〜。」
やはり皆良い顔をしている……これから戦地に赴く戦士の顔だ。なればこそ、私も覚悟を決めて走らねばなるまい。
東条「シンボリルドルフ、随分良い調子ね。」
八幡「はい、何とか良い調子に持って来れました。」
東条「見に来てはみたけど、これじゃあルドルフの独壇場じゃない?他の子達、ルドルフを見て完全に萎縮しているわよ。」
八幡「ですね……パドックに入ってより気合いが入っちゃったみたいです。まぁ中にはルドルフに噛みつこうって奴も居るみたいですけど。」
東条「表立って行動する子は居ないようね。」
八幡「さぁて、どんなレースになるか楽しみです。」
ーーーコース場ーーー
この勝負服……比企谷君が専門家に頼んで作ってくれたものだ。私の希望をそのまましっかりと伝えた上で作成してくれた私だけの勝負服だ。彼には感謝せねばならない……
さぁ、理想の為に!
♪〜♪〜♪〜
実況『さぁ本日の中山レース場のメインレース、朝日杯FSが発走します!しかし出走するウマ娘は約半分、この少数精鋭が1,600mのスピード戦に挑みます!来年の春に向けて名乗りを上げるのはどのウマ娘か!?各ウマ娘がゲートへと入っていきます。本日1番人気、シンボリルドルフも既にゲートに収まっています。そして最後は大外8番、3番人気ハーディビジョン……入りました!来年の本番に向けて大きく弾みをつけるのは誰だ!?G I、朝日杯FS………』
ガッコン!!
実況『スタートしました!!横一線キレイなスタートになりました。先頭争いはマリキータが行きました!続いてメイトスポートとシーブラックが並んでいます!シンボリルドルフは後方に位置しています!』
今日は差しで行ったか……正解だな。今日みたいな少ない人数で先行を選べば相手のペースにハメられる可能性もある。勿論その逆、こっちの動きを待ってからというのもある。だがルドルフならどちらも対応出来るだろう。
実況『さぁ早くも3コーナーを過ぎて、マリキータのさが少し詰まってきた!メイトスポート、シーブラック、リキサンパワーが差を詰めてきました!!外からハーディビジョンが上がって来た!!シンボリルドルフはまだ動かない、ジッと内で待っている。いつ仕掛けるのか!?第4コーナーをカーブして直線ーーー』
此処だっ!!!
ズサァ!!!
実況『コースへ向きま……おっと!!此処でシンボリルドルフ、最内を突いて一気に先頭に立った!!直線を向いて2番手にマリキータ粘っているが、シンボリルドルフが脚を伸ばして後続を突き放している!!2番手争いにハーディビジョンとハツノアモイ!独走シンボリルドルフゴールイン!!圧勝、直線だけで7バ身の大差っ!!来年の春が今から楽しみです!!』
東条「……凄まじい脚ね、直線だけで7バ身も離すなんて。もしこれで捲られていたら……」
八幡「大差でしょうね、言うまでも無く。」
東条「来年の春、早くも嵐が吹き荒れる予感がするわ。楽しみね。」
八幡「嵐で済むと良いですけどね。」
東条「……どういう意味?」
八幡「今はまだ分からなくていいですよ。」
ふぅ……見ていたかな比企谷君?これが今の私の出来うる最高の走りだ!
最内突いて直線一気で7バ身……格違いますね。