八幡side
年が明け、新年となった。トレセン学園では相も変わらずトレーニングに励んでいるウマ娘が多い。新年だからといってレースが休みになるわけでも無いからだ。俺とルドルフは3月の弥生賞までレースは走らない為、3ヶ月間はクラシック初戦に向けて大幅にパワーアップをする必要がある……要はアホ程トレーニングをするという事だ。と言ってもキツいトレーニングを毎日やるわけではない。ちゃんと休みも挟めるし、軽い日も設ける。ルドルフがどう思うかは分からんが、キツいトレーニングばかりだと身体も心も持たないからな。
ルドルフ「……こんなトレーニングがあるのか、今まで考えた事も無かったよ。やはり君は凄いな……」
八幡「俺が凄いわけじゃない、これを思いついた人がすげぇんだよ。メニューを考えたのは俺だが、その方法を作り出したのは俺の先生の師匠だからな。」
ルドルフ「ほう、そんな人が……」
八幡「俺も手解きを受けた程度だが、たった数時間でこれを覚えてるって事だから余程身に染み込んでるって痛感させられている。」
エアグルーヴ「その方はやはりウマ娘なのか?」
八幡「あぁそうだ。とんでもなく強ぇ人だ、伝説扱いされてるくらいだしな。名前聞いたら絶対驚くぞ。」
ルドルフ「……そういえば君のお師匠さんの名前を聞いていなかったね、何という名前なんだい?」
八幡「悪いが先生はあまり自分の事を話したがらない人でな、先生の名前は教えられない。ただプロフェッサーの名前なら言えるが、知りたいか?」
ルドルフ「うむ、是非とも聞かせてほしい。」
エアグルーヴ「あぁ、聞いておきたい。」
八幡「マンノウォー。」
ルドルフ「………」
エアグルーヴ「………」
……固まったよ。しかも開いた口が閉じなくなってる。まぁそうだよな、アメリカ史上最高とも言われていた人だしそういう反応になるのも頷ける。それに居るだけでも迫力と存在感がすげぇし。
ルドルフ「………っ!す、済まない!放心してしまった……比企谷君、君はとんでもない人から教えを受けていたんだな。」
八幡「手解きだけな?知識や技術を教えてもらっていたのはプロフェッサーの弟子からだ。」
ルドルフ「あぁ、そうだったね……」
エアグルーヴ「しかし、まさかアメリカの伝説【ビッグレッド】が貴様の大師匠とは……」
八幡「俺もプロフェッサーの事は尊敬しているが、あの人は結構子煩悩っぽくてな……そこが少し悩みでもある。控えてほしいんだがな。」
エアグルーヴ「何を言うか、少しの間しか会えんのだぞ?少しは気を遣ってやりたいようにさせてやってはどうだ?」
八幡「お前、そうは言うけどな……ヤバいぞ?着せ替え人形にされたり、写真館で何度も撮影したり、店にもよるがかなり高い所で飯食ったりするんだぞ?しかもそれ全部プロフェッサーの懐から出てんだだからな?俺が少し出そうとしても『少しは私にもカッコつけさせろ!孫弟子は可愛がりたいしな!』って言って全部出すんだぜ?しかも向こうは好意でやってるから文句なんて口が裂けても言えないぞ?お前言えるか?」
エアグルーヴ「………そんな風に来られては何も言えんではないか。」
八幡「だろ?俺も嫌ではないし、せっかく会えたんなら少し付き合おうって気持ちにもなるが、あんな高い金支払わせておいて『もう帰りたい。』何て絶対に言えないから。」
ルドルフ「君も苦労していたのだな。」
八幡「ん〜……まぁそうかもな。」
プロフェッサーは年に2〜3回くらい来てたんだが、その度に何処かに行っていたからな。それに今言ったのだけでなく、アメリカのお土産とかも俺の為に買ってきてくれたりする。皆が想像している苦学生のような生活は全く送ってなかった気がする。バイトも一応してたが、先生のスパルタもあったから1年くらいで辞めちまったしな。今年はどうなんだろう?プロフェッサー日本に来んのかなぁ?
ーーー数時間後ーーー
ルドルフ「ふぅ……ご馳走様。今日も美味しかったよ比企谷君、しかし、もうこれが日曜日の習慣になってしまったな。」
八幡「……なぁ、俺の感覚も戻って来たからもうそろそろいいんじゃね?」
ルドルフ「君はそれでいいのかい?ライスシャワーに料理を振る舞えなくなるぞ?」
八幡「………お前って脅しもするのか?」
ルドルフ「済まないね、私も君の料理の虜というわけさ。願うならば手放したくはないのだよ。」
八幡「はぁ……分かったよ、じゃあ継続な。」
エアグルーヴ「しかし、貴様の料理の腕はかなりのものだな。現代の料理は殆ど精通していると見たが、他には何が作れるのだ?」
八幡「そう聞かれると困るな、作って誰でも食べられる程度には教えてもらったから、何がって聞かれると……和食、中華、洋食でならフランス、イタリアってところだな。」
エアグルーヴ「そんなに作れるのか……」
八幡「教えてもらったからな。とりあえず言っておくが、今すぐフレンチ作れなんて言うなよ?手間掛かる上にめっちゃ集中すんだから。」
エアグルーヴ「ご馳走になった手前そんな事は言わん……多少気にはなるが。」
ルドルフ「君の作るフレンチか……いつか作ってもらいたいものだな。」
ヤバい、教えるんじゃなかった……コイツ等に余計な知識を与えるんじゃなかったかもしれん。
もし2人も料理を強請るようになったら………