比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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雨の日の副会長

 

 

エアグルーヴside

 

 

……先月の弥生賞、会長が見事なレースを披露して勝利を飾り、残り3週間後まで迫っている皐月賞。1ヶ月の中でのトレーニングはかなり短いが、それを何とかするのもトレーナーとしての腕の見せどころだと私は思っている。しかし会長のトレーニングを拝見すると、少しハードに感じる。

 

無論、私が口出しするわけにはいないが、あのトレーニングでは負担が大きいのではと考えさせられる。会長はこう仰られていた。

 

 

ルドルフ『前のレースの際に少しだけ脚を痛めてしまってね、少しだけ休養を取っていたんだ。それに、回復後のトレーニングについても相談して決めた事だ。君の心配はとてもありがたいと思っているが、心配無用だ。本当にダメだと思ったら、その時は君に頼るよ。』

 

 

………あぁ言われてしまっては、こちらから気を使わせるのも会長のお心遣いを無碍にしかねない。

 

 

八幡「歩きながら考え事してると壁にぶつかるぞ?」

 

エアグルーヴ「っ!」

 

八幡「悩み事でもあるのか?」

 

エアグルーヴ「……少し付き合え。」

 

 

ーーーカフェテリアーーー

 

 

八幡「……成る程なぁ、それでルドルフの事を気にしていたのか。」

 

エアグルーヴ「あぁ。特に今は入学式もあって多忙な時期だ、気の休まる暇が無いと言ってもいい。私としても会長には充分な休息を取ってもらい本番の皐月賞に向けて準備をしてもらいたいと思っているのだが、会長にしか任せられない案件というのも存在する。我々では手の出せない事も多くてな、それで少し頭を抱えていたのだ。」

 

八幡「アイツはあまり休むという事をしないからな……それが部下であるお前に悪影響を出してるのは間違い無いな。そこも教えないとダメだな。」

 

エアグルーヴ「おい貴様、会長を侮蔑するつもりか?」

 

八幡「そんなつもりは毛頭無い。ルドルフが超優秀な奴だってのは俺にも分かる、だがそれ故に自分の事を後回しにする傾向がある。それが今の生徒会の悪循環になってる。お前等、あの生徒会室に入って息抜きしてるか?」

 

エアグルーヴ「………」

 

八幡「だろうな。休憩を挟まないかとルドルフに進言してみろ、俺の言った事を出汁にしてもいいから。」

 

エアグルーヴ「お前の放った言葉を使うというのが気に入らんが、もし会長が動かないようであればその時は使わせてもらう。」

 

八幡「使う使わないはお前の勝手だ。上手く誘導すればアイツだって休憩するだろ。」

 

 

……1度試してみるとするか。

 

 

エアグルーヴ「そうだ。お前の焼いたクッキーだがな、アレを定期的に作る事は可能か?前に会長からいただいた時にお前が作ったと聞かされたが、少しの筆休みがティータイムへと発展したのだ。良い材料になるかもしれん。」

 

八幡「使える物は何でも使うってか?副会長は人使いが荒いもんだ全く。」

 

エアグルーヴ「少しでも会長の心にゆとりが出来るのだ、お前にとっても損な話しではないと思うが?」

 

八幡「そういう事にしといてやる。分かった、毎月2週目に作ろう。法則性があった方が楽しみが増すだろうしな。それでいいか?」

 

エアグルーヴ「あぁ、頼む。」

 

八幡「しかし……今日はよく降るなぁ。」

 

エアグルーヴ「あぁ、予報通りといったところだな。」

 

 

今日は雨天予報の為、全生徒が校内に居る。自ら喜んで外に出る者はまず居ないだろう。

 

 

八幡「けどよ、段々強くなってね?午後から勢い少しだけ落ちるって聞いてたんだけど?」

 

エアグルーヴ「まだ梅雨時でもないというのに、これだけ降るというのも中々珍しい。しかし過度なトレーニングを控えられる点では良いかもしれんな。」

 

八幡「今週追い込む奴にとっては残念なニュースだが、今週レースの奴にとっては嬉しい誤算だったかもな。追い切り出来ないのは残念かもだが、余計に追い込まなくて済むからな。」

 

エアグルーヴ「お前ものんびり構えてはいられんぞ。再来週には会長の出る皐月賞だ、会長に無様なレースはさせるなよ?」

 

八幡「わーってるよ。」

 

 

ピカッ!

 

ゴロゴロ∼

 

 

八幡「今度は雷か……流石に雷雨の中傘さして帰るってのは危険かもしれないな。帰る頃には少し止んでくれれば良いんだが………エアグルーヴ?」

 

エアグルーヴ「な、何だ?」

 

八幡「いや、それ俺の台詞。なんか震えてんぞ?」

 

エアグルーヴ「べ、別に何でもないっ!」

 

八幡「?あぁ~そうか?」

 

 

ピカッ!

 

ゴロゴロ~

 

 

エアグルーヴ「っ!」ビクッ!

 

八幡「……雷、苦手なんだな。」

 

エアグルーヴ「ち、違う!雷が苦手なわけではないっ!いきなり光るものが苦手なのだ!今の雷も然り、カメラのフラッシュも正直に言えば苦手だ。」

 

八幡「割と致命的な弱点だな……じゃあ写真撮られる時とか結構我慢してる感じか?」

 

エアグルーヴ「……そういう事だ。」

 

八幡「ふむ……URAに意見書でも出してみるか。キツいフラッシュが苦手な学生も少なからず存在するから閃光を抑えめにしてほしいとか。URAからなら取材陣も受け入れてくれんだろ。」

 

エアグルーヴ「署名してもらえるよう、会長に取り計らおう。」

 

八幡「ん、頼むわ。」

 

エアグルーヴ「……心遣いに感謝する。」

 

八幡「気にすんな、このくらいなんて事は無い。」

 

 

 




フラッシュが苦手な馬って本当に存在してましたからね〜。
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