エアグルーヴside
不覚だった………まさかこうも早く気付かれるとは思わなかった。隠していたつもりは毛頭無かったが、私は奴の眼の事を忘れていたようだ。それがこの結果だ………なんて様だ。結局は療養の為に3日間トレーニングは行わずに体調の回復に専念する事になり、身体の調子を整えるよう言われた。
エアグルーヴ「……情けなくなるな、自分が。」
ーーー栗東寮・自室ーーー
ファイン「あれ、グルーヴさん?今日はお休みなの?いつもならトレーニングしてるよね?」
エアグルーヴ「あぁ……少し熱を貰ってな、9度以上あるから3日間療養するように言われた。」
ファイン「えぇ!?だ、大丈夫なのっ!?」
エアグルーヴ「トレーニング中はやや身体が重く感じてはいたが、今はそんなに感じない。心配を掛けたな。」
ファイン「ううん、気にしなくていいよ。それよりも、私に出来る事があったら何でも言ってね?エアグルーヴさんは大舞台が控えてるんだから。」
エアグルーヴ「………あぁ、そうさせてもらう。」
寝込む程ではないにしろ、少しは安静にしておいた方が良いだろう。夕食の時間になるまでは少し横になる事にしよう。
エアグルーヴ「ファイン、私は夕食の時間になるまで横になろうと思う。時間になっても寝ていたら起こして欲しい。頼めるか?」
ファイン「うん、任せてよ!」
さて、今日の内にでも、体調を少しは戻しておかねばならん。桜花賞回避は絶対に免れねばならん。
エアグルーヴside
八幡side
ルドルフ「そうか、エアグルーヴが………」
八幡「あぁ、お前の見る限りはどうだった?変わった様子は無かったか?昼頃から少し熱っぽいとは言ってたんだが。」
ルドルフ「ふむ……済まないが、私には思い当たる節は無い。特段調子が悪そうには見えなかったし、そんな素振りも見せなかった。役に立てず済まない。」
八幡「いや、気にしなくていい。元を辿れば隠し事をしてたエアグルーヴの責任だからな。」
ルドルフ「だが、あまり彼女を責めないでやって欲しい。君も知ってるとは思うが、彼女は他人だけでなく自分にも厳しい。故に今回の事にも少なからず責任感を感じている筈だ。」
八幡「説教ならもう済ませた。後はアイツの回復次第ってところだ。今はそんなに重度ではないが、もしこれが悪化するようだったら桜花賞回避は確実だ。」
ルドルフ「彼女が聞いたら怒るような内容だな。」
八幡「確かにな。まぁその事も釘を刺しておいたけどな。まぁアイツの事だ、今頃布団の中に入ってんじゃねぇの?知らんけどよ。」
ルドルフ「だと良いのだがね。」
正直な話、どう転ぶかは俺にも分からん。体調が治れば御の字なのだが、充分なトレーニングは出来ない。良くて追い切りくらいだ。まぁこの前のエアグルーヴなら問題は無いが、体調が治っても万全で挑めるかと言われると、答えは100%Noだ。
八幡「まさかクラシック初戦で躓くとはな……思いもしなかった。だが、良い勉強にもなった。入れ込んでたわけではないが、根の詰め過ぎも良くないな。」
ルドルフ「そう僻む事は無い、誰にだってそういう事はある。それに君はまだ新人トレーナーなのだ、4月に入れば2年目になるが、まだ2年だ。それに担当だってエアグルーヴただ1人だけ。その担当を4戦4勝の無傷のままここまで連れてきたのだ、君は間違い無く優秀なトレーナーだと私は断言するよ。」
八幡「そいつはどうも。俺も明日からの事を考えないとな、エアグルーヴの復帰した時のメニューはもう作ってあるが、俺が何をするかだよなぁ〜。特にする事も無くなっちまったしなぁ………」
ルドルフ「であれば比企谷トレーナー。エアグルーヴが居ない3日間の間だけ、私のトレーナーをしてはくれないかい?」
八幡「……お前の?」
ルドルフ「今の言葉で想像はしていると思うが、私は担当トレーナーを決めていない。そもそもその話も余り無くてね、私自身も誰かに走りを見てもらいたいという欲求はあるが、その欲が1番現れやすいのは君と居る時だ。どうだろう、頼めないかな?」
八幡「お前の走りを、ねぇ………一応言っておくが、俺がお前の臨時のトレーナーをする事は誰にも言うなよ?言わなくてもバレるのは確実だが、言うのと言わないのとではまるで違うんだからな?」
ルドルフ「当然さ。それも理解しているつもりだよ。では3日間だけよろしく頼むよ。」
シービーが黙っていないだろうな……俺とルドルフを見た途端に言う言葉が今から頭に浮かんでくる。
八幡「業務中に悪かったな、話は終わったからこれで「まぁ待ってくれ、もう少し話をしようじゃないか。」………お前がそう言うなんて珍しいな。」
ルドルフ「私にだってそういう時くらいはあるさ。それに、こうして2人でいるのも随分と久しぶりだ。」
八幡「お前と2人だけの時ってあったか?」
ルドルフ「おや、あんな出来事があったのに忘れてしまったのかい?君が私を身体を張って守ってくれたじゃないか。」
八幡「身体を張って……あぁ、あの時か。そういえばそうだったな、確かに2人だけだったな。」
ルドルフ「私の立場上、あんな風に出来る相手は居なくてね、よければまたして貰いたいのだが……構わないだろうか?」
八幡「俺って何かしたっけか?」
ルドルフ「君は性格が悪いのかな?」
八幡「嘘だよ、悪かった。」ナデナデ
ルドルフ「………」ピコピコ
尻尾と耳が動いてる………嬉しいんだろうな、まぁ確かにルドルフがこんな事されてる絵なんて想像出来ない。