八幡side
実況『先頭はシンボリルドルフ!!シンボリルドルフ3バ身、4バ身、5バ身のリードを広げてゴールインッ!!シンボリルドルフ快勝っ!!クラシック最終戦の菊花賞に向けて文句無しの走りっ!!見事、クラシックトライアルレースを全て先頭で駆け抜けましたっ!!残すは京都の淀3,000mを残すのみとなりました!!』
八幡「………」
文句無しだな、今の走りなら直線の長い京都レース場でも充分に伸びる事が出来るだろう。問題は京都のトリッキーなバ場をどう攻略するかだ。殆どのウマ娘が長距離はおろか、外回りが未経験だ。なるべくはロスの無い展開をさせてやりたいところだ。
ーーー控え室ーーー
ルドルフ「……八幡君、今日のトライアルレースでも楽な手応えで前に行く事が出来た。次の菊花賞が楽しみだよ。」
八幡「そうだな。今日の展開や走りを見ていても不安に感じるところは見られなかった、残す問題は未経験の京都レース場と距離だな。そこさえ何とかすればこっちのものだ。まぁスタミナについては問題無いと俺は思っている。夏合宿であれだけやったんだ、スタミナはしっかりと身に付いている筈だからな。」
ルドルフ「あぁ。私も少しでもスタミナを維持させる為に早朝に1本だけ夏合宿のトレーニングをしているんだ。」
八幡「そうなのか?1本だけとはいえ、あまり根を詰め過ぎるなよ?」
ルドルフ「充分気を付けているさ。それにそうした方が目覚めも良くなるんだ。」
八幡「……まぁやり過ぎなければ止める気も無いけどよ。」
ルドルフ「……ところで八幡君、手が止まっているのだが?」
………はいはい、すみませんでした。
八幡「はいはい、悪ぅございました。」ナデナデ
ルドルフ「ん……♪」
GⅠじゃないレース場なのに、ルドルフはレース後のナデナデを俺に求めてきている……何かルドルフの奴、ちょっとだけシービーに近付いてるような気がするのは気のせいか?
ルドルフ「やはり君は頭を撫でるのが上手いな……こうしていると、つい時間というものを忘れて楽しんでしまう。」
八幡「じゃあやらない方がいいか?」
ルドルフ「いいや、それは考えられないな。」
……即答なんですね。
ーーー帰路ーーー
八幡「………」
……タキオンからの連絡は今日も無し、まだ正確な成分結果は出てないか。
ルドルフ「例のサプリメントの事かい?」
八幡「ん?まぁな……結果を早く知りたいんだが、タキオンからまだ連絡が無くてな。あのサプリを買っている生徒はもう居ないとはいえ、ウチの生徒が傷付けられたって事実は消えない。1日1秒も早く結果を知りたい。」
ルドルフ「気持ちは分かるが焦っても仕方のない事だ。【急いては事を仕損じる】ということわざもある、今は待つべきだ。」
八幡「……そうだな。」
ルドルフ「それに生徒達もこの件に関しては全員協力的だ。流石に実験のような事は許可はしていないが、エアシャカールやビワハヤヒデといった学園内でも屈指の頭脳を持っている2人も協力している。無駄な結果にはならないさ。」
八幡「あの2人も、そうか……」
多くの生徒が協力していくれているのは確かにありがたい事だ。だがタキオンのように成分解析はしていないだろうから、あくまでも仮説の域を出ない範囲での結論を出すだろう。
八幡sideout
ーーーーーー
八幡とルドルフがセントライト記念を快勝した翌日。八幡はいつも通りの時間に学園へと赴き、生徒の挨拶を返しながら校舎へと向かっていた。そこにはシンボリルドルフとエアグルーヴの姿もあり、珍しい組み合わせの3人での登校となっていた。
八幡「…ん?この時間に仕入れか、珍しいな。」
エアグルーヴ「先日、予定よりも早く発注した品を届けると業者から連絡があってな。いつもなら昼休みになる前が多かったが、今回は早朝からのようだな。」
八幡「みたいだな。」
エアグルーヴ「何だ、気になる事でもあるのか?」
八幡「いや、7月から9月の発注書見てぇなって……」
ルドルフ「?どうしてだい?」
八幡「怪我人が増え始めたのは俺達が合宿に行った時からだ。ルドルフ、あまり購買には行かないと思うが、お前はあのパッケージのサプリを合宿前に見た事あったか?」
ルドルフ「……そういえば無いな。」
八幡「なら確実に何処かのタイミングで誰かしらに依頼をしている筈だ。生徒会が発注していないとすれば残るは教職員関係者になる。そしてそれは必ず責任者に見せるのがどの会社でも鉄則だ。なら………」
エアグルーヴ「駿川氏か。」
八幡「あぁ、頼んでみる価値はあると思う。」
ーーー数分後ーーー
たづな「7月から9月の発注書?」
八幡「はい。購買で販売している雑貨用品類を少し見せてほしいんですけど、可能ですか?」
たづな「……トレーナーさん、それはもしかして例の件ですか?」
八幡「はい、もしかしたら関係あるかもしれないと思って。見せてもらえたらと思って。」
たづな「………当然ですが、学園の書類は外部の人間には見せてはいけない決まりになっています。この学園で雇用しているトレーナーでもそれは変わりありません。ですが比企谷トレーナーはこの一件を全面的に協力してくださっているので、私と一緒に見るという事であれば許可致します。」
八幡「っ!お願いします!」
ーーートレーナー室ーーー
たづな「失礼しますトレーナーさん。」
八幡「っ!すみません、メニューを書いてましたので。どうぞ、座ってください。」
たづな「いえいえ、今や比企谷トレーナーは3冠を獲れるか獲れないかの瀬戸際に立たされている立場。普段以上にトレーナーとしての時間を費やすのは当然です。」
八幡「ありがとうございます。それで発注書は?」
たづな「7月から9月、こちらになります。」
八幡「ありがとうございます。」
さて、何か手掛かりがあってくれれば良いんだが。流石に駿川さんの目を盗んであのサプリをタダで仕入れるのは無理だと思う。向こうから何か交渉があったかもしれないしな。発注書を見て駿川さんに質問をすれば何か分かるかもしれない。
八幡、今度は発注書に目を付けたみたいですね。