比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

711 / 1583
距離感

 

 

八幡side

 

 

菊花賞まで1週間を切り、ルドルフとマルゼンのトレーニングは既に終了して、追い切りに入っている。調子も良好で準備も万全、ルドルフも早く今週の日曜日になれとでも言っているかのような雰囲気だった。それに前走のセントライト記念からずっとルドルフの話題が尽きていない。その日以降からずっと取材やら見学やらとマスコミが増えた。断る理由も無いし、ルドルフも断らないから通していた。まぁサプリの事がバレないかどうかが1つの懸念だったが、大丈夫だった。

 

因みに例の件は駿川さんから理事長に報告したのだが、今は△▲製薬と▲▲商会と話し合いをしているところだ。向こうは分からんがこっちにはちゃんとした証拠がある。それを提示してしまえば向こうはどんな反応をするのやら……それに幾ら社の代表がだんまりを決め込んでも社の全員の意思を一斉統括するなんて不可能だ。社内捜査や職質で不満を持ってる誰かしらは口を滑らせてもおかしくはない。まぁ多分、いつかはボロを出すだろう。

 

 

八幡「……ルドルフ、今のでウマなりか?」

 

ルドルフ「?あぁそうだが……遅過ぎたかな?」

 

八幡「いいや、良いタイムだった。きっとマルゼンとのトレーニングが生きているんだろう、良いペースのまま5ハロンを走り切ってる。」

 

ルドルフ「そうか……八幡君、後2本だったね?」

 

八幡「あぁ、残り2本もお前なりの走りで良いからな。脚を使い過ぎないようにな。」

 

ルドルフ「あぁ、分かった。」

 

 

ウマなりであの走り……これまでで1番の走りかもしれない。しまいの脚も落ちてないしちゃんと伸びてる。前を追いかける脚と抜かさせない脚、ちゃんと身に付いているみたいだ。1年半前に言ってた事が夢じゃなくなってきたかもしれないな。

 

 

ーーートレーニング後ーーー

 

 

八幡「んで、菊花賞2周目の3コーナーの登りと降りには気を付けろ。もし余裕があればその前でスパートをかけても大丈夫だが、もしそうでなければスタミナ維持を心掛けろ。」

 

ルドルフ「あぁ、その方が良いだろう。それで八幡君、道中は先行策でいいのかな?」

 

八幡「あぁ、それで行ってくれ。中団より前の位置で抜け出せる位置が1番良い。まぁでも枠次第だな。」

 

ルドルフ「どの枠になってもそう出来るようにするよ。せっかくの戦術だからね。」

 

八幡「まぁ無理して行かなくてもいいからな。よし、それじゃあこの話はこれで終わりだ。次にちょっと質問したい事があるんだが、よろしい?」

 

ルドルフ「何だい?」

 

八幡「菊花賞後のレースの事なんだが……」

 

 

今の俺とルドルフの距離感だが、2人で部室のソファに座ってるんだが、俺の隣に座ってる。それは別に構わない、なんかシンボリ家に挨拶に行った後から距離が近くなってたから今はもう気にならなくなったんだが、最近は肩がピッタリ張り付くくらいの距離で超近い。テーブルの上に京都レース場の芝コースの構図を置きながらミーティングをしてるんだが、それにしても距離が近過ぎるんだよなぁ………

 

仕方ない、此処はそれとなく距離を取ってみるか。

 

 

八幡「お前はどうしたい?ジャパンCで世界と戦うとか、有マ記念で日本最強を獲るか、もしくは来年に向けて菊花賞後は年明けまで全休にするか。」ササ…

 

ルドルフ「そうだな……私はジャパンCに出てみたいと思う。可能であれば有マ記念も出たい。」ササッ

 

八幡「(え……何で?試しにもう1回。)それだと結構急なローテになるな。秋シニア3冠と似たようなローテになるが、それでもいいか?」ササ…

 

ルドルフ「菊花賞の疲れや状態で判断しよう。だがどちらかには出たいと思っている。」サササッ

 

八幡「(……もう後無いけど、最後の1回。)そうだな、それが現実的だな。取り敢えず今は予定の1つとして頭に入れておく。」ササ…

 

ルドルフ「……ところで八幡君、1つ質問してもいいかな?」

 

八幡「ん?何だ?」

 

 

ガシッ!!

 

 

八幡「っ!?」

 

ルドルフ「さっきから距離を取っているようだが、君は私に近付かれるのがそんなに嫌なのか?」

 

八幡「いや、そういうわけじゃ無いんだが……単純に距離近いなって思ったから。」

 

ルドルフ「では嫌なわけではないんだな?」

 

八幡「まぁ、そうだな……」

 

ルドルフ「では続けよう。」

 

八幡「………え、このまま?」

 

ルドルフ「何か問題でもあるのかい?」

 

 

いや、ありまくりなんですけど………

 

その後はルドルフが俺の腕を掴んだままミーティングを行い、終わった後も暫く離してもらえなかった。帰る時間になって着替えるタイミングで漸く離してもらえた。ルドルフがこんなにも我が儘になったのは初めての事じゃないか?

 

 

ーーー校門前ーーー

 

 

ルドルフ「……その、部室では済まなかった。」

 

八幡「?何の事だ?何も悪い事はしてないだろ?」

 

ルドルフ「いや、つい感情的になってしまった。」

 

八幡「そんなの気にすんな。別に偶には良いだろ……それに、最近はやっとトレーニングの後にゆっくり出来るようになったしな。前まではそんな暇が無かったし、時間を作ってやる事もしなかった。悪いのは全部俺だ、済まん。」

 

ルドルフ「……互いにウマ娘の為にやっている事とはいえ、上手く行かないものだな。」

 

八幡「全くだ。融通が効かないってのも考えものだな、お互いに。」

 

 

……誰も居ねぇよな?

 

 

八幡「……これからはもう少しお前との時間を出来るだけ増やすようにする。」

 

ルドルフ「本当かい?」

 

八幡「約束だ、シンボリルドルフ……いや、ルナに誓って。」

 

ルドルフ「……信じよう。だがその呼び名は外では使わないようにしてくれ。」

 

八幡「そいつは悪かった。」

 

 

 




距離感が近過ぎるのも考えものですよね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。