八幡side
3冠を達成した翌日の月曜日、今日のトレーニングはレース後だから休みにしている。俺とルドルフは普通に学園に通い、授業を受けてメニューを考えてから昼食を作って共に食べ、放課後になった今帰路に着くのが普通なのだが、登校している最中にこんな事をルドルフから聞いた。
ルドルフ『実は昨日、母上と祖母上から連絡があってね。3冠達成の祝いをさせてほしいと言伝を受け取ったんだ。もし君の都合が空いていれば招待したいと言っているのだが、どうかな?』
という伝言をルドルフから聞いて、俺はトレーナー寮へと戻って正装に着替えて校門前でルドルフと一緒に待機している。お呼ばれされるのは2回目だが、何回招待されても慣れないだろうな。
ルドルフ「……っ!八幡君、どうやら来たみたいだ。」
ブロロロロ…
「お嬢様、比企谷様、お待たせさせてしまい申しわけございません。」ペコリッ
八幡「いえ、全然待っていませんので。」
「寛大なお言葉、痛み入ります。では…どうぞお乗りください。当主様と大奥様がお待ちです。」
ルドルフ「あぁ、ありがとう。」
ーーー車内ーーー
ルドルフ「そういえば、母上と祖母上は祝いの席以外に何か言っていたかい?」
「そうですね……大奥様がやけに楽しそうにしておられました。全てを聞いたわけではありませんので断定は致しかねますが、クリフジ……っと何度も仰られていました。」
ルドルフ「クリフジ……祖母上の憧れの存在だというのは聞いた事があるが、八幡君は何か心当たりはあるかい?」
スピードシンボリさん……そんなに楽しみだったんですか?昨日少し話したばかりで今日もですか?コレ、下手したら毎週呼ばれるんじゃないか俺?
ルドルフ「……八幡君?」
八幡「……俺の祖母。昨日の菊花賞出走前にそれが分かってな、そんでいきなり涙流すもんだから俺も超ビックリしたわ。んで機会があったら話を聞きたいって言われてたんだが、昨日の今日でコレだ。」
ルドルフ「なっ!?き、君の祖母だったのかい!?」
八幡「あぁ。」
「比企谷様の実の御婆様っ!!?し、知らずとはいえ大変な御無礼を致しました!!申しわけございません!!」
八幡「あぁいえいえ、そんな事は気にしないでください。それよりも今は運転に集中しましょう?」
「は、はい!」
……と言ったものの、ガチガチになってる。別に損害賠償とかするつもりは無いですよ?訴訟とかも起こしませんから。
ーーーシンボリ家ーーー
ブロロロロ……ガチャッ
スイート「ようこそおいでくださいました、比企谷さん。」
八幡「この度はお招きありがとうございます。」
スイート「いえいえ、急な招待を受けていただいた事にとても感謝しております。ルドルフも3冠、おめでとう。」
ルドルフ「ありがとうございます、母上。」
スイート「それでは「お待ちください、奥様っ!」…?どうしました?」
「実はお屋敷へ向かう最中の車内の会話で、私は比企谷様に大変な御無礼を働いてしまいました!その事を謝罪したいのです!」
八幡「あの……その事でしたら気にしなくてもいいと言ったんですけど……」
スイート「成る程……比企谷さんがこう仰ってくださっているのですので、今回は不問とします。今後は気を付けてください。」
「はい、以後気を付けます!」
スイート「それで、どんな事をしてしまったのです?」
その後、俺の婆ちゃんを知らなかったとはいえ呼び捨てしてしまった事にスイートルナさんは静かにではあるが明らかに怒りを現わしていた。そんで執事さんと一緒に俺に頭を下げた……あの、ホントにそんな事しなくて大丈夫ですから。
ーーー応接室ーーー
スピード「ルドルフ、それと比企谷トレーナー、1日の学業と業務ご苦労だった。招待に応じてくれた事、本当に感謝している。」
八幡「いえ、本来ならこちらからご挨拶に伺うところ。お招き感謝しています。」
スピード「ルドルフも先日の菊花賞は見事な走りだった、3冠達成おめでとう。各方面の方々からお祝いの言葉をもらった。君に直接聞かせてあげられないのが残念でならないが、我慢してくれ。」
ルドルフ「いいえ、祖母上。そのお言葉だけでも嬉しく思います。3冠達成は私の夢の実現の為にも必要不可欠な偉業……達成できた事に喜びを感じています。」
スピード「これも偏に比企谷トレーナーの尽力の賜物だろう。それに、我が一族から【3冠ウマ娘】が誕生したのだ。比企谷トレーナー、君の弛まぬ熱意と尽力に感謝をしたい。本当にありがとう。」
八幡「あの、本当に大丈夫ですから……それに本当に頑張ったのはルドルフです。彼女は3冠達成というとてつもない重圧の中、菊花賞を1着で駆け抜けたんです。まずは娘さん、お孫さんを褒めてあげてください。」
スピード「…そうだな、私の孫は大きない偉業を成し遂げたのだ。それもこれまで1つとして例の無い偉業だ。まずはそれを褒めなければならないな。」
ルドルフ「それでしたら先程「いいや、あれはあくまでも他の方々も祝福してくれたという報告に過ぎない。私個人の祝いの言葉はまだ伝えてはいない。」……祖母上。」
スピード「ルドルフ、先日の3冠達成にはとても胸打たれた……遅れたが祝辞を述べさせてほしい。お前はシンボリ家の誇りであり、象徴だ。」
スイート「改めておめでとうルドルフ。貴女のような娘を持てて、私も誇りに思うわ。」
ルドルフ「………ありがとうございます、母上、祖母上。これからも、精進します。」フルフル
良いもんだよな、褒められるってのは。いくつになってもそれは変わらないもんだ。
いくつになっても褒められるというのは悪い気持ちにはなりませんよね。