八幡side
季節は冬、そんで12月の下旬、街には様々なイルミネーションが装飾されていて雰囲気は既にクリスマスムード。商店街ではケーキ販売をしている店も多いし、チキンや寿司といった豪華な食べ物も注文される時期だ。去年のクリスマスはあまり良い思い出がなかったが、今年は多分そうはならない。何故なら今、俺はシンボリ家に居るからだ。
八幡「しかし、来るのは3回目だってのに一向に慣れないな。やっぱ広過ぎる……」
ルドルフ「ははは、まぁ一般家庭の者からすれば大き過ぎるのは否めないな。」
八幡「流石は名家なだけはある。ていうか今日は全員集まってるのか?」
ルドルフ「いいや、クリスマスで集まる事は無いよ。母上に聞いたが、シリウスとクリスエスは友人と過ごすと言って来ていないよ。だから今日は前回、前々回と同様だよ。八幡君と私、母上と祖母上の4人だよ。」
八幡「そっか……ならまだ良かった。シンボリ家にもきっと分家ってあるんだろ?『誰だコイツ?』とか言われたくないし。」
ルドルフ「流石にそんな事は言う人は居ないとは思うが、安心してくれたのなら良かったよ。」
コンコンコンッ
ルドルフ「どうぞ。」
「失礼致します、ルドルフ様、比企谷様。お食事の用意が出来ました。既に奥様と大奥様には先に食堂に向かわれています。」
ルドルフ「ありがとう、では行こうか。」
八幡「あぁ。」
ーーー食堂ーーー
ガチャッ
………すっげぇ、豪華料理がこれでもかってくらい並べられてる。んで見るからに高そうな酒とジュースが入った瓶を給仕さんが持ってる。
スピード「やぁ八幡君、くつろげているかな?」
八幡「すみません、こんな豪華なお屋敷でくつろげるような耐性がついてないので、くつろげてはいないです。」
スピード「ははは、正直な感想だな。さぁ遠慮せず、こちらの席へ。」
俺とルドルフは食堂を入って右側へと進み、席へと着いた。真ん中にはスピードシンボリさん、向かい側にはスイートルナさん、そしてこちら側にはルドルフがスピードシンボリさん側でその隣に俺だ。席に着いてすぐに後ろの給仕さんがグラスに飲み物を注いでくれた。
スピード「では全員揃った事だし、始めよう。祝、シンボリルドルフの有マ記念制覇とGⅠ6勝目に。そしてついでにクリスマスイブに…乾杯。」
ス・ル「乾杯。」
八幡「か、乾杯……」
ルドルフ「八幡君、そう固くならなくていい。」
八幡「無茶言うな。」
スイート「さぁ比企谷さん、遠慮せずに好きな物を好きなだけ食べてくださいね。その為にご用意したのですから。」
いやいや、だとしても多過ぎますって……男だったとしてもウマ娘の食べる量には絶対敵わないですって。
っと思っていたのも数分前、俺は目の前の料理にかなり夢中になっていた。だってめっちゃ美味いんだからしょうがないだろ?多分数日前とか何週間前とかに仕込んでたと思う。即興でこんな料理は絶対に出せないと思うし。俺がいつも作っている料理と比べたら手間も時間も美味さも数十倍以上だな。
スピード「……時に比企谷君、君はルドルフの来年の目標は決めているのかな?」
八幡「自分の中では、ですけどね。シニアクラス王道路線の完全制覇、一応これを目標にしています。春の大阪杯・天皇賞・宝塚記念、秋の天皇賞・ジャパンC・有マ記念。この6つを同年で制する事です。」
スピード「それはまた……とんでもない事を考えるね。因みにそれをルドルフには?」
八幡「打ち明けてはいません。何せこれは俺が考えていた事、本人抜きにして成し遂げられる事ではありませんし、勝手に進めて良い事ではありません。最終的に決めるのはルドルフですから。まぁ俺はルドルフの進みたい道に沿って協力するだけです。」
スイート「……ルドルフはどう思っているの?」
ルドルフ「八幡君の目標としている今の提示はとても素晴らしいものだと感じています。私も今のを聞いた上でもう1度今後の予定を八幡君と話し合って決めたいと思います。個人的にはとても興味深く、進んでみたい路線だと思っています。」
スピード「そうか……比企谷君、孫娘を来年もよろしく頼むよ。」
八幡「置いて行かれないように頑張ります。」
ルドルフ「そんな事は起こらないと思うんだけどね……」
談笑をしながら食事を摂っていると時間というのはあっという間に過ぎる。食事のペースも落ち着いて飲み物を飲む方が多くなってきた頃合いだ。
スイート「比企谷さん、個人的な事をお聞きしますが、現在のお住まいはどちらになるのでしょうか?ご実家から通われているのですか?」
八幡「いえ、実家はこの屋敷と同じ千葉にあるので、トレーナー寮に籍を置いてます。」
スイート「でしたらささやかではありますが、我々シンボリ家が所有している都内の一軒家に拠点を移す気はありませんか?」
………………はい?
八幡「えっと、何故そのような答えに?」
スイート「今年は我々シンボリ家の学生達が大変お世話になりました。その筆頭であるルドルフは史上初の【無敗の3冠】に加えて3つの冠を頂きました。その背景には貴方という素晴らしいトレーナーが支えてくださっていたからこそ成し遂げられた事……それを踏まえて母上と相談した結果、我々が所有する家を与えてはどうだろう、という決断に至りました。」
いやいや色々とおかしい、おかし過ぎますから。
八幡「いや、自分はトレーナーとして当然の事をしただけであって、そのような事をされるような事は何も……」
スピード「そんな事を言うな、比企谷君。君の成しえた事は君が思っている以上に大きな事だという事を自覚した方が良いぞ?我々日本のウマ娘が目標としてきたウマ娘のシンザン、フレーズとして残っているのは『シンザンを超えろ。』は有名だ。彼女が残した記録は現在に至る約20年もの間、我々の目標だった。それを君とルドルフが超えたという実績があるのだ。寧ろ私はこれでも少ない方だと思っているのだが?」
いや、ダメですって……評価してくれるのはありがたいが、家までくれるか普通?
ルドルフのプレゼントはGⅠ6勝目の有マ記念!
八幡のプレゼントはシンボリ家所有の一軒家!?