比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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越権行為

 

 

スピードside

 

 

スピード「………」

 

スイート「……母上、お気持ちは分かりますが堪えてください。」

 

スピード「分かっているさ、表面上ではな。だが今週のレースは少し複雑な思いだよ。」

 

スイート「……やはり最上の事ですか?」

 

スピード「それ以外に何がある?一族の一員とはいえ、明らかに敵意を向けてきている者と会うのを喜ぶ者が何処に居る?」

 

 

我々は今、関西の大阪に向かっている。その理由は孫のルドルフとシリウスのレースを観る為だ。それだけならば孫達の成長を見られる良い機会だと言えるのだが、情報では既に阪神に居るらしく、レース場入りをしているとの事だ。私の憶測ではあるが、トレーナーとシリウスの元に行って自分の指示通りにやる事を強要していると思う。

 

 

スピード「こんなに足取りの重い移動は初めてだ……ルドルフの大阪杯出走が唯一の救いだろう。」

 

スイート「私も現当主として最大限の事は致します。母上にはご迷惑をおかけしませんので。」

 

スピード「確約出来るか?」

 

スイート「……申しわけございません。」

 

スピード「気にするな。最上が私に絡んで来る事は予想出来ている。スイートも出来る限りで構わない。」

 

スイート「分かりました。」

 

スピード「……この話はこのくらいにしよう。スイート、私は月曜日に比企谷君の家に赴く予定になっているのだが、君もどうかな?比企谷君は来ても問題無いと言っているのだが。」

 

スイート「喜んで同行させていただきます。比企谷さんが引っ越しをしてからまだ1度も赴いた事はありませんので。」

 

スピード「では明日、彼にはそのように伝えておこう。レース後の楽しみが増えたな。」

 

 

ーーー阪神レース場ーーー

 

 

ふむ、やはりGⅠ開催前日という事もあって賑わっているな。シリウスのレースはまだのようだが、どうするべきか……

 

 

ルドルフ「母上に祖母上?」

 

スピード「ルドルフか、壮健そうで何よりだ。」

 

ルドルフ「祖母上も。視察ですか?」

 

スイート「貴女達のレースを観戦しに来たのよ。ところでルドルフ、最上は来ているかしら?」

 

ルドルフ「……叔父上でしたら観覧席へ上がって行くのをお見かけしました。恐らくシリウスのレースがお目当てかと。」

 

スピード「やはりお前もそう思うか……出来れば遭遇したくはない相手だな。」

 

ルドルフ「祖母上もそうお考えなのですね。」

 

スピード「あぁ……ところで、比企谷君は一緒じゃないのかな?」

 

ルドルフ「八幡君でしたら一緒に観戦しています。自分はレースの合間にこうして場内を見回っている最中です。」

 

スピード「そうか。ルドルフ、明日の大阪杯、期待している。」

 

ルドルフ「はい、勝利を掴み獲ってみせます。」

 

 

ーーー数時間後・11R発走前ーーー

 

 

スピード「………」

 

 

コンコンコンッ

 

 

スイート「?どうぞ。」

 

 

ガチャッ

 

 

「失礼致します。私、最上様のお付きをしている者にございます。ご当主様並びに先代ご当主にご報告がございます。」

 

スピード「ほう……何かな?」

 

「先程、最上様が地下バ道の方へと向かわれました。理由はお2人もご承知かと思われますが、指示出しの強要かと思われます。」

 

スイート「……何故それを私達に?」

 

「……最上様のトレーナー様に対する越権行為は異常です。これ以上、過度にトレーナー様の職務を妨害するとなるとシンボリ家に傷が付く事になります。私も出来る限りの対応を行いましたが、力及ばず無駄に終わりました……しかしお2人の声であれば耳を傾けざるを得ないと思い、こちらに来た所存です。」

 

 

ふむ、最上の家の者達も1枚岩では無いという事か。

 

 

スピード「分かった、すぐに向かおう。報告ご苦労。」

 

「勿体無きお言葉。」

 

スピード「行くぞスイート。」

 

スイート「はい、母上。」

 

 

ーーー地下バ道ーーー

 

 

~っ!

 

 

スイート「……母上。」

 

スピード「皆まで言うな、聞こえている。まさかこのような場所で声を上げるとはな……」

 

 

シンボリ家の者として恥ずべき事だ……来て正解だったみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スピード「最上、何をしている?」

 

最上「っ!これはこれはご当主殿に先代殿、このような場所にいかがされましたかな?」

 

スピード「何、聞き覚えのある声が響き渡っていたものでね。辿ってみれば君だったというわけだ。それで、これは何事かな?」

 

最上「先代殿には関係の無い、些細な事です。」

 

スピード「そうか……君、シリウスのトレーナーと見受ける。」

 

「は、はいそうです!」

 

スイート「母上、あまりお時間がありません。此処は……」

 

スピード「うむ。シリウス、君はもう行きなさい。自身のトレーナーを裏切らないようにな。」

 

シリウス「……はい、失礼します。」

 

 

よし、これで話をしやすくなったな。さて………

 

 

スピード「トレーナー君、控え室へ案内してもらえるかな。」

 

 

ーーー控え室ーーー

 

 

スピード「……成る程。トレーナー君だけの言い分を信じるのであれば……最上、君の行っている事は越権行為だ。君はトレーナーでは無い、そんな君がシリウスとトレーナー君に対して命令や指示を出すのはお門違いだ。」

 

最上「しかしですね先代、このトレーナーはシリウスをジュニアクラスの2レースを負けさせているのですよ?2戦目は1着入線にも関わらず斜行によって降着、3戦目は出遅れによる2着、どちらも致命的なミスを犯している。このような初歩的なミスをするトレーナーにシリウスを任せられない。」

 

スピード「確かに過去2戦の内容は君の言った通りだろう、それは認める。だが残りの2戦はどうかな?デビュー戦と東京スポーツ杯ジュニアSはどうかな?危なげ無い勝利を飾っていたように思うが?それを抜きにしてもだ、君の今回の行動はやり過ぎだと言わざるを得ない。言うなれば外部の人間が口出しをする事では無いのだよ。」

 

最上「……話になりませんな。とにかく、私はこの者とシリウスの契約を破棄させるつもりです。当主殿と先代殿は口を挟まないでいただきたい、では失礼。」

 

 

………やはり届かないか。

 

 

スピード「済まなかったね、我々の者が。」

 

「い、いえ!自分がしっかりとシリウスと打ち合わせ出来なかったのが原因なので……あの人にあぁ言われても仕方ないって思ってます。」

 

スピード「……とにかく、君はこれまで通りトレーナーとしての責務を果たしてくれればそれで構わない。我が孫、シリウスをこれからもよろしく頼むよ。」

 

 

……さて、シリウスの走りを観ようか。

 

 

 




賢い皆さんならお父様のお名前だけで分かりますよね?あえてルビは振ってませんけど。
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