八幡side
無事に3日間が終わってエアグルーヴとのトレーニングを再開出来た。未だにギクシャクする部分もあるのだが、それも少しずつ無くなっていくだろう。だが今はそこが問題では無い。うん、今の問題が小さく思えるくらい目の前の問題が大き過ぎる。だって………
ーーー4/7 桜花賞ーーー
桜花賞開催の当日だからである。いや、調整はしたよ?俺も柄にも無く本気でメニューどうしようかって考えながらやった結果、もう2週間経ってたんだよ!何でこんなにも時の流れって早いんだろうな!?何で嫌な時間は辛くて長いのに、良い時間や続いて欲しい時間は短くあっという間なんだ!?神様、おかしくない?普通逆じゃない?何でそういう仕組みにしちゃったの?フクキタルじゃねぇけどシラオキ様、何とかしてくれませんかね!?
エアグルーヴ「……おい、貴様は何をしている?」
八幡「時間の使い方について神様もといシラオキ様に問いかけてたんだよ。嫌な時間は長いのに、良い時間はあっという間っておかしくないかって。」
エアグルーヴ「本当に頭がおかしくなったのか、貴様は?まぁいい、万全の状態ではないが、普段よりは良い感じだ。2週間で完璧に仕上げるのはやはりお前でも至難の業みたいだな。」
八幡「俺にだって不可能くらいある。」
エアグルーヴ「………おい、私の頼み……いや、わがままを聞いてもらってもいいか?」
八幡「……お前からそんな事を言うなんて珍しいな、聞くだけなら出来るが、どうした?」
エアグルーヴ「今回の桜花賞の作戦、先行で行くのは勿論の事だが、スパートのタイミングは私が決めてもいいだろうか?」
八幡「それを口にするって事は、やりたい事があるのか?」
エアグルーヴ「あぁ。」
………エアグルーヴが自分からこんな事を言うのは今までに無い事だ。本人の意見を尊重してやっても良いが、今回は今までのように万全な仕上がりではない。堅実に行きたいのが俺の意見だ。だが………
エアグルーヴ「………」
……仕方ない、俺が折れるか。
八幡「分かった、お前に任せる。作戦も先行じゃなくていい。」
エアグルーヴ「何?」
八幡「お前のやりたいようにやってみろ。それに元々このレースに出る出ないの選択権もお前に委ねた。この大舞台、自分の考えた作戦でやってみろ。相談が必要なら乗る。」
エアグルーヴ「……本当にいいのか?4コーナーまでスパートをかけないと言っても?」
八幡「構わない。お前に勝てる見込みがあるというのなら、そうしてもらっても俺に異存は無い。」
エアグルーヴ「分かった、私の今考えている作戦で行こうと思う。そして………必ず勝つ。」
今までは見せなかった強い目だ。このレースにかける想いは相当強いと思える。何か特別な想いでもあるのか?
「やぁ八幡。」
八幡「っ!先生………取り敢えず、約束は守りましたよ。ちゃんと阪神までは来ました。」
「そのようだ。しかし彼女、今までとは随分と雰囲気が違うように見える。何か理由があるのか?」
八幡「理由は分かりません。ですがそれなりの訳なんだと思います。」
「ふむ……まぁそれは終わった後本人に聞けば良い。我々は席に戻るとしよう。君が若いウマ娘が居た部屋の匂いを嗅ぎたいというのであれば別だがな。」
八幡「気色悪い事言わないでください。」
「冗談だったのだが……些か本格的過ぎたか。」
八幡「今ので冗談ですか………」
ルドルフよりもタチが悪いぞ、今の。
八幡sideout
エアグルーヴside
この舞台はお母様も出た事があるレース、だが惜しくも3着に敗れてしまった。お母様はきっとただの記録でしかないと言うだろうが、1番人気で走った結果が敗北………お母様の無念は相当な物だろう。その悔しさのバネがあったからこそ、オークスでは栄冠を手にする事が出来たとも言えるのだろう。
ハイジ「1ヶ月ぶりね、エアグルーヴ。」
エアグルーヴ「ハイジか……今回ロゼカラーは残念だったな。」
ハイジ「それを言うなら、貴女はよく立ち直ったわよ。今年は妙に熱発が多いとは思っていたけれど、桜花賞だけでなく皐月賞に出走予定のウマ娘も回避してるって聞いてるわよ。」
エアグルーヴ「あぁ、そのようだ。」
ハイジ「おかげで人気もかなり割れてるわ。まぁ貴女が1番人気で私が2番、3番人気にはリトルオードリーっていうフィリーズレビューを勝ってきた娘みたいね。」
エアグルーヴ「ここに来て一気に塗り替えられたな。それにフェアリーを勝ったマックスロゼというのも気になる。違う路線からのウマ娘達が一気に頭角を表してきたのだからな。」
ハイジ「お互いに気にするところが多そうね。まぁ今回のレースは前回のようには行かないわ。」
エアグルーヴ「望むところだ。」
お母様………慰めにもなりません。トレーナー、これは私の独りよがりだ。ただの親不孝な娘で精神肉体共に未熟な担当ウマ娘の我が儘をトレーナーに押し付けました。私がその無念、晴らせて見せましょう!!
エアグルーヴ「母の……ダイナカールの走りで!!」