八幡side
俺とルドルフ、シリウスと先輩はスイートルナが手配してくれたリムジンに乗ってシンボリ家に向かっている。現在、ウイニングライブが終わってすぐなので既に夜だ。あのおっさんの発表のせいで俺達4人は取材班達に追われててんてこまいだった。マジでこれに関してキチンと説明してもらわないと俺も収まらないし、納得もしない。ルドルフの目標を無視してまで成し遂げなければならない事だとは思わないし、シリウスと先輩の賭けだって意味が無くなっちまう。
シリウスT「……比企谷、シンボリ家って行った事ある?」
八幡「かれこれ3回くらいはお邪魔していますね。去年のダービー後と3冠達成の時とクリスマスの時で3回です。まさか今度はこんな形でお呼ばれされるとは思いませんでしたけど。」
ルドルフ「恐らく祖母上も家に到着されているだろう。そして叔父上を逃すまいと行動している筈だ。」
シリウス「だろうな。流石にあれはやり過ぎだしな。」
八幡「一応聞いておきたいんだけどよシリウス、お前は親父さんのあの発表どう思ってんだ?海外に興味があるってのは本当の事なんだろ?」
シリウス「当然興味はある、だがこんなに早く話が出るとは思わなかったのも事実だ。」
まぁ、だろうな……これでもしシリウスとも裏で通じ合っていたのだとしたら、先輩に対する裏切りだしな。それが無かっただけでも安心した。
ーーーシンボリ家・応接室ーーー
コンコンコンッ
「大奥様。お嬢様方並びにトレーナー様をお連れしました。」
スピード『入れて差し上げろ。』
「失礼致します、どうぞ中へ。」
来た事はあるのだが、以前とは空気が全く違う……すんげぇピリピリしてる。そのオーラを出しているのは間違いなくスピードシンボリさんで、隣に居るスイートルナさんも明らかにいつもと雰囲気が違う。そんな中で悪びれる様子も見せないあのおっさん………
スピード「夜分遅くに済まなかったね。事が事だからね……さぁ、そちらにかけると良い。」
八幡「はい、失礼します。」
スピード「人数分の紅茶を頼むよ。」
「かしこまりました。」
スピード「………さて、揃った事だし早速始めようか。まずは最上、あの発表はどういうつもりだ?」
最上「どうも何もそのままでございます先代。」
スピード「海外遠征を目標にするのは構わない。だが先の発表、あれは君の独断によるものだという事は把握している。君にはそんな権限は無いと思うが?」
最上「しかしですね先代、シリウス程のウマ娘が国内で胡坐をかいて終わるというのは才能をみすみすドブに捨てるのも同じ。これはルドルフにも同じ事が言えます。去年のジャパンCを見れば分かるでしょう?既に日本のレベルは世界レベルに匹敵している。それなのに国内にとどめておく理由が私には理解できない。」
スイート「それで、海外遠征の発表をしたと?」
最上「その通りです。」
シリウスT「そんなのただの横暴ですっ!僕達は今日のダービーで実力を示す為に研鑽を重ねました!それなのにいきなり海外だなんて……」
最上「元々君にシリウスを任せるつもりなんて無いのだよ。それにだ、今日のダービーでシリウスが勝つ事くらい分かっていた。ならば娘の為に将来の事を考えるのは当然の事だとは思わないか?」
シリウスT「そ、そんなの詭弁ですっ!!」
最上「何だと?」
シリウスT「親であろうが誰であろうが、シリウスのレースを勝手に決められる権限はありません!レースを決めるのは僕ですっ!シリウスと今後の事を相談してどのレースを選ぶのか、どれが最善かを試行錯誤して、それからレースを決めますっ!」
最上「そのような大口を叩くからには既に次走は決まっているのだな?言ってみたまえ、シリウスは今後どんな行動をしてどのレースに向かうのかを。」
スピード「最上、今の君は誰かを責められるような立場には無い。自分の立場を弁えろ。」
最上「私は当然の事を質問しているだけでそれ以上の事は「あの。」なに……何だね?」
八幡「スピードシンボリさんの言っている事は最もな事だと思うんですけど。」
最上「今は私と彼が話しているのだ、関係ない者は「おい……」っ!?」
八幡「理解力のねぇ奴だな?お前のアホみたいな能書きなんてどうでもいいんだよ……意味のねぇ事喚くなって言ってんだよ。」
最上「き、貴様!誰に向かって「今はお前が誰かなんてどうでもいいんだよ。質問してんのはこっちでお前は受け答えすればそれでいいんだよ。お前の都合なんざ知るか。」………」
八幡「…すみません、我慢が出来なかったもので。続けてください。」
スピード「いいや、構わない。感謝する……それで最上、海外遠征の理由は先の通りかな?」
最上「……えぇ、その通りです。」
スピード「ふむ……では次にシリウス、トレーナー君に聞こう。最上の遠征、君達はどう思う?」
シリウスT「……さっきも言いましたけど、横暴だと感じました。海外に興味が無いわけではありません。けど勝手に次走を決められるのは担当トレーナーとして無視は出来ませんし、認められません。」
シリウス「……私は海外に行っても良いと思っています。」
シリウスT「っ!!シリウス!」
シリウス「元々、私は海外のレースは興味がありました。なので父の発表は驚きはしましたが、反対するつもりはありません。」
シリウスT「シリウス………」
どうやらまだ話は続きそうだな……まぁそれは別に構わない。俺はルドルフの帯同について納得のいく理由を聞ければそれで構わない。移動の時にも思ったが、国内の王道路線制覇という目標を無しにしてまで帯同する理由が知りたいしな。