比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

782 / 1583
初の阪神

 

 

八幡side

 

 

実況『今年上半期のGⅠも次のレースで最後を迎えました!100人以上のウマ娘達が栄光を掴む為にその身を激しくぶつけ合いましたが、1着を獲り栄冠を掴み、手にする事が出来たのは僅か11人のみ!!これから行われるGⅠ宝塚記念でも同じような激しい戦いが繰り広げられるでしょう!!阪神11レース、GⅠ宝塚記念に出走するメンバー11人をご紹介致しますっ!!』

 

 

タリアト「済まないな、私までこのような席を用意してもらって。」

 

スピード「いえいえ、貴方は私の孫がお世話になっている比企谷トレーナーの恩師、無碍な扱いなんて出来る筈がありません。それにタリアト殿もお弟子さんとの時間は大切にされたい筈……我々が場を用意する事はあれど口を挟むような事は致しませんので。」

 

タリアト「気を遣わなくもいいというのに……だが、気持ちは受け取っておこう。」

 

 

宝塚記念当日となり、ルドルフも仕上がりは充分。万全の状態で阪神レース場へ赴いている。ここだけの話だが、昨日から現地入りを果たしている俺達はこの大阪の街を楽しんでいた……だって正直な事を言う、俺もルドルフもこれまでで1度も大阪来た事無かったんだもん!たこ焼きとかお好み焼きとか串カツとか食いたくなるのは当然だろっ!?まぁルドルフは今日のレースのパフォーマンスを落とさないようにある程度セーブはさせたけど。本場の料理はどれも美味かったなぁ~。

 

 

実況『3枠3番、1番人気……シンボリルドルフッ!』

 

解説『中山記念、大阪杯、天皇賞・春と連勝記録を更新しているこのウマ娘が他のライバル達を押し退けて圧倒的1番人気です。状態も見るからに良さそうですし、この宝塚記念を勝利して春のシニア3冠を達成して欲しいですね。』

 

実況『歴史的快挙を目にしたいものですね!さて、続いては……』

 

 

解説も言っていたようにルドルフの調子は良い。これまでで1番と言われると見劣りはするが、それでも実力を充分に発揮できる状態にあると俺は感じている。

 

 

タリアト「見事な仕上がりだな、八幡。」

 

八幡「っ!」

 

タリアト「天皇賞・春から宝塚記念までは1ヶ月と少々……時間は多少あるとはいえ、あの仕上がりはそう思わざるを得ない。だが、これまでで1番では無いのが残念だな。」

 

八幡「……先生はやっぱり見抜いてたんですね。すみません、最高の状態をお見せ出来なくて。」

 

タリアト「構わないさ。私も君達の事情はある程度知っているつもりだ、最近ニュースや記事にもなっていたシリウスシンボリの事だろう?」

 

八幡「………」

 

タリアト「責めるつもりは無い、寧ろそれがあった中でこの仕上がりは大したものだと褒めたいところだ。」

 

八幡「……ありがとうございます。」

 

スピード「タリアト殿もご存知でしたか。我が一族の者がお恥ずかしい……」

 

タリアト「いいや、構わないさ。確かに今の日本は海外への挑戦に消極的だ、彼女の実績次第では起爆剤になるかもしれないぞ?」

 

スピード「だと良いのですが……一族をまとめていた元当主としては少々心配ではありますので。」

 

タリアト「私にはその重荷を理解してやる事は出来ないが、君が思っている程今の若い世代達は弱くは無いと思うぞ。日本には【飛んで火にいる夏の虫】という諺があるが、敢えて険しい道を進む事によって見えてくるものだってある。かつての君がそうしたようにな。」

 

スピード「っ!」

 

 

……重荷を理解してやれないと言った割にはスピードシンボリさんの事をよく理解している。海外遠征で結果を出せなかったスピードシンボリさんの心情を汲み取って言ったんだろうな。

 

 

スピード「……そうですね、もう少し若者の力を信じなければいけませんね。」

 

タリアト「あぁ。我々のようになってしまっては走りで語る事は出来ない、それが出来るのは【今】というターフを走っている彼女達だけだ。ならば我々に出来るのは【かつて】という自身の身で体験・経験した事を語る事だ。よく言うだろう?【背中を見て育つ。】っと、それと道理は同じだ。」

 

スピード「………ご高説感謝いたします、勉強させていただきました。」

 

タリアト「何、ただの戯言だ。八幡、お前もそろそろ行きなさい。最後の発破をかけてやると良い。」

 

八幡「はい。先生、自分からも感謝します。ありがとうございました。」

 

タリアト「ふっ、気にするな。」

 

 

でも事実、先生の言葉には未だに学ばされる事が多い。

 

 

ーーー控え室ーーー

 

 

ルドルフ「やぁ八幡君、準備は万端だ。後は1番最初にゴール板を通過するだけだ。」

 

八幡「……みたいだな、俺から言う事は無さそうだ。思い切り走ってこい。」

 

ルドルフ「あぁ、【皇帝】の走りを見せてこようっ!!」

 

 

………まぁ、これから3冠最後の関門に挑むわけだ。褒美を考えておいてもいいか。

 

 

八幡「ルドルフ、このレースに勝って春3冠を達成出来たら……来週の日曜日の休み、俺の出来る範囲で付き合ってやる。」

 

ルドルフ「っ!その言葉、確かに聞いた、もう取り消せないぞ。」

 

八幡「俺から言ったんだから取り消しはしねぇよ。」

 

ルドルフ「……どうやら負けられない理由が1つ増えてしまったようだ。俄然やる気が出てきたよ。」

 

八幡「こんな事でやる気出るのか?」

 

ルドルフ「出るとも。さて、私も行くよ。私の走り、しっかりと見ていてくれ。」

 

 

楽しみではあるんだが、後の不安が大きくなってしまった気がする………

 

 

 




史実では無念の回避でしたが、果たしてっ!?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。