ルドルフside
喫茶店では実に良い時間を過ごせた。八幡君には少々強要させてしまったが、最後には折れてくれたから理解してくれたのだろう。今は喫茶店を出て商店街へと向かっている、その理由は今晩の食事を食材を買う為だ。驚いた様子も無く淡々と納得した八幡君に質問したところ『どうせ俺の家に来るつもりなんだろうなって思ってたから驚きもしねぇよ。』との事だった、流石は私のトレーナー、理解が早いというよりも、先読みまでしていたとはね。
ルドルフ「ところで八幡君、今日は何を作る予定なんだい?」
八幡「ルドルフの食べたい物を作る、って言ったらどうする?」
ルドルフ「……本当に作ってくれるのかい?」
八幡「俺が作れたらの話だけどな。」
ルドルフ「その気持ち、確かに受け取った、嬉しいよ八幡君。だがついさっき昼食を食べたばかりで、食べたい物はあまり思いつかなくてね……」
八幡「まぁだろうな、正直俺も晩飯何が食いたいかと聞かれても、腹一杯だから何も分からんって答えるだろうな。」
ルドルフ「では和食を作ってもらえるかな?君が思い浮かべる品を作ってくれて構わない、それで構わない。」
八幡「ん、分かった。」
ーーー商店街ーーー
「おっ、比企谷さんじゃないか!またGⅠ勝ったんだってな?すげぇな~!ホレ、コイツはお祝いだ、持ってけっ!!」
「春の3冠を達成したんでしょ!?また3冠獲っちゃって~凄いのねぇ~!ちょっと待ってて………はいコレッ、お祝い!またGⅠ勝っとくれよ!!」
「シンボリルドルフのトレーナーがいつも此処で買い物してるって有名になっちまってよ、おかげで最近は潤って仕方ねぇぜ!コイツぁその礼とこの前のレ-スのご祝儀だ、美味しく食ってくれや!」
「この前GⅠを勝ったと思ったらまた勝ってしまったんですね、凄いです!コレ、少ないですけどお祝いです!」
………凄いな、八幡君は。商店街の方々にこんなに慕われているのか。しかし、あっという間に大荷物になってしまったな。そしてその荷物を当たり前のように台車で運びながら買い物とは………
八幡「ルドルフ、味噌汁の具に何か拘りとかあったりするか?」
ルドルフ「っ!いや、特には無いよ。」
八幡「ん、じゃあジャガイモにするか。みそ汁はこれでオッケーだから他は……」
……凄い集中力だな。
その後我々は食材の購入を済ませた後、トレセン学園へと向かった。そこに八幡君の車があるからだ。
ーーートレセン学園・トレーナー室ーーー
八幡「少しだけ休んでから行こうか、まだ慌てる時間でもねぇし。」
ルドルフ「あぁ、そうしようか。」
八幡君は備え付けのソファに座って楽な体勢を取っていた。私も八幡君の隣に座って気持ちを落ち着かせてから頭を彼の肩に置いた。
八幡「いいのか?桐生院が来るかもしれないぞ?」
ルドルフ「その為に鍵をかけてある、心配ない。」
八幡「他人に見られたくないのか?個性だから別に……お前の場合はちょっとギャップがある過ぎるな。」
ルドルフ「そうだろう?きっと皆は驚くだろうな……故にあまり見せたくないというわけだ。」
八幡「まっ、人前で誰かにくっつくようになったら壊れたんじゃないかって思われるだろうしな。」
ルドルフ「家族以外では君だけだろうな、こんな風に出来るのは。」
八幡「2人になったら甘えん坊のルナになるからな。」
ルドルフ「……甘えん坊になった覚えは無いのだが?」
八幡「じゃあおねだり上手と言っておこうか。」
むぅ……否定したいところだが、あながち間違いでは無いから否定がしづらいな。仕方ない、今日のところはこれで納得しよう。
八幡「………」ナデナデ
ルドルフ「………」ピョコピョコ
八幡「中々良いもんだな、こうやって1日完全オフにすんのも。」ナデナデ
ルドルフ「お互い、休みであっても何らかの形の延長戦でトレーニングやレースの事を考えてしまうからな。こんな日も作らなくてはな。」
八幡「だな……」ナデナデ
ルドルフ「……八幡君、膝枕に変えてもいいかい?」
八幡「好きにしろ。」
ルドルフ「では遠慮無く……」
……こうして膝枕をしてもらうのは天皇賞前日のホテル以来だろうか?やはり心地良いな、これは。
ーーー1時間後・八幡の家ーーー
八幡「どうする?もうちょっと待ってから夕食にするか?それとももう食べたいか?」
ルドルフ「そうだな……調理を始めている内に空いてくるだろうから、準備に取りかかろう。私も手伝うよ。」
八幡「そうか?なら味噌汁を頼む、俺はその他をやる。大体は朝食に作ったのがまだ残ってるから、やるのは買ってきた食材の調理だけだ。」
ルドルフ「それではすぐに出来てしまうのではないか?」
八幡「時間の掛かる料理もあるから心配無用だ。」
ルドルフ「そういえば君と肩を並べて料理をするのは初めてだな、邪魔をしないように気を付けるよ。」
八幡「そんな事気にしなくても平気なんだがな。」
そんなやり取りをしつつ私達は夕食の調理を始めた。八幡君は後頭部に目でも付いているのか、私の欲しいと思っていたタイミングで必要な器具や調味料を用意してくれる……頼もしいを通り越している。
ルドルフ「八幡君、味噌汁の味の濃さはこのくらいか?もう少し濃い方がいいかな?」
八幡「……これでちょうど良い。」
ルドルフ「ん、承知した。」
八幡「こっちの肉じゃがの味どうだ?」
ルドルフ「……優しい味付けだ、美味しいよ。」
八幡「じゃあこれで行く。」
お互いに味の確認や進捗具合を確認しながら調理を進め、空腹になった頃には料理が出来上がっていた。八幡君と共に作業をしたからか、良い出来になったとおもう。
何気に八幡だけでしたからね、料理するのは。