エアグルーヴside
桜花賞を走り終えて順位が確定した。今私は取材陣の前でインタビューを受けるところだ。私としても、この勝利は大きい。
「今回、見事にクラシックティアラ路線、桜花賞を制したエアグルーヴさんです。おめでとうございます。」
エアグルーヴ「ありがとうございます。」
「今のお気持ち、いかがですか?」
エアグルーヴ「素直に嬉しいです。そして、このレースは母も走っていました。そのレースに出走出来て、かつ勝利を掴む事が出来たので、喜びも大きいです。」
「直線では内ラチ沿いから一気に先頭を抜けましたが、あれは予想通りの作戦だったのでしょうか?」
エアグルーヴ「はい。内側の枠だったので、無理に外には出さずにこのままレースを進めて、最後に纏めて差しに行くと決めていたので、作戦通りです。」
「この次は、エアグルーヴさんのお母様も優勝されました、オークスです。距離もかなり延長となりますが、どうでしょう?」
エアグルーヴ「距離延長は不安材料ではありますが、自身のトレーナーと共に対策をしながらトレーニングに励みます。」
「この度無敗の桜花賞ウマ娘となりました。そして無敗のティアラ2冠ウマ娘は歴史上僅か1人ですが、その辺りはどうお考えですか?」
エアグルーヴ「無敗の事は考えていませんでした、私は私の走りで出来る事をするだけです。しかし、此処まで来たのであれば、無敗のトリプルティアラを目指します。」
「ありがとうございました、桜花賞を制したエアグルーヴさんでした!」
ーーー控え室ーーー
無敗、か………そういえばそうだったな。ジュニアシーズンも今のクラシックシーズンも無敗で、先頭を駆けていたのだったな。ティアラ路線でこれまで3冠を達成した人物は1人だけ、メジロ家のメジロラモーヌ殿だ。この方だけがこれまでのティアラ路線で3つの冠を手にした人物だ。それ以来誰もトリプルティアラの称号を得ている者は居ない。
エアグルーヴ「オークスが最大の難関だが、今の私ならば………いや、慢心するべきではない。私はお母様に比べるとまだまだだ。常に上を目指さなければならん!」
コンコンコンッ
エアグルーヴ「どうぞ。」
八幡「失礼する。」
エアグルーヴ「貴様か……私の走りはどうだった?」
八幡「内を行ったのはお前の作戦みたいだな。あの脚には驚かされたぞ。」
エアグルーヴ「そうか……」
八幡「だが、今日のお前の走りを見てると思う事がある。今日のお前の走りはお前らしくなかったぞ。作戦を任せたのは俺だから咎めるつもりは無いが、どうして今回は先行じゃなくて差しでレースを?」
やはり口を出してきたか……当然だな。
エアグルーヴ「このレースは過去に私の母も走っているんだ、結果は3着。追い込んだは良いが先頭には届かなかった。だからというわけではないが、私はどうしてもこのレースに勝ちたかった。オークスと同じくらいに。そして今回、あの作戦にしたのも、母の想いと共に走りたかったからだ。」
八幡「……成る程、とりあえず分かった。野暮な事を聞いたな。」
エアグルーヴ「いや、構わない。貴様はトレーナーとして当然の事を聞いただけだ。私は咎められて当然の事をした、質問されて当然だ。」
八幡「残りはウイニングライブだな。明日は休みだからしっかり身体を休めておけ。オークスまでの期間は1ヶ月と少しだ。2,400mでもバテないようなメニューで行くから覚悟しておけよ。」
エアグルーヴ「あぁ、分かっている。よろしく頼むぞ。」
八幡「あぁ。」
次はいよいよオークス、お母様が輝いたレースだ。次も必ず勝ってみせる!!
エアグルーヴsideout
八幡side
エアグルーヴの走り方については理解した。まぁ今回は全て任せたからな、俺も強くは言えないしそんな義理も無い。だが次はエアグルーヴが1番勝ちたいと望んでいるレースだ、これは流石に全てを委ねるわけにはいかない。俺がしっかり手綱を握ってトレーニングや展開を指示してやらないとな。
八幡「さて、これから忙しくなるな。夏合宿も始まるし、やる事が増えるなこりゃ。」
♪〜♪〜
ん?電話?
八幡「もしもし、どうした○○?」
後輩『せ、先輩!!す、すいません急に電話して!!でも俺、どうしたらいいか……!!』
八幡「落ち着け○○、トレーナーのお前が慌てんな。ていうか何で俺に電話して来た?」
後輩『………バブルが骨折したんです。』
八幡「……何?」
後輩『トレーニングしてる時に右脚が痛いって言ってたので、ちょっと様子見たら腫れてて、それで「今何処だ?」っ!!ト、トレセン学園内の診療所です。』
八幡「分かった、すぐ行く。待ってろ。」
バブルが骨折………
ーーー数時間後・トレセン学園・診療所ーーー
八幡「○○。」
後輩「っ!!先輩、来てくれたんですね!!」
八幡「あぁ、それで医者は?何て言ってた?」
後輩「その、聞くのが怖くて……出来れば先輩も一緒に聞いてくれないかと思って………」
八幡「………分かった、付き添う。」
ーーー診察室ーーー
医者「骨折したのは先程お伝えしましたが、完治までには全治6ヶ月です。なので、クラシックは諦めてください。たとえ治ったとしても、3,000mを走り切れるとは思えませんし、その距離を走ればまた骨折という事にもなりかねません。」
後輩「………そ、そんな………先生、何とかならないんですか!?バブルは皐月やダービーや菊花も全部勝つつもりでトレーニングしてたんですっ!!」
医者「………残念ですが、年内のレースに復帰出来る可能性は絶望的です。来期に向けて今を大切にした方が賢明かと。」
後輩「………」
八幡「骨折はどのくらいの重度なんですか?」
医者「競争能力を喪失してはいませんが、完治に半年はかかりますので軽度とは言えません。中度と重度の間くらいだと思ってください。」
中々に重傷だ………確かにこれは年内のレースを諦めた方が良い。でないと、本当にバブルは競争能力を失ってしまうかもしれない。
ヤバい、なんか書いてる自分も泣きそうになってくる………