比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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強い覚悟

 

 

八幡side

 

 

診断結果は全治6ヶ月。だから復帰は早くても年内ギリギリの12月になるか、来年のシニアシーズンになる。クラシック出走はどちらにしても絶望的。バブル本人も3冠獲得に闘志を燃やしていただけに、この結果はかなり伝えづらい。いや、まぁ俺が言うべきではない事なのだろうが、いきなりこんな現実を突き付けられた新人のトレーナーには荷が重過ぎる。

 

バブルは元々古参のトレーナーについていたのだが、去年の秋頃に入ってきたこの新人トレーナーと仲が良かった事からメイントレーナーからお前が育ててみろと指示を受けてサブのコイツが面倒を見ていたのだ。極めて順調に育てられていたから朝日杯FSを勝たせてやれたんだ、トレーナーとしての素質を充分に示したと言っても良い。

 

だが本番のクラシックを前にして骨折とはな………

 

 

後輩「………」

 

八幡「………」

 

 

流石にトレーナーのコイツもかなり堪えているようだ。目に見えて落ち込んでいる。まぁ分からなくもない、任せられた期待のウマ娘を本番1週間前に骨折なんて、一般の目線からしてみればとんでもない大失態だ。だがそんな事を言っても仕方のない事だ。

 

 

八幡「いつまでも落ち込んでても仕方ない。バブルに伝えに行くぞ。」

 

後輩「……けど、どうやって伝えたら………」

 

八幡「言われた事をそのまま伝えるしかないだろ。変に遠回しに伝えても意味なんてねぇよ。メインのトレーナーには俺から伝えておく。お前はバブルに伝えに行け。」

 

後輩「………はい。」

 

 

ーーー診療所・外ーーー

 

 

メインT『そうか、コースで見かけないと思ったらそんな事になってたのか………』

 

八幡「はい。俺も呼ばれたので一緒に結果を聞きましたが、残念です。本当ならアイツから先輩に言うべきなんでしょうけど、今も相当ショックを受けてるみたいなんで、あんま責めないでやってください。」

 

メインT『そんな追い討ちかけるような事はしねぇよ。取り敢えず分かった、俺も今日のトレーニングが終わったら診療所に行く。色々悪かったな比企谷。』

 

八幡「いえ、大丈夫です。じゃあ俺もバブルの所に行って来ます。」

 

メインT『あぁ、よろしく頼む。』

 

八幡「はい、じゃあ失礼します。」

 

 

………さて、じゃあ行くか。

 

 

ーーー病室ーーー

 

 

コンコンコンッ

 

 

八幡「入るぞ。」

 

後輩「あっ、先輩。すいません電話お願いして………あの、○○先輩はなんて言ってました?」

 

八幡「今見てるウマ娘のトレーニングが終わり次第、こっちに来るそうだ。だからそれまでお前がバブルの傍に居てやれ………結果は聞いたか、バブル?」

 

バブル「………うん。」

 

八幡「そうか………俺は口下手だからこんな事しか言えんが、残念だったな。こんな言葉じゃ足りないくらい悔しいのは理解してるけどよ。」

 

バブル「……あたしも骨折してるなんて思ってなかった。走ってる時に痛いって思ってすぐにトレーナーに言ったら………こんなのって無いよ、皐月もダービーも出られないなんて………」

 

 

バブルは布団を強く握り締めていた。今にも零れ落ちそうな涙を堪えながら震えていた。

 

 

後輩「バブル、ごめんな……俺がもっとしっかりお前の事を見てやっていればこんな事には「トレーナーのせいじゃないよ!あたしももっと自分に気を配っていればこんな事にならなかった!」………バブル。」

 

バブル「だからさ、今は一刻も早くこの怪我を治す事だけ考える!クラシックはもう諦めるしかないけど、走れなくなったわけじゃない!クラシック走れない分、来期に向けて頑張るしか無いじゃん!」

 

後輩「バブル………」

 

 

強いウマ娘だ。クラシックを目前にしてそれを断たれたってのに、折れずに前を見ている。こんな大舞台の前で怪我をして出られないって知ったら、自暴自棄になってもおかしくはない。なのにコイツは………大した胆力だ。

 

 

バンッ!!

 

 

後輩「っ!!せ、先輩?」

 

八幡「お前が慰められてどうすんだよ、普通逆だろうが。端から見るとお前が乙女でバブルが男前過ぎんだろ………ふぅ、お前の相棒がこんだけの事を言ってくれてんだ、お前もトレーナーを引き受けたんなら覚悟決めろ。」

 

後輩「………」

 

八幡「んじゃ俺はもう行く。バブル、怪我が早く治ると良いな。」

 

バブル「うんっ!」

 

 

元気な奴だと思ってたが、俺達が元気つけられるとは思わなかった。だがアイツもバブルの言葉と覚悟を目の前で聞かされたんだ。こんな所で投げ出すようなバカではない筈だ。

 

 

prrr…prrr…っ!

 

 

メインT『どうした比企谷?何かあったのか?』

 

八幡「いや、大した事じゃないんですけど一応知らせておこうかと思って……大丈夫ですか?」

 

メインT『バブルの事なら俺も気になってるから、時間が無いなんて言ってられねぇよ。で、何だ?』

 

八幡「先輩が思ってる程、バブルは弱い奴じゃなかったですよ。」

 

メインT『……どういう事だ?』

 

八幡「アイツ、年内レースは諦めるしかないって知ったら、クラシック出れない分、来シーズンに向けて頑張るしかないって逆にトレーナーのアイツが慰められてましたよ。」

 

メインT『……そうか。俺もアイツも良いウマ娘に巡り会えたんだな。』

 

八幡「えぇ……間違い無く。先輩、サポートが欲しくなったら言ってください。俺もバブルの気持ちを知った手前、無碍には出来ません。」

 

メインT『それは今バブルのトレーナーを任せてる○○に言ってやってくれ、きっと喜ぶ。俺はバブルをこのまま○○に任せるつもりだ。ここまで来たら最後までアイツに面倒見させるよ。』

 

八幡「まぁ○○なら放り投げるような事はしないですよ。もししたら俺が梃入れでもしますよ。」

 

メインT『あぁ、その時は一緒に殴りに行くぞ。』

 

八幡「怖いっすよ……じゃあ、また。」

 

メインT『あぁ、またな。あぁそれともう1つ!』

 

八幡「?」

 

メインT『桜花賞制覇、おめでとう。』

 

 

………ありがとうを言う前に電話を切られてしまった。礼くらい言わせて欲しい。

 

 

八幡「さて、俺もバブルに負けないくらい頑張りますかね。」

 

 

 




バブル……男前過ぎる………
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