八幡side
ルドルフ「ふっ……ふっ……ふっ……っ!」
八幡「………」
ピッ!
ルドルフ「ふぅ……どうかな?」
八幡「ん、良いタイムだ。調子は落ちていなさそうだったから何よりだ。よし、後2本走って今日は終わりだ。分かってると思うが、身体の感覚を確かめる程度に走れよ。」
ルドルフ「あぁ、承知しているよ。」
菊花賞が終わった翌日の放課後。俺とルドルフはいつも通りコース場でトレーニングをしているが、今週は天皇賞・秋が控えている為に内容自体は軽めだ。だから舞の練習も本分である走りに影響しないように動きだけ確かめながらやるつもりだ。それと奉納舞の衣装も届いて、その衣装を身に付けながら本番さながらの緊張感を持ちながら舞の練習をしている。
もう開催間近に近付いて来ている………気の抜けない1週間になりそうだ。
ルドルフ「では八幡君、行くぞ!」
八幡「お〜!」
………うん、良い走りだ。天皇賞に向けても視界は良い。これならきっと勝て………いや、この過信が敗北になる時だってある。気は緩めずに行こう。最近は俺もライバル達の動きを見れていない、予想外の奴が飛び込んでくる可能性だってあるんだから、帰ったら出走する他のメンバーを改めて調べてみるか。
ーーー帰宅・八幡の家ーーー
ルドルフ「八幡君、サラダの用意は出来たよ。後はお味噌汁とご飯の盛り付けかな?」
八幡「あぁ、俺も仕上げに入ってるからもうちょいだ。後は何か残ってたか?」
ルドルフ「……飲み物はどうする?」
八幡「お前は3食の時は基本水かお茶だろ?俺もそれでいい、あまりジュースや酒は飲まない。」
ルドルフ「分かった、では麦茶を用意しておくよ。」
八幡「助かる。」
……10月に入ってからはルドルフが調理や部屋の掃除、風呂の用意や晩酌の付き合いとか色々やってくれる。正直かなり助かっている、最近は掃除とか気の済むまで出来てなかったから、やっているのを見ると俺も動く気になる。風呂も互いの使ってる温度が同じだからか殆ど調整する必要が無い。流石に洗濯は此処でやるわけにはいかないから、ルドルフは持ち帰って洗濯をしている。同じ空間で生活する上では非常に助かっている。
しかし反対に困っている事は……俺が就寝に入って翌日起きた時には必ず布団の中に入っているという事だ。これは俺にも非があると思われるが、日頃のメニュー作成や学園での事務作業、ルドルフのトレーニングと今は舞の練習が加わっているから疲れが出てしまっているのでグッスリ眠っている。そのせいで侵入されても朝まで気が付かないんだろうと俺は思っている。何とかしないとって思ってはいるのだが、疲労と睡眠欲には勝てないという事なのだろうか?
一応ルドルフにはそれとなく注意はしているのだが朝のルドルフは完全に寝惚けているからか、聞いている気が全くしない……時間を変えて注意も試みたがなんかはぐらかされているように感じる。
八幡「何とかしないとダメだよなぁ……」
ルドルフ「ん・何がだい?」
八幡「お前が俺の部屋に侵入してくる事をだよ。」
ルドルフ「?ダメだったかな?」
八幡「何でキョトン顔?『何か問題があるのか?』みたいな顔すんのやめてくれないか?問題しかねぇから。」
ルドルフ「しかしだ八幡君、私の中では君と共に就寝するというのは既に習慣になってしまっているのだが?」
八幡「いや知らねぇよそんな事。とにかく、俺の部屋に入ってくるの止めろよ。朝起きたら『またか……』みたいな思いをするのもう飽きたし注意するのもイヤなんだが?」
ルドルフ「ではもう注意する必要はn「あるんだよ大いに。俺達は学生とトレーナーだぞ?その一線は越えたらダメだ。」……だが八幡君。シービーに聞いたのだが、彼女の両親は我々と同じウマ娘とトレーナーの関係で駆け落ちのように結婚したと聞いたぞ。」
八幡「いや、それと同じにしないでもらえる?駆け落ちじゃねぇしこの状況。てか何で部屋に入るのをやめろって話から駆け落ちの話になったんだよ……」
ルドルフの奴、あまり言いたくはないがシービーに毒されてないか?段々思考がそっちよりになってきた気がするんだが?
ルドルフ「そんな事より八幡君、早く夕食にしようじゃないか。」
八幡「そんな事で終わらせていい話じゃないんだけどなぁ………」
ーーー夕食後ーーー
ルドルフ「ミホシンザンの2冠達成は見事だったな。八幡君、彼女の次走は何だと思う?」
八幡「去年のお前と同じジャパンCか有マ記念だと思う。この実力ならシニア級ともやり合えると思うしな。」
ルドルフ「そうか、彼女と走るのも楽しみだな。」
八幡「今年のクラシック世代はお前のせいで天皇賞を避けたってくらいだからな。クラシック世代と戦うのはジャパンCか有マ記念になりそうだな。」
ルドルフ「ちょっと待ってくれ。八幡君、今のはどういう事だい?」
八幡「菊花賞を諦めたクラシッククラスのウマ娘達が【皇帝】が出るレースに勝てるわけ無いってエリザベス女王杯かマイルCS、ジャパンCに行ったって噂が立ってんだよ。」
ルドルフ「まるで私が怖いみたいな噂だな。」
八幡「実際は間違いでは無いと思うぞ?証拠に夏合宿ではお目の併走相手に名乗り出る奴居なかったし。無意識に耳でも絞ってんじゃね?」
ルドルフ「そんな筈は無い、私は通常だ。」
そう思うんだったら今すぐにでも俺の左腕を解いてはもらえませんかね?何ちゃっかり抱き着いちゃってんの?あんま思いたくはねぇけど、これ絶対意識してやってんだろ。
天皇賞に向けての追い切りと八幡宅での日常!
しかしルドルフさん、攻めてますね~。