比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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奉納舞

 

 

八幡side

 

 

現在、福島県某所の神社。俺とルドルフは奉納舞の為に舞を行う現地へと来ている。福島には来た事が無かったからどんな場所なのかと思っていたが、過ごしやすい良い場所だ。レース場が出来たのも頷ける。俺達がこれから踊る奉納舞、それは三女神に祈りと踊りを捧げる神事で、本来ならウマ娘が3人選出されるのが常識というか普通なのだが、今年は2人な上に片方はウマ娘でもない男が踊る事になっている。その事に少し騒がれもしたが、URA副会長のスピードさんが『トレーナーもまた、我々ウマ娘の為に常日頃から無病息災を心掛けながら職務を遂行している誉れある者達だ。ならば、トレーナーが三女神に対し舞を捧げるというのは何らおかしな事ではないと私は思っている。URA副会長としても、私個人としても、トレーナーが奉納舞を捧げる事に支持している。』っと会見でも言ってくれた為、大きな事にならずに済んだ。

 

しかし秋の伝統行事だとは聞いていたが、凄い数の人だな………こんな大衆の前で踊るのか。俺が人前で踊るって、婆ちゃんの頼みが無かったら絶対にやってないな。

 

 

ルドルフ「緊張しているかい?」

 

八幡「これだけ人が居ると流石にな。それにスピードさん達も来てるんだろ?俺の知り合いも来るって言ってたし。」

 

ルドルフ「そういえば君の交友関係はあまり知らなかったな。一体誰が来るんだい?」

 

八幡「まずは俺の両親に妹だろ、先生にプロフェッサー、婆ちゃんを描いてくれた絵師さん、藤森神社の神主さん、京都の花屋の主人とその奥さん、俺の知ってる人達ではこのくらいだな。」

 

ルドルフ「ほう、セクレタリアト殿は分かるがマンノウォー殿もお越しになるのか。」

 

八幡「先生が知らせたら『必ず行くっ!!』って聞かなかったらしい。お前の方でも誰かは来るんだろ?スイートルナさんとスピードさんは当たり前として、他のお偉いさんとか。」

 

ルドルフ「母上と祖母上から大体の事は聞いているが、それなりの数になりそうだよ。」

 

八幡「そうか……」

 

 

三女神には悪いが、今年の舞は2人。挙句1人は男でしかもお前達に捧げる舞ではない……俺の婆ちゃん、祖母の為に捧げる舞になっちまうが、1年くらいそんな年があっても良いよな?

 

 

ーーー奉納舞舞台ーーー

 

 

アナウンサー「皆様、間も無く神事の1つ【奉納舞】が行われます!今年は何と言ってもウマ娘が3名ではなく、ウマ娘1名とトレーナーの男性が1名の異例の組み合わせでの開催となりました!にも関わらず御覧くださいこの人だかりっ!!物凄い人の数ですっ!祭事担当者と確認したところ、来場者数は既に過去最高に到達しており、今も尚更新中との事でした!さて、本題の【奉納舞】ですが、あちらの台の上で舞を捧げる事になっております!気になる舞を踊る人物は現在トゥインクルシリーズで大活躍中のウマ娘シンボリルドルフさんと、担当トレーナーの比企谷トレーナーとの事です!どんな舞を披露してくれるのか楽しみですねっ!」

 

 

八幡「………」

 

 

くそっ、親父達の奴等……最前列で見に来やがった。まぁ笑いに来てないだけマシだと思う事にするか。それにスピードさんとスイートルナさんもあんな良い席で……ダメだ、もう要らん考えをするのはよそう。考え過ぎたら気が散るし舞にも現れる、もう集中だ……

 

 

奉納舞担当『それでは只今より、今年の奉納舞を開始致しますっ!!』

 

 

………っ!!

 

 

クリフジ『………』

 

 

婆ちゃん……何で………しかもその姿って現役の頃の……

 

 

クリフジ『今日はこの姿で……行くよ八幡。』

 

 

………おうっ!

 

 

八幡sideout

 

ーーーーーー

 

 

奉納舞を見に来ている来場者全員がルドルフと八幡の一挙手一投足に注目していた。1つの乱れも許されない繊細な動きに加え、神楽鈴を動かしているにも関わらず鈴の音が一切鳴らない。これだけでも息を吞んで舞を凝視していたが、たった1人の発言によって空気が一気に変わった。

 

 

「この舞は………どうやってこの舞を!?」

 

学生「きゅ、急にどうしたのお婆さん?普通の奉納舞だよ?」

 

「違うわ!あれは私の知っている例年踊っている舞とは全くの別物!!だってあの舞は……40年前の、それもその1年だけしか行われなかった舞!!あまりに洗練過ぎて、あまりに激し過ぎて、あまりに難し過ぎたその舞はその1年だけに遺された遺物の筈……あぁぁぁぁ……またこの舞が見られるなんて………」ツ-

 

学生「そ、そんなに難しい舞なんですか?」

 

「あんな舞、出来る人が居るとすれば私にはクリフジさんくらいしか思いつかないっ!1人で3人分の舞を踊るのと同じようなもの……本当に綺麗な舞………」ツ-

 

 

40年前の、クリフジが踊った奉納舞を知っている人達は男性女性ウマ娘問わず、その踊りを見られた事に感激と懐かしさのあまり殆どが涙を流していた。祭事担当者も高齢の人達が涙をハンカチや裾で拭う人達が居る程だった。逆にこの舞を知らない人達やあまり詳しくない人達は凄さが分からずに居たが、40年という単語に驚いた後に舞を凝視していた。

 

 

そして約3分間の奉納舞も終盤に近付き、八幡とルドルフも激しい踊りが終わった。最後は元の体勢になって舞の終わりを告げた。

 

 

会場は割れんばかりの拍手を2人に贈り、八幡とルドルフはその拍手に深々と頭を下げながら舞台を後にした。

 

 

神主「クリフジさん、貴女のお孫さんは貴女と同じくらい綺麗に舞っていましたよ……」ツ-

 

 

 




やっぱり当時の舞を知っている人達からすれば感動ものだったでしょうね……
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