ルドルフside
駿大祭も無事に終わって本格的にジャパンCのトレーニングが今日から始まる。今年も例年通り海外からの参戦が多い。去年同様、我々の力を世界に披露する良い機会だ。日本は決して世界のレースと比較しても引けを取らないのだと証明しなくてはな。
ルドルフ「それで、海外から参戦するウマ娘の情報は集まったのかい?」
八幡「知名度のあるウマ娘には集められたがそれ以外のは難航してる。まずはイギリスのゴールドアンドアイボリー、欧州のGⅠを3勝しているコイツが1番の脅威になりそうだな。2人目も同じイギリスのセントヒラリオンで、2,400mのGⅠを2勝しているからこっちも侮れない存在になると思う。まぁ先に言った奴は2,400mのGⅠを3勝してんだけどな。」
ルドルフ「どちらも要注意という事か……」
八幡「次がアリダーズベスト、2,000mGⅠのプリティポリーSを勝ったウマ娘だが、正直距離が長過ぎると思っているから左程警戒しなくてもいいと俺は思っている……俺が調べた限りではこのくらいだな。けどぶっちゃけた事言ってもいいか?」
ルドルフ「何だい?」
八幡「去年の方がレベル高い。」
ルドルフ「あはは……」
八幡「あまり言いたくはない、けど言わざるを得ない。去年は回避とか故障の事もあったからランクの下がった開催にはなったが、それでも内容はレベルの高いものだった。今回のメンバーを見るとあまりそうには思えない。」
ルドルフ「だが秋の3冠レースの2つ目だ、落とすわけにもいかない。挑むからには全力を尽くすのだろう?」
八幡「それは当然だ。とにかく期間も少ししか無いが、詰めるところは詰めてやっていくぞ。」
ルドルフ「あぁ、承知した。」
八幡「ん。次の議題に入る前にちょっと質問させてもらってもいいか?」
ルドルフ「何かな?」
八幡「………何で俺達は地方所属のトレーナーを待たせながらミーティングしてるんだ?おかしくない?」
「いやいや、俺の事は後でも構わないと彼女に言ってあるから気にしないでくれ。」
八幡君の疑問は最もだろう。彼は船橋トレセン学園所属のトレーナーで、今年のジャパンCに船橋所属のウマ娘を出走させる事になったのだが、相談したい事があると本人直接の依頼もあったので、ご足労願ったというわけだ。
八幡「んんっ!それで、こちらにご用件ですか?自分は当学園でトレーナーをしている比企谷です。」
「お前の事を知らないトレーナーは居ないさ。俺は船橋でトレーナーをしている泉だ、アンタに相談したい事があるのと、お礼が言いたくてな。」
八幡「?自分は特に何もしていないと思いますけど?」
泉「俺のサブにお前と同じ高校に居た葉山、と言えば分かってくれるか?」
八幡「……確かに葉山とは同級生ですが、お礼とは結び付かないと思うんですけど。」
泉「今年に入ってから、アイツの身構え方が変わっていてな。去年までは同僚との交流を重視していたアイツが年が変わって急にウマ娘達と交流を深めるようになってな、おかげで今はアイツに何人かのウマ娘を任せられるようになるまで成長した。気になって葉山に聞いてみたんだが、アイツは『中央の比企谷に色々と教わりました。』って言ってな。確かもう1人の女の子もそんな感じの事を言ってたな、確か……一色だったな。」
八幡「そうでしたか……ですが自分は本当に何もしていませんよ。ただ向かい合うべき存在を間違えるなと言っただけです。」
泉「だとしてもだ、アイツが一皮剥けたのはアンタのおかげだ。だから直接会って礼を言いたかったんだ、ありがとう。」
八幡「……どういたしまして?」
泉「何で疑問形なんだよ……っとまぁ礼はこのくらいにして、相談もしたいと思っててな。」
八幡「どんな内容ですか?」
泉「次のジャパンCに俺の担当している奴が出走するのはもう知ってるよな?」
ルドルフ「確かロッキータイガーだったな?」
泉「そうだ。ロッキーはこれまで地方しか走った経験が無い上に芝も未体験でしかもGⅠ、大舞台に関しては問題無いと思っているが芝での走り方ってのを相談に乗りたくてな。こんな相談、ライバルにするのはおかしな話だが恥を忍んで頼みたいっ!芝の走り方を教えてはもらえないだろうか!?」
成る程……確かにこの相談は敵に塩を送るも同義の相談だな。だが向こうの状況を考慮すると、バ場の不利というのは大きな問題だ。八幡君はどうするのだろうか……
八幡「………」ガタッ スタスタ
ルドルフ「……八幡君?」
八幡「これは、俺の書いた芝とダートの走り方と脚の使い方をまとめたノートです。俺自身が教えるというのは流石に問題があると思うので、これをお貸しします。」
泉「……こんなものを貸してくれるのか?」
八幡「お互い世界を相手にするんですから、協力するのは吝かではありませんので。それに、条件はフェアで行きたい派ですので。負けた理由をバ場のせいにはしたくないですしね。」
泉「比企谷、ありがとう!今度またお礼させてくれっ!あっ、どうせなら船橋に1度来てくれ!俺が案内するからよっ!」ブンブンッ!!
八幡「……その時は喜んで。」
葉山と一色、どうやら上手くやれているみたいですね。