ルドルフside
ルドルフ「ふぅ……漸く一息つけられそうだ。エアグルーヴ、ブライアン、君達はどうかな?」
ブライアン「………面倒なものが多かったが、あたしの方も一段落つけられる。」
エアグルーヴ「私もです、会長。」
ルドルフ「そうか、では小休憩も兼ねてお茶にしようか。」
エアグルーヴ「でしたら紅茶の準備をしますので、少々お待ちください。」
ルドルフ「あぁ、頼むよ。」
今日は特に書類が多かったな……だが忙しいのは良い事だ、それだけ目まぐるしく事が動いているという証拠だ。
ブライアン「………おいルドルフ、有マ記念は勝てそうなのか?」
ルドルフ「君にしては随分と消極的な質問だな、ブライアン。勝てそう、とはどういう意味だい?」
ブライアン「………別に意味は無い、ただの興味本位だ。」
ルドルフ「そうか……答えになるかどうかは分からないが、負けるつもりは無いし負ける自信も無い。とだけ言っておこう……答えになったかな?」
ブライアン「………あぁ。」
エアグルーヴ「会長、お茶とお茶請けです。」
ルドルフ「あぁ、ありがとう。ふふ、毎度思ってしまうが、八幡君は本当に多才だな。料理が出来るのは知っていたが菓子作りも見事なものだ。」
エアグルーヴ「……確かにその通りですね。」
目の前に置かれたお茶請けのクッキーは八幡君が作ってくれたものだ。毎月2週目になるとエアグルーヴが彼に頼んで持ってきてくれるのだ。確かクラシック級の時から続いている事だ。
ルドルフ「……うん、良い味だ。」
エアグルーヴ「光栄です。時に会長、小耳に挟んだのですが、会長が比企谷の家から通っているというのを耳にしました。まさかとは思いますが寝食を共にしている、という事でしょうか?」
ルドルフ「あぁ、事実だ。」
エアグルーヴ「っ!会長、それは「まぁ聞いてほしい。確かに他者から見れば少々突かれるところではあるだろう。しかしだ、共に研鑽を重ね、勝利の喜びと敗北の悔しさを分かち合い、長い時間を過ごす事で絆というのはより深く繋がるものだと私は思っている。その証拠に私は八幡君に全幅の信頼を置いている。」………会長の仰る事は理解しました、しかし寝食を共にするというのはいかがなものかと思われます。本来であればトレセン学園の生徒は全寮制、寮から学園に通うのが通常です。マルゼン先輩やシービー先輩といった例外も居ますが、それを会長自らが破るというのは生徒達に示しがつきません。」
ルドルフ「君の言う事は最もだ。だからこそ私は次の提案書に1つ書き加えた事がある。それは『担当トレーナーとの共同生活の提案』だ。」
エアグルーヴ「なっ!?そ、それは!?」
ルドルフ「まだ理事長に提出した段階で許可は出されていないから、あくまでも提案で留まっている。簡単に言えば、担当のトレーナーとウマ娘の互いの合意があった場合にのみ、担当トレーナーの現住宅で生活する事を認めるといった内容だよ。無論、片方が不許可だった場合や、担当トレーナーの住所が寮だった場合は認められない事になっている。」
エアグルーヴ「………」
ルドルフ「それにこれは双方にメリットがある。ウマ娘は自身の寮から離れる事になってしまうが、学園の中で最も信の置ける存在にトレーニングの調整という恩恵を受けられる。またトレーナーも自身の担当するウマ娘に対して最大限の調整を行う事が出来る。長く共に苦楽を歩んできたパートナーであれば、間違った事は決して起きないさ。」
エアグルーヴ「………分かりました。理事長からの返答を待つ事に致します。」
ルドルフ「ありがとう、エアグルーヴ。」
これが通れば、私は合法で八幡君の家に住む事が出来る。この案は何が何でも通して見せるっ!
ブライアン「………しかし、アンタがこんな提案をするなんてな。」
ルドルフ「意外だったかい?」
ブライアン「あぁ、正直前のアンタだったら絶対に考えない事だと思う。意外も意外だ。お前の言い方で表すと、吃驚仰天か?」
ルドルフ「ははは、それだけ私も彼との暮らしを気に入っているという事さ。君にもいずれ現れるんじゃないかな、そういう相手が。」
ブライアン「………バカバカしい。」
予想はしていたが、やはりこう返されてしまうか……
エアグルーヴ「しかし会長、この事がシービー先輩の耳に入ってしまったら、比企谷へのアプローチが凄い事になりそうな予感がするのですが。」
ルドルフ「……そうだな、シービーは八幡君にとてもよく懐いているからな。八幡君も言葉で止めるように言っても行動で止めるような事はしないからな。シービーがこれに気付かない事を願うよ。」
エアグルーヴ「会長、既に比企谷を独り占めしている気がするのですが?」
ルドルフ「彼は私のトレーナーだ、私以外のウマ娘にあまり愛想を振り撒いてほしくないんだよ。」
ブライアン「………惚気なら他所でやれ。」
別に惚気たつもりは無いのだが……まぁいい。よし、早く作業を終わらせて八幡君の元へ行こう。シービーが家に行きたいと強請っているかもしれないからね。
ルドルフ、凄い提案出しちゃいましたね………