比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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決戦前の朝

 

 

ルドルフside

 

 

夜が明けて日付が変わった。何故かは分からないが、今日は不思議と自分で起きる事が出来た……だがまだ外は薄暗いままで部屋の中も電気を点けなければ周りの状況が分からない。

 

 

ルドルフ「……不思議な気分だ。」

 

 

菊花賞の時も、宝塚記念の時もこんな朝にはならなかった。だが今日は妙な気分だ………気分は良くも悪くもないが、何だろうかこれは?

 

 

ルドルフ「……水を貰おうか。」

 

 

ーーー居間ーーー

 

 

私は部屋の扉を開けて階段を下る前に、居間にはコーヒーの良い香りが漂っていた。まだ朝の、しかもまだ外が薄暗い時間だというのに……もう起きているのか、八幡君は。

 

 

八幡「………」

 

ルドルフ「八幡君。」

 

八幡「っ!?ルドルフ、早いな。」

 

ルドルフ「目が覚めてしまってね、それはコーヒーかい?」

 

八幡「まぁな。天皇賞やジャパンCですらこんな事無かったのに、今日は何故か目が覚めてな。いつもはあまり口にしないが、なんかそういう気分にだったから飲んでる。」

 

ルドルフ「そういえば、君がコーヒーを飲むところは見た事が無かったな。」

 

 

私は八幡君の隣に腰掛けた。彼が何をしているのか気にはなったが、聞こうとは思わなかった。何故か彼からは哀愁の感じが読み取れたからだ。

 

 

ルドルフ「………」

 

八幡「………」

 

ルドルフ「………」

 

八幡「……眠れなかったのか?」

 

ルドルフ「っ!いや、寧ろここ最近で1番の睡眠だった。だが、何だか不思議な感じでね。今までに感じた事の無い気持ちに少々戸惑っているのかもしれないな。」

 

八幡「……俺も似たような感じで、此処で少し耽ってた。」

 

ルドルフ「…そうだったのか。」

 

八幡「なんつぅか、今日で最後なんだなって改めて思っちまったのかもな。トレーニングでお前の走りを見る事はこれからもずっと続くんだろうが、レースで見る事は特別な事が無い限りは無いんだろうなって。ここまでよくやって来たなって思いともう少しだけ見ていたかったって思いでゴッチャになっているのかもな。」

 

ルドルフ「………そんな風に思っていたのか、君は。」

 

八幡「俺だってそういう感情になる時くらいある……今日が初めてかもしれんが。」

 

ルドルフ「ふふふ、何だそれは?」

 

八幡「上手く言葉に出来ねぇんだよ。」

 

 

何気無い言葉のぶつけ合いをしていたところ、漸く陽が昇って来た。

 

 

ルドルフ「……有マ記念もきっと、この日の出と同じような光景なのだろうな。」

 

八幡「……そうだな。さて、少し早いが飯の準備でもするか。それにちょうどお客も居る事からリクエストも聞けるしな。何が食べたい?」

 

ルドルフ「そうだな……では和食をお願いするよ。一般家庭が作るような内容が良いな。白米に味噌汁、沢庵に焼き魚と煮物、卵焼きやお浸しも食べたいな。」

 

八幡「注文が多いが、具体的だから助かる。それに、漬物とかお浸しはもうあるしな。」

 

 

流石は八幡君だ、準備が良い。

 

 

ーーー数時間後ーーー

 

 

八幡「それでルドルフ、今日はどうするんだ?いつも通り朝からレース場に行くか?」

 

ルドルフ「……八幡君、今日の私を見てどう思う?万全の状態、これまでで1番の仕上がりになっているだろうか?」

 

八幡「……難しいな。だが確実に言えるのはこれまでで1番の仕上がりではない、2番目くらいだな。」

 

ルドルフ「やはり1番は昨年のジャパンC、かな?」

 

八幡「まぁそうだな。だがその時はトレーナー3人でやってたし、併走相手も居た。超えるべき目標でもある世界と日本初の制覇っていう悲願もあった。だが今回はそういう理由が少ないし『何としてでも成し遂げなくては!』っていう気持ちが無いだろう?」

 

ルドルフ「………」

 

八幡「俺はお前の仕上がりの差はまさにそこだと思っている。今日この有マ記念で自分は何をしたいのか、何を成し遂げたいのか、それがハッキリ分かればお前の仕上がり……つぅよりもやる気ってのは何十倍にも膨れ上がると思うぞ。」

 

 

………自分のしたい事……成し遂げたい事……

 

 

ルドルフ「君の言葉はどうしてこうも的確なのだろうか?」

 

八幡「思い当たる節があったか?」

 

ルドルフ「あぁ、少し見えた気がするよ。ありがとう八幡君。」

 

八幡「ん、じゃあ「そこで君にお願いがあるんだ。」?何だ?」

 

ルドルフ「こんな頼み、君は反対するだろう。だが私がやりたい!」

 

八幡「………言ってみろ。」

 

ルドルフ「~~~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「………今日の有マ記念で1着を取りたい奴の言う事じゃないだろ、それは。」

 

ルドルフ「無理を言っているのは分かっている、承知の上だ。頼めないか?」

 

八幡「………分かった。最後のレースで最後のわがまま聞いてやる。」

 

ルドルフ「……ありがとう、八幡君!」

 

 

八幡君に頼んだこの頼み、恐らく……いや間違いなく大きな賭けになる。だが、私はそれを乗り越えた後の世界を見たい。きっとこれまでのレースでは見た事も無いような世界が広がっているだろう……私はそれが見たい。

 

 

八幡「そうと決まれば、準備するぞ。いつもトレーニングを開始している9時から始めるぞ。」

 

ルドルフ「あぁ、承知した!」

 

 

 




八幡とルドルフ、一体何をするんでしょうかね?
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