八幡side
マンハッタンカフェが俺の担当を受諾してくれ、晴れて俺も1人のトレーナーとして活動出来るようになった。だがまだ始まったばかりでやる事もまだ何も定まっていない。決まっているのはお友達を追い越すという曖昧な目標だけだ。お友達以外にもある程度の目標を定めておかないと、本人のやる気にも影響してくるし、ジュニアクラスの目標くらいは何とか決めたいところだ。
コンコンコンッ
八幡「どうぞ。」
カフェ「失礼、します。トレーナーさん、契約書をお持ちしました。」
八幡「朝早くから済まないな、ありがとう。」
カフェ「……あの、トレーナーさん。」
八幡「?どうした?」
カフェ「その……差し出がましい事を言ってしまいますが、今日はコーヒーを淹れてきて、いますか?」
八幡「……朝に飲めなかったのか?」
カフェ「……はい。」
八幡「これからの朝は必須になりそうだな。待ってろ、淹れてきてあるから用意する。」
カフェ「っ!ありがとう、ございます。」
しかし、本当にコーヒーが好きなんだな。初日の夜もこの前の朝もそうだったが、どうやらお気に召してしまったらしい。
八幡「ほい、コーヒー。飲むのは構わないが、時間には気を付けろよ。まぁ、余裕はあるけどよ。」
カフェ「ありがとうございます………うぅん、どうしてでしょうか?トレーナーさんは何か特別な淹れ方をしているのですか?」
八幡「いいや、気にした事ねぇけど?」
カフェ「コーヒーの味は人や淹れ方によって違います。トレーナーさんの淹れてくれたコーヒーはこれまで味わってきたコーヒーの中でも素晴らしい美味しさだと思います。」
八幡「……それはどうも。」
カフェ「ですがトレーナーさんは特別な事は何もしていないと言いました。だから、不思議です……」
そんな事言われても、普通に淹れたのを魔法瓶に入れただけだしなぁ……ホントに変わった事はしてない。強いて言うなら温度とフィルターを使ってるくらいだ。
八幡「……ん、何処も問題は無さそうだ。じゃあこの契約書を駿川さんに提出すれば、俺達は晴れてデビューだ。」
カフェ「はい……よろしくお願いします。」
八幡「おう。」
その後カフェは俺の淹れたコーヒーを堪能してから教室に向かった。しかし気になる事がある………
八幡「お前はついて行かないのか?」
お友達『?』キョトン?
八幡「いや、お前カフェにしか見え……いや、今は俺も見えてるけどよ、一緒に行かなくていいのか?」
お友達『〜〜〜』ノビィ∼
八幡「いつも一緒ではないって?そういえば昨日もお前1人でコース場に居たな……何してたんだ?」
お友達『………』アシ パタパタ
八幡「別にって……マイペースだなお前。」
お友達『♪〜♪〜』フワァ∼
ノシッ
八幡「……あのさ、頭の上に乗らないでくれる?お前が見えるようになったからなのかは分からんが、普通に重たいんだけど?」
お友達『………』
八幡「アホ毛引っ張んな。おもちゃじゃねぇんだぞ?俺の髪の毛なんだから。遊び道具じゃねぇんだから。」
お友達『〜っ!!』ケラケラッ!!
八幡「遊びまくってんじゃん……」
自由だなお友達……なんていうか、この前会ったシルクハットのアイツとは違うジャンルの自由さだな。
八幡「そういやさ、昨日はスカウトの事で頭いっぱいだったが、あの教室って何なんだ?」
お友達『〜〜〜』
八幡「科学者を監視する為?はい?それってカフェの前にすれ違ったウマ娘の事か?」
お友達『〜〜〜』ペラペラ
八幡「元々あの教室はカフェの趣味のグッズ置き場だったと……でも科学者が教室を要求した結果、折半になったと。へぇ〜あの理科室ってカフェが1人で使ってたんだな。」
お友達『〜〜〜』ペラペラ
八幡「………へ?アイツのせいでコレクションが変な光を出すようになった?だから仕返しにアイツのその時大事にしていた紙切れを燃やしてやった?お前、やること意外とエゲツないな。」
お友達『♪〜』ムフゥ∼
八幡「いや褒めてないから。」
しかし、あの部屋ってカフェが1人で使ってた部屋だったのか。けどそう考えるとカフェは学校からも生徒会からも個室を与えられるのを許可されるくらいには信頼を得ているという事なのか?
八幡「なぁ?あの部屋って俺がそれなりの頻度で行っても大丈夫なのか?」
お友達『♪〜』コクコクッ
八幡「話し相手が出来るのはとても嬉しい、ねぇ……お前ってカフェ以外に話し相手って居るの?」
お友達『………』ユビサシ
お友達が指差したのは、昨日居たコース場の方向だった。あの場所には他の誰かが居るのだろうか?
八幡「………居るんだ。」
お友達『っ!!』グイグイッ!!
八幡「え?今から?今はちょっとダメな。カフェの為に色々メニューとか作りたいし、まだ走り方とか見てないから調べ物とかもしたい。だからまた今度ね?」
お友達『……♪』コクコクッ
………ふむ、ちょっと破天荒な行動をする時はあるけど、聞き分けは良いみたいだ。
でもいい加減、アホ毛を引っ張るのはやめてほしい。
カフェ、既に八幡のモーニングコーヒーの虜に。