八幡side
もうすぐ5月も終わる頃、世間ではタキオンの無期限休止の会見は引き摺られたままで、今週末にはダービーが控えている。皐月賞メンバーの殆どはダービーに直行していた。大本命だったタキオンが居なくなってチャンスが回ってきたと思っている奴も大勢居るだろう。今年のダービーは群雄割拠もしくは戦国時代という表現が合っていると思う。
その為、カフェへの併走依頼も途切れる事無く続いていた。流石に今週末だから追い切りで調整しているだろうから、今週の依頼は無かったけどな。
あぁそれと、先輩1と同期3は未だ俺に突っ掛かってくる。面倒だから1度会って話をしたんだが、それでもだ。俺がもっとタキオンや先輩1に事の重大さを教えていればこんな事にはならなかったとか、責任の一端は俺にもあるとか訳の分からない事をずっと言っている。俺はあくまでも忠告しただけでそれ以上の事は出来ない……だってそれ以上の役目って担当トレーナーがするべき事だろ?
まぁそんなこんなで今は冒頭でも話した5月の終わり頃。1ヶ月近くも皐月賞の事でああだこうだと言ってくる根性だけは素晴らしいと思っている。その根性を他に回す事が出来ればいいものを。
八幡「………」カキカキ
ドンドンドンッ!!
八幡「………はぁ。どちら様ですか?」
先輩1『決まっているだろ比企谷!開けろっ!」
八幡「もうお話は済んだと思うんですけど?まだ不毛な話し合いをするつもりですか?」
同期3「こっちの話はまだ終わってない!!いいからこのドアを開けろっ!!」
八幡「なぁ、少しは時間の確認しろよ。夜の9時……殆どの在寮トレーナーが居る時間なのに大声出すな。迷惑だろう。」
先輩1「なら早くドアを開けろ!」
………いつまで続くんだ、この無意味な話し合い。
俺はそう思いつつも扉を開けた。そこにはいかにも不機嫌そうな顔をしている先輩1と同期3が立っていた。
八幡「……何ですか、まだ何か話があるんですか?」
先輩1「タキオンの事だ。お前、いつか「アイツの走りを見てから。」っ!?じゃあ何故、もっと分かりやす「その日の控え室で言いました。タキオンには皐月賞が最後になる可能性が高い、脚の限界を明らかに超えている、脚の機能がギリギリ保てている状態だと言いましたけど?先輩1にも言いましたよね?よくタキオンを見ておく事をすすめると。」………」
八幡「この言葉でもまだ足りないと?トレーナーなら最初の言葉だけでも充分でしょう?それとも、まだ2年しか経っていない新人のトレーナーの言葉は信用に足らない、っという事ですか?」
先輩1「………」
八幡「……俺から言う事はもうありません。この結果を選んだのはお2人です。『納得がいかない』『こんな筈じゃなかった』こう思うのも仕方のない事だと思いますけどね、最初から詰めるところを詰めずに軽い気持ちであの舞台にタキオンを立たせた貴方達の自業自得としか俺には言えませんよ。」
先輩「っ!!」キッ!
八幡「お前を信じている、任せる、聞こえは良いですけどね。それは単なるトレーナーとしての思考放棄と同じです。自分はまだカフェしか担当が居ないですし、まだ2年しかトレーナー歴はありませんので、そんな言葉を軽々しく使えるような立場にも無いと思っています。」
デビュー戦の時はカフェの走りたいように走れ、っていう風に指示出しをした。作戦は無いとも言った……だがそれは半年間のトレーニングで身に付けた走法や技術、戦法を出し切れると思っていたからだ。俺も人の事を言えた事では無いが、此処は黙っておこう。
八幡「……自分からは以上です。それで他に何か?」
先輩1「………行くぞ!」
同期3「は、はい!」
……やっと行ってくれたか、もう来ないでほしい。
八幡「……さて、メニュー作りの続きだ。」
お友達『………』ゴゴゴゴゴ…
八幡「ん?おぉお友達、どうした?」
お友達『〜〜〜』ゴゴゴゴゴ…
八幡「そうだな。でも嫌がらせとかはしなくていいからな?やる必要すら無いから。ほら、お前はカフェの所に戻るか此処でゆっくりしとけ。お菓子あるぞ?」
お友達『♪〜♪〜』フワフワ~
相変わらずお菓子になるとチョロいな。
♪〜
八幡「ん、カフェから……お友達、カフェが心配しているぞ?急に居なくなったからビックリしたって。とりあえずLANEしておくか。」
お友達『………』モグモグ
八幡「君は平常運転だな……さて、続き続き。」
………タキオンの奴、無期限休止とは言っていたが、今後はどうするつもりなんだろうか?正直に言えば、走る事を辞めたウマ娘が学園に居るのは生産性の無い日々を過ごすのと同義だ。もしそれが長く続けば、学園から退学勧告が出てもおかしくはないと思うんだが、どうするつもりなんだろうか?怪我をしている現在は退学の勧告される事は無いとは思うが、怪我が完治してからはどうなるか分からない……
八幡「まっ、俺が心配しても仕方ないか。っていうかお友達、それ食べ過ぎるなよ?俺も食べるんだから。」
お友達『……?』ア∼ン?
八幡「いや、しなくていいから。」
やはり詰め寄ってきましたね、この2人。