比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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追い切り併走

 

 

カフェside

 

 

カフェ「ふっ……ふっ……ふっ……」

 

ポッケ「オラアアアァァァァ!!!」

 

 

ピッ!

 

 

八幡「……ん、良いタイムだぞカフェ。上々だ。」

 

カフェ「ふぅ……ありがとう、ございます。」

 

田辺「ポッケ、お前はもっと落ち着かんか!仕掛けるタイミングが早いせいでマンハッタンカフェに追いつけておらんじゃろうが!」

 

ポッケ「はぁ……はぁ……分かってるよ!」

 

田辺「はぁ……済まんのう比企谷、急な申し出をしたのにこれではのう……」

 

八幡「いえ、気にしないでください。カフェにとっても良い刺激になると思います。ジャングルポケットとは併走でしか走った事がありませんでしたし、模擬レースは良い機会だと思いましたので。それに、田辺さんに頭下げられては受けるしかありませんって。」

 

田辺「口が上手いのうお前さんは。」

 

八幡「そちらの天然誑しには負けますよ。」

 

フジ「おや、それは私の事かい?」

 

八幡「誑しと聞いて真っ先に思いつくのは、この学園の中ではお前くらいだろうな。」

 

 

ダービーを控えた金曜日。俺は田辺さんから緊急の併走を依頼されたので、それに付き合っている。今のところ併走は3回やって3回ともカフェの先着に終わっている。理由があるとすれば折り合いがつかずに途中で掛かってしまうのが大きい、恐らくそれは本人も分かっている事だと思う。

 

 

田辺「ポッケ、お前は周りを気にせず自分のペースで走るんじゃ!相手の出方を伺ってそれに合わせてスパートをかけても、途中で失速するのは明白じゃ!もっと自分の脚を溜める事に徹するのじゃ!」

 

ポッケ「わーってるよ!」

 

八幡「……ポッケ、俺からもいいか?」

 

ポッケ「?んだよ?」

 

八幡「正直に言う、これは本当に田辺さんの言う通りだ。俺はカフェに少し早いタイミングでスパートをかけるように指示を出している。お前はそれにまんまと引っ掛かっている状況だ。」

 

ポッケ「はぁ!?じゃあ俺はずっと遊ばれてたって事かよっ!?」

 

八幡「遠慮無しに言えばな。俺達の今の最終目標は菊花賞……お前はダービー、当然使う脚っていうのは違ってくる。俺達が使っているのは長い距離でも最後まで長く粘れる脚だ。お前はそれについて行こうとしているから途中でバテるんだよ。」

 

ポッケ「じゃあどうしろってんだよ……」

 

八幡「今田辺さんが言ってくれただろ?周りを気にせずに走る事だ。結果的にはお前が直線に使える脚を溜められる、田辺さんはきっとこう言ったんじゃないか?『直線までは脚を溜めろ。』ってな。」

 

ポッケ「っ!!そうだ、確かに言ってた!!」

 

八幡「だろうな。だからお前は直線までが1番の勝負だ。どれだけ落ち着けて、どれだけ自分のペースを保てて、どれだけ脚を溜められるかが勝敗の鍵だ。」

 

ポッケ「そういう事だったのか~!んだよそういう事なら最初から言ってくれよ~!」

 

田辺「最初から何でも言ってしまったら意味無いじゃろう!少しは自分で考える力をつけんかいっ!!」

 

八幡「とりあえず、だ。やる事も分かったところでラスト1回な?次はカフェを抜けよ?」

 

ポッケ「おう、ぜってぇ抜いてやるぜっ!!」

 

八幡「抜けなかったら、トレーニング終わりのアイス抜きだから。」

 

ポッケ「よっしゃ、ぜってぇやってやる!!!

 

 

声だけはGⅠ級だが、ラストの併走で成功するかな?

 

 

ーーートレーニング後ーーー

 

 

八幡「………」

 

田辺「比企谷、お前から見てポッケはどう映る?率直な感想を聞きたい。」

 

八幡「……良くも悪くも周囲に影響されやすい、アイツの愚直な性格だからこその美点であり弱点ですね。」

 

田辺「………」

 

八幡「ポッケはこの世代の中でも指折りの実力を持っている、そう思っています。けど、その裏ではまだ自分の力に疑いを持っている節が見られますね。」

 

田辺「……流石はウマ娘を見る目は学園のトレーナーピカ一なだけはあるようじゃな。きっとポッケ自身も皐月賞の敗北が拭い切れておらんのじゃろう……だからあんな走りになってしまう。」

 

八幡「こればかりは俺達ではどうにもなりませんよ。アイツが自らの殻を破らない限りは。」

 

フジ「トレーナーさんでも難しいのかい?」

 

八幡「手伝いくらいなら出来るが、最後は自分の力でないとどうにもならない。その殻はポッケに限らず、俺やカフェにもあるだろうしな。カフェはこれから出てくるかもしれないしな。」

 

フジ「そっかぁ………」

 

八幡「ま、これからのポッケに期待するしかねぇよ。時には助け、時には突き放す……こういうのだって成長を促すやり方だ。俺はやらない方法だけどな。」

 

 

カフェなら問題ない、そう思いたいところではあるが未来の事はどうなるか誰にも分からない。だから今できる事を最大限やってやる、それだけだ。

 

 

カフェ「………」

 

ポッケ「うんめぇ~!!何でトレーニング終わりのアイスってこんなに美味ぇんだ!?カフェのそれってコーヒー味だよな?ちょっとくれよ!俺のバニラもやるからさっ!」

 

カフェ「結構、です。もう1つ貰ってきたらどうですか?」

 

ポッケ「ナベさんが1つだけって言うから我慢してんだよ!なっ!一口だけだからよぉ~!」

 

カフェ「……一口だけですからね?」

 

ポッケ「サンキュ~♪」

 

 

………まぁ、あの様子なら今は大丈夫そうだな。

 

 

 

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