八幡side
ピッ!
八幡「………」
カフェ「はぁ……はぁ……はぁ……ど、どうでしたか?タイムは?」
八幡「……良くやった、1時間切ったぞ。58分だ。」
カフェ「っ!では……」
八幡「あぁ。これで淀の3,000mは余裕のある走りが出来るだろう。脚の方はどうだ?最初の時よりも使い方が分かってる分、そこまで疲労している感じでは無いだろ?」
カフェ「はい、最初の頃よりも……余裕があります。八幡さん、これも?」
八幡「そうだ。菊花賞…つまりは淀の長距離は脚の使い方が重要になってくる。特に3コーナー手前の上り坂と下り坂だ。あそこで脚を使い過ぎたら、直線では絞りカス同然の脚しか使えなくなるからな。この山登りなら、色々なコースを走る事が出来て、色々な脚を試せる。だから此処を選んだ。そして試運転は……札幌の丹頂Sだ。いよいよ本格始動する時が来た。」
カフェ「やっと……成果を出せるんですね。」
八幡「あぁ、その通りだ。つっても前哨戦ですら無いってのは頭の片隅にでも入れておいてくれ。本番は淀なんだからな。」
カフェ「はい。」
8月1回目の山登りでカフェは見事に1時間を切った。因みに今回は1人だけで、しっかりペースも作れたから最後まで走り切れていた。スタミナ切れも起こしていなかったから上々の結果だろう。
八幡「よし、じゃあ降りる……と言いたいところだが、少しゆっくりして行くか。ちょうど昼も近い事だし、此処で昼食だ。」
カフェ「此処で、ですか?」
八幡「あぁ、ちゃんと昼飯は持って来てるから安心しろ。あっ、カフェはダウンがてら少し走っておいた方が良いな。軽くその辺走ってから来てくれ。」
カフェ「……分かりました。」
さて、俺は準備準備………
ーーー5分後ーーー
カフェ「八幡さん、ダウンとストレッチを終わらせてきました。」
八幡「ん、ご苦労さん。じゃあ昼にするか。」
カフェ「……何だか新鮮、です。いつもは合宿所で食べていますので、外で食べるのは……登山をする時でしか食べませんので。」
八幡「登山でもやっぱりコーヒーは持参なのか?」
カフェ「はい、欠かせない必需品です。」
八幡「いつも飲んでるしな。ほい、コレが昼飯。」
カフェ「サンドイッチ、ですね……それに種類が色々ありますね。」
八幡「そうだな。俺達がよく見るトースト・サンドイッチにフランスパンみたいなので作るバケットサンド、ホットドックで使われているパンでも作ってみた。具も結構色んなの使ってる。付け合わせにポテトもあるぞ。」
カフェ「美味しそうですね、いただきます。」
八幡「おう。飲み物はりんごジュースな。本当なら紅茶かコーヒーを選びたいところだったが、紅茶はお前苦手だろ?コーヒーは諸事情で淹れられなかったから、それで我慢してくれ。」
カフェ「大丈夫です、今はスッキリしたのが飲みたかったので。」
八幡「運動後だしな。」
昼食では、他愛の無い話をしながら食事をしていた。外で食事をするっていうのも悪くないな。それにこういう場所だから風情があってまた良いと感じさせる……
八幡「………あれ、そういやお友達は?」
カフェ「……八幡さんと一緒だとばかり思っていましたが、何処に行ったのでしょう?」
八幡「さぁ………誰かにちょっかいかけてるとは考えづらいし、イタズラ?」
カフェ「……あり得ますね。」
八幡「あり得てほしくなかったが、お友達だからなぁ〜。否定しきれないところがあるからな。」
カフェ「もし見かけたら、聞いてみます。」
八幡「あぁ、頼む。」
カフェ「……八幡さんは、お友達以外の存在も見えるん、ですよね?」
八幡「ん?あぁ、何でかは分からないけどな。だから浜辺でお前と並走したがっている奴も視認出来てる。ずっと待ってるけど、どうする?」
カフェ「………八幡さんが許してくれるのであれば、彼女と走りたいです。」
八幡「そうか……じゃあ明日はその子と模擬レースだな。夜の方が良いよな?」
カフェ「そう、ですね……」
八幡「じゃあそういう風に予定立てておく。」
カフェ「ありがとう、ございます。」
それからも2人で会話しながら食事をしていると、次第に数が減っていくサンドイッチ。どうやらカフェも美味しいと感じているから手を伸ばしているんだって思うから嬉しく思う。
カフェ「八幡さん、ご馳走様でした。サンドイッチ、美味しかったです。」
八幡「じゃあ、次はデザートだな。食べるか?」
カフェ「デザートも、あるのですか?」
八幡「コーヒープリンを作ったんだが、どうする?」
カフェ「っ!コーヒー……プリンっ!」
八幡「(目の色が一瞬で変わったな。)答えは一択、ってか?……ほら、デザート。」
カフェ「………プルプル、しています。」
八幡「プリンだからな。」
カフェ「……という事は、さっき言っていた諸事情というのはこの事ですか?」
八幡「まぁな。これを作る為にコーヒーの豆を使ったってわけだ。コーヒー本来の苦味が出ていると思うから、プリンのような甘味はあまり感じないけど、その方がお前の好みじゃないか?」
カフェ「……っ!美味しいです。まるで食べられるコーヒーです……」
八幡「言い得て妙だな。一応何個か持って来てるから、お代わり欲しかったら言ってくれ。」
その後、カフェはコーヒープリンを嬉しそうに食べた。しかも食べ終わった後は、物欲しそうに残りのプリンを見るもんだからカゴから出してカフェの前に出した。欲しかったら言ってくれと言ったんだが、少し恥ずかしかったみたいだ。