エアグルーヴside
【今年もやって来た………桜舞う道の次は高く険しい樫の壁。2,400mという高い壁に挑む18人の選ばれしウマ娘達!桜の冠に続いて2冠の栄誉と共に、42年にも及ぶ親子でのオークス制覇を成し遂げるのか!?それとも影に潜む17の芽がそれを阻むのか………オークス、開幕!!】
実況『さぁ今年もティアラ路線の最難関、オークスの舞台がやって参りました!!今年は何と言っても無敗の桜花賞ウマ娘にして、母親もこのレースに出走して見事優勝を果たしたその娘がこの舞台に立っています!!さぁ母親と同じ栄冠を手にする事が出来るのでしょうか!?それでは2,400mに挑む18人のウマ娘達を紹介していきましょう!!』
………不思議な感覚だ、妙に落ち着いている。身体が強張っているわけでも無く、固くなっているわけでも無い。母と同じ舞台、私はそれを目標にこれまでトレーニングを積み、自分自身を鍛え上げて来た。そしてその舞台は整った………昨日までの私は今日の事ばかりを考えていた。しかしそれが今はどうだ?落ち着き過ぎている。
実況『さぁ、次は誰もが注目する事間違い無しの大本命ウマ娘!!圧倒的1番人気の7枠15番、エアグルーヴ!!!』
ワアアアアアァァァァァァ!!!!!
エアグルーヴ「………」
解説『これはまた見事ですね〜。本人からもそうですが、何としても勝たせるというトレーナーの強い意志が感じられますね〜。良い仕上がりですよ。』
実況『これに勝てばティアラ2冠を達成になります。しかも無敗での記録は過去に1人だけ。果たしてエアグルーヴはこれに続く事は出来るのか?』
ーーー控え室前ーーー
八幡「調子は良いみたいだな、これならいつもの走りは出来るな。」
エアグルーヴ「あぁ、問題無い。それに、落ち着き過ぎていて自分が怖いくらいだ。」
八幡「そうか……レースでも落ち着く事を忘れるなよ。誰かが前に行ったからとお前も続く必要は無い。トレーニングでやった通りに動けば良い。もし囲まれたらその時は内から攻めろ、俺達の得意戦法だろ?」
エアグルーヴ「あぁ、分かっている。私が1番なのだと知らしめてやるさ。」
八幡「その意気だ、じゃあ行ってこい。」
エアグルーヴ「あぁ!」
エアグルーヴsideout
八幡side
ーーー観客席ーーー
八幡「すみません、お待たせしてしまいまして。」
ダイナ「いいのよ気にしなくても!トレーナーって職業は大変だものね!」
「それに心配には及ばない。彼女と現役時代の話もしていた事だしな、退屈なんて事は無かった。」
ダイナ「それにしても比企谷トレーナーって凄い人に技術を教わったのね〜!そこら辺のトレーナーだったら普通に追い抜いているんじゃないかしら?」
「当然だ、私の最初にして最後の最高傑作なのだからな。彼以上のトレーナーを輩出しろと言われても、絶対に無理だ。」
ダイナ「あら、そうなんですか?」
「当然だ。八幡を育てる前に何人と素質ある者を勧誘して技術を教えたが、誰も最後まで辿り着かなかった。長くても1ヶ月で根を上げていた。」
いや、先生の教え方がスパルタ過ぎるからですよ………俺でもかなり怖いって思いましたからね?これマジですからね?冗談?先生関連で俺が言うと思うか?
「だが八幡はそれを耐え抜いた、だからこそ今がある。確かに八幡の有する技術は基本から教わるトレーナーのそれとは大きく異なっている。何せ私が教えた技術だからだ。幾ら資格を持っていたとしても、それはただの型だけだ。私は資格は持ってはいるが、八幡にその基礎を少し教えた程度で後は私の本当に教えたかった事を徹底的に叩き込んだに過ぎない。だからこそ八幡は他のトレーナーとは根本的に違う。きっと世界を探しても居ないだろう、これだけ実践的で理論的、見ただけでウマ娘の事が分かるトレーナーっていうのは、な。」
八幡「先生、やめてくださいよ………俺褒められ慣れてないんで///」
「そういうところは相変わらず、か。可愛い奴だ。」
八幡「………///」
やっぱ先生には勝てねぇ………
「あぁそうそう、忘れていた。八幡。」
八幡「?」
先生はスマホを取り出して指で素早く操作していた。
「ほら八幡、頼んだぞ。」
八幡「え……え?」
prrrっ!
『こらお前ぇぇぇ!!今何時だと思ってるんだ!!?夜中に電話してくるバカはお前くらいだぞ!!』
………そうだった、忘れてた。プロフェッサーだ。
八幡「あぁ~………もしもし?プロフェッサー?」
『っ!?そ、その声……八幡かっ!!?』
八幡「は、はい。お久しぶりです。すみません真夜中に失礼でしたよね?もう切『らなくていい!!!そのままでいろ!!何だ八幡だったのか!!それなら切る必要なんて無い!!こうして声を聞けたんだ、積もる話もあるんだから話をしようじゃないか!!』は、はぁ………」
「随分と元気じゃないか。八幡が絡むとやはりこうなるようだな、あの人も……」
ダイナ「あ、あの〜電話の主は誰なんです?」
「あぁ、そうだったね。じゃあ紹介しよう。」
「電話の主はマンノウォー。アメリカ史上最高のウマ娘にして、私の師だ。」
という事で、プロフェッサーの正体は【アメリカ競馬史上最高の馬】【時代を代表する英雄】とも呼ばれているアメリカ競馬の至宝、マンノウォーです。今からおよそ100年前の名馬です!!それが今でも語り継がれているのは、もう凄いとしか言えません!!
1917年に生を受け、19年にデビューしてその次の年に引退。そしてその戦績、21戦20勝!驚異的な数字です!!現代競馬では殆ど不可能に近い数字です!当時はレースは廃止か格付けされていなかったかのどちらかでレースの格は分からなかったのですが、少なくともGI級のレースを7勝しています。しかもレースの名前にまで使われているくらいの名馬です!!100年前の馬を今でも知ってくれている人達が残っているって素晴らしいですよね。