八幡side
重苦しい空気が続いている理事長室……まぁその原因は目の前に居る2人にあるのだが、何とかこの学園に残ろうと説得を続けているが、理事長と黒沼さんが頑として解雇と言い張っているから2人の声は届かない。どんな言葉を使おうとも2人の解雇は既に確定している為、本当に泣いても喚いても意味が無い。
秋川「……以上。君達に伝える事は伝えた。寮へと戻って準備を進めてほしい。これが私の最後の指示だ。」
先輩1「………」
同期3「認められないっすよ!!たったそれだけの事で俺達がどうして解雇されなきゃならないんすか!?おかしいでしょ!?」
黒沼「さっき言っただろうが、2度も言わせるな。」
同期3「信頼ならこれから取り戻していきますよ!なんでもう1度チャンスを「青いな。」くだ……何だと?」
先輩1は多分少しは理解したんだろうが、コイツは何も理解してねぇな。
八幡「青いって言ったんだよ……お前の言うそのチャンス、本当に残されてると思ってんのか?お前もトレセン学園のトレーナーなら分かるだろ、トレーナーもウマ娘も横の繋がりが深い。お前達のしでかした事なんてあっという間に生徒間で噂になってんだよ。そんな状況でどうやって信頼を取り戻すって言うんだ?頭でも丸めるのか?それで信頼を取り戻せると思っているのなら大間違いだぞ。」
同期3「くっ………」
八幡「お前がトレーナーになる為に努力した事はこの中央トレセンに来た時点で証明されている。けどな、努力の方向を間違えたらミスに繋がる事ぐらい分かるだろ。それの証拠がアグネスタキオンだ。」
先・同「っ!!」
八幡「あの時、俺は2人に忠告した筈……タキオンをよく見ておくようにと、それなのに皐月賞後はあの結果だ、あのザマだ。自ずからウマ娘を危険に晒しておいてチャンスも何もねぇだろ。アンタ達、またウマ娘の未来をぶっ壊す気なのか?」
先輩1「あれはお前が素直にそう言っていれば「なら自分には10年以上の経験と場数があると言ったのは何処の誰だ?それを信じた結果が屈腱炎だったんだぞ?その過信で1人のウマ娘の人生を狂わせたんだぞ?その自覚がアンタにあるのか?」………」
同期3「おい比企谷!!お前、先輩だって分かってんのか!!何だよその態度!!」
八幡「碌にウマ娘を育てた事もねぇ奴がしゃしゃり出てくんじゃねぇよっ!!」
同期3「っ!!?」ビクッ!!
八幡「俺達はボランティアでトレーナーやってるんじゃねぇんだぞ……ソイツの、担当ウマ娘のたった6年しか無い人生を預かってんだぞ!それを何だ?未担当ウマ娘だけでなく担当が決まってるウマ娘達に対しても勧誘するってのはどういう了見なんだ?それとお前に聞くが、実績も無い、ネームブランドも無い、ただのトレーナーに『勝たせてやるからついて来い。』と言われて尻尾振ってついて行くバカなウマ娘がこの学園に、1人でも居ると思ってんのか!?」
同期3「………」
八幡「どっちにしてもアンタ達に対するウマ娘の信頼は取り戻したくても取り戻せないところにある。どうやっても無駄だって事はハッキリ言ってやるよ。それでも納得が出来ないなら何でも好きに質問してみろ、全部答えてやるよ。」
八幡「質問が無いのなら、寮に戻って今やるべき事を実行してください。俺達が待つ事は出来ても時間は待ってくれませんよ。」
先輩1「………失礼しました。」
同期3「……………失礼、しました。」
はぁ、やっと行ったか………
八幡「すみません、少し感情的になりました。」
黒沼「いいや、気にしてない。」
秋川「うむっ!寧ろ比企谷トレーナーがウマ娘を大事にしてくれていると改めて再確認できた!!感謝っ!!」
八幡「いえ、当然の事を言っただけですから。柄にもなくお説教なんてしちゃいましたし。」
たづな「いえいえ、素敵でしたよ!」
秋川「ともあれ皆、ご苦労であった!!これにて解散っ!!黒沼トレーナーと比企谷トレーナーも急な頼みに関わらず引き受けてくれて感謝するっ!!」
ーーートレーナー室ーーー
八幡「ふぅ………」
お友達『……お疲れか?』
八幡「あぁ、さっきまで少し張り詰めた空気の中に居たからな。今は少し休ませてくれ。」
お友達『あいよ~。』
………少しくらい寝ても大丈夫か。
八幡sideout
お友達side
お友達『………寝ちまったか。』
八幡……コイツはあたしの元トレーナーとよく似ている。性格的な意味でだ。実力は勿論、その力を周りの連中にひけらかしたりしない。あたしのトレーナーは、周りのトレーナー連中があたしの事を『醜いアヒルの子』『コートハンガー』『真っ黒いケダモノ』と呼ばれているのを知っていながら、あたしの担当になるって言ってくれた。アタシの事を全体のウマ娘でなく1人のウマ娘として見てくれた人だった………それまであたしは人間が大嫌いだった、見てくれだけで何でもかんでも決めつけるあの連中が大嫌いだった。だから最初は担当トレーナーを利用してやるって思ってた……けど、トレーナーに裏表は無かった。トレーナーと過ごした3年間は、かけがえのない3年間だった。そんであたしは初めて人を好きになれた……きっと今のあたしを構成しているのは元トレーナーのおかげかもしれないな。もし、八幡があの時代に生きてて、アメリカに居たらどうなってたんだろうな?
お友達『そんなの、決まってるよな。きっと栗毛のアイツよりも、あたしを選ぶよな?そうだろ八幡?』
とりあえず引き下がった2人。
そしてお友達の元トレーナーと八幡はよく似ている?