八幡side
八幡「……ふぅ、夏合宿のメニューもこれで全部完成だな。後残ってる仕事は………そういや教官達からまたメニューの作成を依頼されてたっけか、でもそれは先週作ってこん中に………おっ、コレコレ。部室内の備品も明日買い揃える予定だし、このくらいだな。よし、納期してる仕事はもう無いな。」
オークスを制した日から数週間が経った。ダービー、安田記念と春のGⅠは残すところ宝塚記念だけとなり、そのGⅠが終われば、サマーシリーズとなる。北海道から九州にかけて全国津々浦々にあるレース場でレースを行う。エアグルーヴも去年の7月に札幌でデビューを果たしているから、ちょっと思い出す。
ガチャッ
シービー「八幡~、お邪魔しま〜す♪」
八幡「シービー、お前はまたか………何度も言ってるが、此処は一応俺とエアグルーヴの部室なんだが?」
シービー「良いじゃんか別にー!此処すっごく居心地良いんだもん、ついつい来ちゃうの!」
八幡「ったくお前は………」
シービー「それよりもさ八幡、そろそろあたしの事スカウトしてよ~。このままだとあたし、八幡と契約せずに居候の身でトレーニングに参加しちゃうよ?」
八幡「お前、言ってて恥ずかしくないのかソレ?第一………あっ、ヤベッ。」
2人目担当の件、すっかり忘れてた………エアグルーヴのオークスで頭からスッポリ抜けてた。あれから2ヶ月経ってる、何の報告もないまま………どうしよう。
シービー「八幡どうしたの?」
八幡「いや、理事長と少し話してた事を今思い出してな。結構重要な事だったんだよ。」
コイツの前で2人目の事は絶対に言わないでおこう。暴走するだろうし、つきまとわれるのは目に見えてる。
シービー「ふぅ~ん……」
八幡「というわけで、俺は今から理事長室に行くから。はい、部室出るよ~。」
シービー「えぇ~来たばっかりじゃん!」
八幡「文句は受け付けません。」
ーーー理事長室前ーーー
八幡「………はぁ、怒られたりしないかなぁ。こういう大きな扉ってなんか嫌なんだよなぁ。学生の頃の職員室の扉を思い出す。ウダウダ言っててもしゃあないよな。」
コンコンコンッ
秋川『許可っ!入ってよろしい!!』
八幡「失礼します。トレーナーの比企谷です。」
秋川「おぉ、比企谷トレーナーではないか!!歓迎っ!先月のオークスは見事な采配だった!」
八幡「ありがとうございます。」
秋川「これからもウマ娘達の為に、その腕を存分に振るって欲しい!!して、本日は何用かな?」
八幡「はい。先々月に理事長から推薦がありました、2人目の担当ウマ娘の事なんですが。」
秋川「おぉ、心待ちにしていた!!それでは、君の答えを聞こう!!」
八幡「2人目の件、お受けしようと思います。つきましては駿川さんからの説明通り、自身の目で担当したいウマ娘を決めたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」
秋川「結構っ!君の飛躍、ひいてはウマ娘の飛躍の為!君の目を信じるっ!」
八幡「ありがとうございます。では、失礼します。」
こんな事が昨日ありました、そして今日は次の日。そう、1日経ったわけだ、それがどうだよコレ………
「トレーナーさん、是非私の走りを見てください!!」
「私もエアグルーヴ先輩のようになりたいんです!」
「比企谷トレーナー、お願いします!!」
シービー「八幡~!!あたしを選んで~っ!!!」
………学園に来た途端、大勢どころではない数のウマ娘達からの逆スカウトが津波、濁流、雪崩のように押し寄せてきたのだ。いや、俺も今のこの状況理解出来てないんだけど!?誰だよ俺の2人目の事を話した奴!?いや、1人しか居ねぇわ!!確実にあの理事長しか居ねぇ!!
ーーー理事長室前ーーー
返事なんて待ってられねぇ!失礼ではあるが、ノックしたらすぐ入ろう!
コンコンコンッ!
八幡「失礼します!理事長、一体どういう………」
たづな「貴女という人は〜!またこんな勝手な事をして〜!!比企谷トレーナーはご自身で探すと、私にも言っていたではありませんか〜!!!」ムギュー!!
秋川「い、
訳「い、痛い!!痛いぞたづな!!し、謝罪!済まなかった、謝る!謝るから頬を抓るな!!」
たづな「謝る相手が違うでしょう〜!!!」ムギュー!!
八幡「………」
なんかもう………怒る気さえ無くなってしまった。駿川さんが理事長の頬を力の限り抓りまくってる。理事長暴れまくってるけど、全然抵抗出来てない。
ーーー数十分後ーーー
たづな「本っ当に申しわけございませんでしたっ!!!」
秋川「
八幡「は、はい……文句の1つでも言おうと思いましたけど、お2人のやり取りを見てたらその気も無くなりました。ですが、どうしてこんな事に?」
たづな「それが、理事長が比企谷トレーナーが担当を1人募集する事を学内掲示板に貼ってしまったのです。それもかなりの大きさで………」
八幡「………」
たづな「きっと理事長も嬉しかったのでしょう。エアグルーヴさんのように活躍出来るウマ娘が現れる可能性が新たに開けたのは事実ですから。」
秋川「そ、
八幡「はぁ………俺の方からも説明はしますけど、学園側の方でも火消しをお願いしますね?流石に2,000人以上のウマ娘の説得は俺1人じゃ無理ですからね?」
たづな「勿論です!!是非やらせていただきますっ!!」
はぁ……これからどうなるんだ?2人目の事はほぼ学園に知れ渡ってる状態だ、これじゃ誰を見るかなんて言ってる場合じゃねぇぞ。休みの日には未担当のウマ娘を見るつもりだったのに………はぁ、溜息が止まらん。
うわぁ………とんでもない事になった。