比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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お友達の心情

 

 

カフェside

 

 

カフェ「………」

 

 

………先生さんに言われた通り、私と八幡さんは会話をしないまま休む事にしました。まだまだ先のフライトに加えて今は夜の22時、辺りは既に暗くなっていて誘導灯が薄く光っているだけでした。でもさっきのお話、今でも信じられません……まさかお友達が生前、そんな人生を送っていただなんて。それもまだ中等部にも入っていない段階で………

 

 

お友達『………』

 

 

彼女は今、空いている席に座りながら外を眺めていました……外を見ているので表情は分かりませんが、何だか辛そうに見えます。陽気に振舞っている彼女からは想像もつかないくらい大人しいです。

 

 

カフェ「………ねぇ。」

 

お友達『ん?眠れねぇのか?』

 

カフェ「……こんな事を聞くのは間違ってると思うけど、逃げ出したいとは思わなかったの?」

 

お友達『………何度も思ったさ、それこそ数え切れないくらいな。』

 

カフェ「………」

 

お友達『でもよ、逃げ出したりなんかしたら……ソイツ等だって何処までも追いかけてくる、そんな感じがしてよ。確かにめちゃめちゃ辛かったし、投げ出したくなったし、先輩の言ってた通り何であたしだけが生き残ったんだって何度も思い返したさ。数え切れないくらいな………』

 

カフェ「じゃあ……どうして………」

 

お友達『あのバスの中にはよ、こんなあたしでも仲良くしてくれる奴が何人か居たんだよ。そりゃ何人かだけどよ、ソイツ等があたしに言うんだよ……『頼んだ。』ってな。』

 

カフェ「………」

 

お友達『殆どの連中が『痛い。』とか『怖い。』だったのに、ソイツ等だけは死んでんのに『後は頼んだ。』とか『私達の分まで走ってね!』って言いやがるんだよ………それを聞いちまったら、逃げ出すわけにはいかねぇだろ。仲の良かったアイツ等だけじゃねぇ、バスに乗ってた連中の分まで力一杯走ってやる!!そう決めたんだよ。』

 

 

だから貴女はそんなに速いんだ……だから貴女はそんなに強いんだ……だって、その力は貴女だけの力じゃない。そのバスに乗っていた子達の魂全員分が宿っているから。

 

 

お友達『確かに最初は辛ぇって思った……けどあたしの事を夢に出てきてまで応援してくれんだ、応えるしかねぇだろ。」

 

カフェ「………」

 

お友達『まぁ最初はアレだったけどよ、少し経ったら違う風に聞こえたんだよ……『流石は〇〇〇〇ッ!』とか『〇〇〇〇やったじゃん!これで2連勝!!』ってあたしの事を褒めちぎるんだぜ!あたしとしては嬉しいわけよ……前までは生きているあたしの事を憎んでた奴等が、レース前では全員があたしに向かって応援をしてくれてる。あたしが走ってきたのは無意味じゃねぇって証明されたみたいでよ!』

 

カフェ「………」ツ-

 

お友達『最後のレースは勝てなかったけどよ、アイツ等笑ってあたしの事迎えてくれたんだぜ?しかもコーラとかサイダー振りに振りまくってぶっかけやがるんだ!夢の中だけどよ、あんなに騒いだのは初めてだったなぁ~!』

 

カフェ「……ふふっ、そうなんだ。」ツ-

 

お友達『結論から言えば、確かに辛かった……けど後悔は1度もねぇ!』

 

 

………うん、そうだと思う。だって微かに見えるから。貴女の後ろで微笑んでいる彼女達が。

 

 

カフェsideout

 

八幡side

 

 

八幡「……すみません、仕事柄あまり寝付けなくて。すぐに戻りますので。」

 

CA「いえ、構いませんよ。」

 

八幡「………」

 

 

………あんな話を聞かされて、ジッとなんてしてられるかよ。

 

 

八幡「はぁ………」

 

 

レースに出走する前に良い事を聞けただろうなカフェは。確かにお友達のデビュー前は驚きを隠せないくらい壮絶だった……けど、それを乗り越えてお友達はGⅠを6勝して死んでいった仲間達と分かり合えた。なんか、先生から話を聞く前にハッピーエンドになっちまったよ。けど、本当に良かったよな。

 

 

八幡「……ありがとうございました。」

 

CA「はい、お気を付けて。」

 

 

ーーー座席ーーー

 

 

八幡「時間は……23時、まだまだかかるな。とりあえず俺も休むか。」

 

お友達『八幡、聞こえてたんだろ?』

 

八幡「……あぁ、まぁな。カフェには言うなよ。」

 

お友達『言わねぇよ……』

 

八幡「盗み聞きして悪かったな。そんなつもりは無かったんだが……」

 

お友達『いいって、あたしが話したくて話した事だからよ。それに先輩はあたしの過去は知ってても中身までは分かんねぇだろうしよ。』

 

八幡「……そうだな。」

 

お友達『はぁぁぁぁぁ~………なんかアレだな、コーヒー飲みたくね?いっつもカフェが飲んでる苦いヤツ。』

 

八幡「あぁ……俺もそんな気分だわ。いつもだったら絶対飲まないのに、今は無性に飲みたいわ。」

 

お友達『ヘヘヘ、甘いお菓子ばっか食ってんのにな!』

 

八幡「だな………」

 

 

お友達が初めて身の内を曝け出したのは、ある意味俺のせいだ。此処でするべき話じゃなかったな………それこそ、オーストラリアに着いてからでも良かった。

 

 

お友達『八幡よぉ、気にすんなよ。いずれ話すかもしれなかった事なんだしよ。それが今だったってだけだ、な?』

 

八幡「……今日は優しくしてくれるんだな?」

 

お友達『出血大サービスだっての。明日にはいつも通りに戻ってるよ。』

 

 

じゃあ、いつものキャラが戻らない内に寝るとするか。

 

 

 




お友達の走りの源には彼女達の力があったからなんですね。
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