八幡side
………まさかここまでの賑わいを見せるとはな、凄いな。
俺は今、メルボルンCが開催されるフレミントンレ-ス場に来ているのだが、数週間前に現地トレーニングをしに来た時とはえらい違いだ。しかも、このメルボルンC開催日の今日はメルボルンC・デーと呼ばれており、祝日扱いになっていて【The Race that stops a Nation】日本語に訳すと『国の動きを止めるレース』と呼ばれていて、この国の国民的行事となっている。なので、この日だけは国中の人達がこのレース場に集まるらしい。
カフェ「凄い、ですね……こんなに人が………」
ジャス『凄いでしょ~!この日だけは人がたくさん来るんだよ~!』
八幡『確かに凄いな……世界中のステイヤーが集まるだけでなく、南半球最大のレ-スなだけはあるな。』
そしていよいよ俺達はフレミントンレース場に足を踏み入れた。すると………
『あっ……ねぇアレって!』
『うん、日本最強の……』
『確か……【摩天楼の幻影】だよね?』
『青鹿毛の長髪がカッコ良いね~!』
八幡「……どうやらカフェの事も広まっているみたいだな。」
カフェ「私にはまだ聞き取れませんでしたが、イリュ-ジョンと聞こえました。」
八幡「正確には【illusion of skyscrapers】って言っていたな、日本語で【摩天楼の幻影】。大した名前が付けられたな。」
カフェ「そんなものまで……」
カフェからすればそうだろうな……だが良いと思っている、だってカッコ良いし。
???『失礼、少しいいかい?』
カフェ『?はい……』
???『君がマンハッタンカフェだね?私はヴィニーロー。アイルランドから来たんだ、今日はよろしく頼むよ。』
カフェ『マンハッタンカフェです……今回はよろしくお願いします。』
ヴィニーロー『日本最強の君と戦える事、とても楽しみだったんだ。それじゃあ、次はレース場で……』
???『ハァ~イ!あたしメディアパズル!2人共、今日はよろしくぅ~!』
ヴィニーロー『君か……アメリカのウマ娘には珍しい、芝の中長距離を走る今回の3番人気は。』
パズル『いやぁ~この前のレ-スで勝っただけなのに3番人気だなんてね~!でも嬉しいね、アイリッシュセントレジャーを連覇した君に覚えてもらえてるなんてね。』
ヴィニーロー『当然だよ、ライバルなんだから事前情報くらい調べるさ。それに、君の事もね……』
カフェ「………」
おぉ、メルボルンCの1~3番人気が勢揃いか。そのせいか、周りに人だかりが……
パズル『おっと、人が集まり過ぎちゃったね。挨拶も済んだ事だし、あたしは行くね!次はレ-ス場でね~♪』
ヴィニーロー『じゃあ私も行くよ。』
カフェ「………」
八幡「挨拶は済んだみたいだな。」
コーズ『レースに出るわけでもないのに、久しぶりに心が躍るようだ。』
タリアト『最後の追込でカフェに差されたからこそ、か?』
コーズ『……そうですね、最後にカフェに差された瞬間……久しぶりに追い抜かれるという感覚を味わいました。あの感覚は現役時代以来でしたよ。』
タリアト『そうか……お前に火をつける程の走りをしたか。なら今日の走りは期待出来そうだな、八幡。』
八幡「っ!はい。」
タリアト「今日のカフェのレース、期待出来そうだな。作戦はお前が出すんだ、せっかくの良い調子を潰してくれるなよ?」
八幡「はい。」
その後の俺達はフレミントンレ-ス場の控え室に向かってレ-スの準備を始めた。
ーーーパドックーーー
八幡「………」
ウォーカー『比企谷トレーナー。』
八幡『っ!どうも、ウォーカートレーナー。観戦ですか?』
ウォーカー『えぇ、今回自分の担当しているウマ娘は出走しませんので。少しでも応援をと思いましてね。』
八幡『わざわざありがとうございます。俺もやる気が出るものです。』
ウォ―カー『……比企谷トレーナーもその若さで世界のトレーナー達と渡り合うのは並々ならぬプレッシャーでしょう。ですが、我々に出来る事は担当ウマ娘の力を信じてやる事です。君なら大丈夫だと信じていますよ。』
八幡『……ありがとうございます、おかげで身体の強張った力が抜けました。』
ウォーカー『いえ、この1ヵ月半一緒にトレーニングを一緒にやってきたんです。このくらいの助言はさせてもらうよ。』
そうか……俺達が挑むレースは普通のレースとは違う、ドバイワールドカップミーティングやフランスの凱旋門賞ウィークエンド、アメリカのブリーダーズカップ、香港国際競走……世界中の最高のウマ娘が揃うレースだ。そのレースに俺とカフェは立っている、世界中の名ステイヤーが集まるこのレース……自覚が足りなかった。
八幡「………ふぅ。」
ウォーカー『?比企谷トレーナー?』
八幡『……すみません、ちょっとした自虐です。』
ウォーカー『?』
さて、この後はカフェのパドックでその後にはレースだ。その時にでも、俺の覚悟を伝えておかないとな。
八幡『すみません、失礼します。』
ウォーカー『………流石は貴女のお弟子さんだ。』
タリアト『ふっ、そう褒めるな。自分の自覚の無さを今自覚したばかりなんだ、知識はあってもまだまだだ。』
ウォーカー『手厳しいですね。』
タリアト『愛弟子だからな、どうしても甘さよりも厳しさが出てしまうというものだ。』
ウォーカー(ふふっ、そう言いながらも嬉しそうな顔をしておられる……お弟子さんの成長が嬉しいのは隠せていないみたいですよ。)
いよいよメルボルンC!!