八幡side
夏合宿に来て早1ヶ月。なんかすげぇあっという間に感じる。やはり普段こういう場所でトレーニングをしないからか、得られる物はかなり多い。そしてエアグルーヴは夏にはあまり強くない事が分かった。だから夏合宿は参加しても1ヶ月だな。まぁ今回は追い込みたいから全期間参加する事にするが、来年からは控えよう。
けど、こんなに暑い所に居ると去年の札幌を思い出す。ホント、北海道ってこっちと違って涼しいんだよなぁ………それによ、海の幸も美味かったんだよなぁ。後ラーメンも。まぁその話はまた今度するとして………エアグルーヴの今後としては、トライアルにはぶつけずにそのまま本番で行こうと思っている。理由としては、エアグルーヴの夏明けの力を見せつけてやるってのも1つだ。
後は夏明けの体力を戻す為に、レースの出走を制限させるという事だ。夏バテしてはいないが、あまり暑さに強くないようだから、9月にあるトライアルレースで体調でも崩されたら、桜花賞の二の舞になりかねない。まぁ大きい理由としてはこの2つだ。勿論エアグルーヴとも相談したし、この作戦で行こうと決めた結果だ。
八幡「……はぁ、やっぱりPC作業はやり辛い。手書きで済ませたいところだが、細かな内容はこっちの方が見やすいし保存も簡単だからな。背に腹は変えられない、か。さて、やる事も終わったし、そろそろ準備するか。」
ーーー宿舎・厨房ーーー
八幡「こんにちは〜、厨房借りに来ました。」
「おう、トレーナーさん!話は聞いてるぜ、奥の厨房が空いてっからそこ使いなっ!」
八幡「どうも。」
この1ヶ月、エアグルーヴは俺の考えたハードトレーニングを耐え切ったからな。俺も少しは労ってやらないとな。ほら、アレだ……部活終わりに先生が皆にアイスを買ってきてあげる的なアレだよ。そういうヤツ。
八幡「けどエアグルーヴってどのくらい食べるのか分からないんだよなぁ………普段アイツと食べるわけじゃねぇし、好みも知らないからなぁ。良いところの育ちっていうのは分かるが………まぁ取り敢えず買って来た食材で作れるだけ作ってみるか。それにメニューなんて決めてるし、考えんのも今更だよな。」
八幡「さぁ〜て、久々に本気出すかな。」
「……あのトレーナー、何する気なんでしょうね?」
「さぁな。まぁ少しは用心しとこう。」
「まぁ料理をする気なんでしょうけど、何だか不安ですね………」
八幡sideout
エアグルーヴside
「はぁ〜……今日もくたびれた〜。」
「ホントだね〜。早くご飯食べてお風呂入って明日に備えよ〜。」
ルドルフ「ふふふっ、夏合宿は盛況のようだ。皆有意義に過ごせているようで何よりだ。」
エアグルーヴ「はい。今のところ大きな事件もありませんから、全て順調のようです。」
ルドルフ「そうだな。さて、全員宿舎に戻ったようだから、我々も戻ろう。」
エアグルーヴ「はい、会長。」
ーーー数十分後・廊下ーーー
ルドルフ「施設の老朽化はやはり課題だな。点検をした上で見積もりを出してもらう事にしよう。」
エアグルーヴ「その際はご一緒します。」
ルドルフ「あぁ、頼むよ……ん?何やら騒がしいな。あそこは食堂だったね、どうしてあそこで皆が溜まっているのだろうね?」
エアグルーヴ「少し見てきます。」
一体何事だ?どうして中に入ろうとしないのだ?
エアグルーヴ「おい、どうした?此処で止まっていては後ろの者達が入れないではないか。」
ファイン「あっ、グルーヴさん!」
エアグルーヴ「むっ、ファインか。扉の前で一体何をしているのだ?」
ファイン「えっとね、グルーヴさんのトレーナーさんが厨房で料理をしているからさ、皆気になって見てるみたいなの。」
エアグルーヴ「何?」
アイツが料理?何の冗談だ?
エアグルーヴ「少し通させてもらうぞ。」
私は食堂の中へと入り厨房へと目を向けた。そこには私のトレーナーである比企谷が居た。それもいつもの気怠そうな表情ではなく、一点に集中していていつもより凛々しく見えた………っ!!あ、あくまでもいつもよりだ!!
エアグルーヴ「………」
八幡「………」
アイツ……料理が出来たのか?
八幡「……ん?おぉ、エアグルーヴ、来てたのか。悪いな、もう少し待っててくれ。もう少しで完成だ。」
エアグルーヴ「な、何?」
八幡「今日は俺がお前に晩飯作ってんだ。安心しろ、食えない食材は入れてないし、味も確認してる。」
エアグルーヴ「……頼んでいないのだが?」
八幡「この1ヶ月、俺の作ったハードトレーニングを休まず全てこなしたから、ちょっとした褒美だ。お前の食事量分からんから、ウマ娘の平均くらいには作ってある。」
エアグルーヴ「う、うむ………」
は、反応に困るぞこれは………私はどうしたら良いのだ?こんな風に奴から厚意を貰う事など今までに無かった。ひ、一先ず席に着こう。落ち着け、取り乱すな。いや、私は既に落ち着けている。何故なら………
オグリ「………」ダラ∼…
スペ「お、美味しそう………」ジュルリ…
あの大食いの2人の状況を見たら、誰でも自然と冷静になる。
ーーー数分後ーーー
誰も座らず、注文せずの状況が続いて数分。ガラガラと何かが通る音が聞こえて来た。しかも香りも近付いてくるように感じる。
八幡「ほい、お待ちどうさん。夏合宿限定、ご褒美ディナーだ。お前だけだぞ。」
エアグルーヴ「………」
「す、凄い……」
「美味しそう……」
「良い匂い〜!」
オグリ「た、食べたい……!」ジリジリ…
タマ「オグリアカン!アレはアカンて!アレはエアグルーヴのや!!」
スペ「あ、ああぁ〜!」テ ノバシ…
スズカ「スペちゃんダメよ!」
ブライアン「………」ギラギラッ!
ハヤヒデ「止せブライアン、お前のではないぞ!」
八幡「因みにお品書きを言うと、ビフテキ、アマダイのカルパッチョ、人参とジャガイモのチーズ焼き、海鮮シーザーサラダだ。ライスとパンはお好みで召し上がってくれ。物足りなかったら言ってくれ、1品ずつお代わりはあるから。じゃ、ごゆっくり。」
………おい、どうしてくれるのだ。こんな状況では落ち着いて食事が出来ないではないか!!皆の視線が集まっているのだぞ!!
八幡「あっ、それと……お前等、早くしないと時間無くなるぞ?エアグルーヴのディナーに目移りするのは分かるが、時間も気にしろよ〜。」
『っ!!!』
すると周りの生徒は一目散に夕食を取りに行った。取り敢えずは落ち着ける……
八幡「あっ、エアグルーヴ。もう充分だったら言ってくれ、デザートもあるから。」
なっ!?おい貴様、ようやく落ち着けたというのに!!それでは意味が無いではないか!!
マックイーン「デザートですの!!?」クワッ!!
ライアン「ち、違うよ!マックじゃないから!!」
ドーベル「落ち着いてマック!!」
八幡「お前じゃないからな、メジロパックイーン。」
八幡の急なご褒美に周りは騒然。そして予想通り、例のウマ娘達はすんごい目移りしてる………