エアグルーヴside
………今まで食事がこんなにも食べ辛い事があっただろうか?他の生徒もそれぞれ食事を取りに行ったのは良かったものの、それも束の間。自分の食事を用意している最中も私に目を向けているのだ。しかもより目を向けているのはあの3人だ。
オグリ「………」ジィ∼…
スペ「………」チラチラ…
ブライアン「………」ギラギラ
くぅ……何故私がこんな目に?いや、奴がこれを作ったからだろう。いや、文句を言いたいわけではない。私の為に作ってくれたのだからありがたく頂くが、食べ辛いのだ。
しかし冷めてしまっては折角の料理が勿体ない、早く頂くとしよう。先ずはこのチーズ焼きからだな。
エアグルーヴ「………っ!!」
う、美味い………チーズの風味と塩胡椒と合わさって程良い味になっている。それにより人参とジャガイモの甘味も際立つように仕上げられている。特にこの焦げだ!焦げも利用するとは………焼き過ぎてしまうと食材を無駄にしてしまうが、これはどうだ?最大限に生かしているではないか!
い、いや!まだ1品だ!次はシーザーサラダを頂こう。エビとサラダを合わせて………
エアグルーヴ「………っ!!」
こ、このサラダ、普通のソースではないぞ!トレセン学園が使っているシーザーサラダ用のソースでもここまでの味が出るソースはない!それにエビに絡めても味を損なっていないとはどういう事だ?っ!まさか………このタコとツナも?
エアグルーヴ「………」パクッ
………美味い。味が損なうどころか、特徴をさらに強調し合っているようにも感じる。一体どうやって………
次で前菜の最後だな、カルパッチョと言っていたな。今が旬のアマダイを使っているようだが………
エアグルーヴ「………これも美味い。」
オ・ス・ブ「っ!!」
これもさっき食べたシーザーサラダと同じだ。このドレッシングも今まで食べた事の無い風味をしている。それにタイも魚特有の臭みも無い。臭み抜きのスパイスを使ったのか?いや、それでは魚の味をここまで出すのは不可能だ。
エアグルーヴ「さて、メインだな。」
3人「………」ソワソワ
ルドルフ「随分と美味しそうじゃないか、トレーナー君の料理は。」
エアグルーヴ「っ!会長。すみません、先に頂いてしまって。冷ますのは勿体無いと思いましたので。」
ルドルフ「構わないよ。次はこの大きなビフテキのようだからね、香りもそうだが、見た目だけでも食欲をそそられるよ。」
エアグルーヴ「えぇ……では。」パクッ
皆、私の方を見ている。その自覚はある、私自身奴の作ったこの料理を高く評価している。だがこのビフテキには高評価を下せない。
エアグルーヴ「……何だ、これは?肉が溶ける?」
ルドルフ「溶ける?」
エアグルーヴ「は、はい。こんなに厚い肉なのにとても柔らかく、それでいてしっかりと噛めるのに溶けるようになくなるのです!一体どんな手品を?」
ルドルフ「それで、美味しいのかい?」
エアグルーヴ「はい、どの品も美味です!」
八幡「それは良かった、はぁ〜……緊張抜けた。味を見るのが終わったらどんどん食べて良いぞ、もう1品ずつはあるんだからな。」
エアグルーヴ「あ、あぁ……ありがたく頂く。」
私はトレーナーから作ってもらった料理を余す事無く全て食した。我ながらとても早いペースで完食したと思っている。だが不思議な事にもう1食あっても食べ切れる自信がある。
八幡「エアグルーヴ、お代わりはいるか?」
エアグルーヴ「っ……その、頼む。」
八幡「ふっ、分かった。今持ってく。」
ーーー数十分後ーーー
エアグルーヴ「ふぅ……満足だ。」
ルドルフ「とても美味しそうに食べていたね、羨ましいよ。私も1口欲しいと思ったくらいだ。」
エアグルーヴ「っ!?い、言って下されば差し上げましたっ!」
ルドルフ「だがそれは八幡君から君へのご褒美、なのだろう?それを奪ってしまっては悪いと思ってね。」
エアグルーヴ「………」
八幡「なら食うか?俺も自分用に作ってさっき味見しながら調理してたからな、量はそんなに無いけどよ。」
ルドルフ「そうなのかい?なら「トレーナー(さん)ッ!!!私(あたし)も欲しいっ!!(欲しいです!!)(食いたい!!)」あはは、私よりも食べたい生徒が居るようだ。」
八幡「みたいだな、まぁいい。少ないが持って来てやるよ。それとエアグルーヴ、デザートも持ってくるからな〜。」
マックイーン「デ、デザートッ!!」
八幡「だからお前じゃねぇって。」
ーーー数分後ーーー
八幡「ほれ、ビフテキ。よく味わって食えよ、もうそれ以外ねぇからな?」
ルドルフ「ありがとう、そうするよ。」
ブライアン「なんて厚い……美味そうだ。」
オグリ「一気に食べたいがそれはダメだ、絶対に。」
スペ「すっごく美味しそうだべ!!」
八幡「エアグルーヴにはコレな。」
私の前に置かれたのはチョコケーキだった。だが見ただけで分かる、普通のチョコケーキではない。
エアグルーヴ「ザッハトルテ、だな?」
八幡「やっぱり分かるよな、正解。」
マックイーン「あああぁぁぁ………」キラキラ
エアグルーヴ「……おい、1つ聞くぞ。」
八幡「ん?何だ?」
エアグルーヴ「この切り口からして、作ったのは1ホールだな?」
八幡「その通りだ。」
エアグルーヴ「……私に作ってくれた事には感謝している。それなのに申しわけ無いが、メジロマックイーンにも1切れ用意してやってはくれないだろうか?これでは食べにくい。」
八幡(パックイーンの奴、席移動してエアグルーヴの側にまで来てザッハトルテ見つめてるからな。いや、その気持ちはよく分かる。うん、大丈夫。)
八幡「……マックイーン、心優しい生徒会副会長に感謝しろよ?お前に1つプレゼントだ。」
マックイーン「あ、ありがとうございます!!」
エアグルーヴ「構わん。それにそんな目で見つめられたら、そうさせてしまうだろう。」
八幡「席に着いて待ってろ、用意する。」
ザッハトルテの味はとても美味だった。スポンジの味もジャムやコーティングされたチョコの味も全てだ。メジロマックイーンは1口食べた途端、涙を流していた程だ。
しかもだ、1ホールあると言っていた。そして奴は……
八幡「食いたい気分の時はトレーニング後に言え、食後に用意してやる。」
と言った。今晩の食事は奴に至れり尽くせりだった。
四天王の皆さん、食べれて良かったね。