ノリと勢いと昨今のブームへの便乗で書かれたブツです。
周回遅れなネタでやってたら盛大に出遅れました。
雑なクロスオーバーと悪ノリ、雑なネタの使用が苦手な方はご遠慮ください。

※この小説はらいとすたっふルール2015年改訂版に従って作成しております。
※この小説は、兵部省の小役人氏による「同盟上院議事録~あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争~」並びにその三次創作に続く四次創作となります。
ご了承ください。

また

Kuraisu氏
Kzhiro氏
山翁氏
の設定を一部お借りしています。
この場を借りてお礼申し上げます。

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第三回フリー・プラネッツ・カップ(G1) 芝2500m 18頭立て

全銀河の競馬ファンが注目する、真の銀河一決定戦。

選び抜かれた18頭によるレースが、遂に出走を迎えます。

銀河で最も強い馬はどの馬なのか。

 

ここ、ハイネセンポリス競馬場には50万人もの大観衆が詰めかけ、その歴史を目の当たりにしようと固唾を飲んで待っています。

 

それでは、出走馬の紹介です。

 

1番、ロードハイネセン、バーラト。【追い込み】

バーラトの無敗三冠馬が参戦。

秋のグエン杯でも勝利しておりますが、やはり他の馬の人気に押されて三番人気となっております。

走り方としては『長征にも例えられる』追い込み、が特徴です。

 

騎手はバーラトのエース、マサミ・タケ。最近ハイネセン語録を読みはじめました。

 

一番人気は2番、クイーンエリザベス、パレルメント。【先行】

あのパレルメント最強牝馬が参戦。

貴重な白毛の馬なのは細事であります。

同盟競馬で最も格の高いパレルメントのダービーステークスを牝馬でありながら制し、その『ついで』で牝馬三冠をもぎとった走り、皆注目しております。

 

騎手はクラリス・バーバリー。バーバリーの令嬢らしいとのことですが、何故バーバリーはこの時代にも存続しているのか。

 

3番、ロマンローマ、ガラティエ。【逃げ】

繋駕競争の本場たるガラティエから参戦。

これがないと本気がでないとのことで繋駕車をつけての出走です。

因みにこの馬はトロッターの一種であるガラティエブレッドですが、『二度と現れぬ程の』快速を誇る馬でもあります。

 

騎手はエミリア・ロイヒテンベルク。デルメルのロイヒテンベルク一族出身の漫画家です。

 

4番、キャメル、ムサンダム。【先行】

背中にこぶのある砂漠種の馬です。

主戦場はダートとのことですが、つい数ヵ月前に芝のレースも勝利しており、芝の適正もちゃんとあるものとみられます。

 

騎手はウマル・ムハンマド。全身真っ黒の服に身を包むナイスガイです。

 

二番人気は5番、カイザーマンフレト、アルレスハイム。【自在】

マンフレート2世杯を制した、当代最強馬とも名高い馬がバーラトに登場。

さながら銀河の主と言わんばかりの黒く引き締まった身体は、馬ではない猛獣を見てるかのように錯覚させます。

 

騎手はツー・ルンペンハイム。誰なのか。

 

6番、レッドシュリンプ、ヴァンフリート。【差し】

真っ赤なボディと六本脚に長い髭、そして大きなハサミが特徴の馬です。

本来ヴァンフリートでは競馬を行える環境にないとのことですが、何故かこの馬はすくすく育って他星系のG1を勝利したとのことです。

好物は隕鉄とのこと。

 

騎手はチィ・カワ。チャリ……チャルメラが好物とのことです。

 

7番、ゴールドトランプ、ティアマト。【追い込み】

さまざまな州でレースが行われるため、星間輸送の多いティアマトからの参戦です。

スタミナにものを言わせた走りが特徴の馬です。

最近だとゲートに入るのを拒絶しているそうですが、果たしてちゃんと走ってくれるのか。

 

騎手はロナウド・トランプ。これ以上の言及は出来ません。

 

8番、シンバシルドルフ、パランティア。【自在】

パランティアの無敗三冠馬がバーラトに初上陸。

名前のルドルフについて深く考えてはいけません。

かなり強い馬ですが、今回が初の遠征とのことで陣営には緊張が走っています。

前日の出走記念宴会が刺さったのでしょうか。

 

騎手はアリアノン・リーマン。彼もまた二日酔いとのことです。

 

9番、テンミンオー、大夏。【差し】

なんでか白と黒のコントラストが眩しい馬です。

近づくと何故かペンキの臭いがします。あと好物は笹ではなく生肉とのこと。

そして、何故か茶色い毛がぴょこんと複数個所に出ております。

 

騎手はウー・チャン。いたずらが大好きなようです。

 

10番、スワドグウオー、タケミナカタ。【差し】

土の匂いのする埴輪種の馬です。

タケミナカタのスワ一族の保有する馬だそうですが、走りについては優秀なそうです。

身体を触るとザラザラして、鞭で叩くと陶器のような音がするそうです。

 

騎手はスワ・カナコ。

……背の高い美少女……はい、恐らく美少女です。

 

11番、ギガアケボノ、ファイアザード。【先行】

本大会最重量の馬です。なんとその体重は1182㎏とのこと。

その質量から繰り出される圧巻の走りは期待が出来そうです。

また、『コンソメスープ』を飲ませてやる気満々とのことです。

 

騎手はノハラ53世。ファイアザードで最も恐れられる5歳児です。

 

12番、レヴォリューツィヤ、フォルセティ。【逃げ】

なんと珍しいフォルセティ産のサラブレッドです。

革命精神を引っ提げてこのレースに革命をもたらしたい、とのことですが16番人気です。

 

騎手はヨシフ・ブハーリン。TSL党員です。目指せ競馬の大衆化。

 

13番、マインカイザー、デルメル。【差し】

一応デルメル産の馬とのことですが、これとよく似た馬が帝国二冠を達成しています。

他馬の空似である、とデルメル政府は発表しており、この馬は『オリュンポス・カンパニー所属』とのことです。

 

騎手はエルンスト・マイヤー。これまた先の帝国二冠馬の騎手そっくりです。

なんでこいつら出れたのか。

 

14番、キングベルティア、エル・ファシル。【先行】

キングと名がついていますが牝馬です。

故郷エル・ファシルではG1を獲得している、まごうことなき名馬です。

人気こそ低いですが、その実力は間違いなくこの場に立てるだけあって全銀河級でしょう。

 

騎手はモードレット・ビョークルンド。性別不明です。

 

15番、シープエレクトロ、アスターテ。【先行】

ピカピカ光る赤い目とモフモフのポリエステルのような体毛、叩くとカンカンなる角が特徴の馬です。

アスターテの過酷な船団生活に適応したこの馬は、どれだけこのレースについていけるのでしょうか。

 

騎手はヨーゼフ・ペーター。アスターテ本土に居た頃は羊飼いだったそうです。

 

16番、トツキカクメイ、ヴァラーハ。【逃げ】

カイザーマンフレトとマインカイザーを絶対に勝たせないための調教をしてきた馬です。

馬主は「もう一度アルレスハイムをただの共和国にしてやる」が口癖とのことです。

尚、彼とこの馬自体は帝国系です。

にしてもこの名は大丈夫なのか?

 

騎手はヴィルヘルム・マグデブルグ。これまた帝国系です。

 

17番、ローゼンリッター、バーラト。【追い込み】

今まで一度もG1を勝利したことがないという謎のハリボテ種の馬です。

何故かこの馬が出走するとき薔薇の騎士のシェーンコップ氏が休暇を取っているとのことです。

黒いボディはカンカン鳴り、女性ファンがどういうわけかとても多いです。

 

騎手はあの『魔術師』ヤン・ウェンリー。友人の依頼でやってるそうです。

 

18番、メカローゼン、全地啓典。【追い込み】

ローゼンリッターに対抗して全地啓典民国が送り出した最強のハリボテ種。

彼らがこちらに逃れる際に持ちだしたデータと20億ディナールをつぎ込み造られました。

打倒ローゼンリッターを掲げ、この馬は全力で走るとのことです。

 

騎手はレオン・ジャムシード。聖ジャムシードとは同姓なだけ、とのことです。

 

 

 

 

【閑話休題】

 

 

 

ぱーぱぱぱーぱぱぱー!!!

ぱぱぱぱー!!!(ぱぱぱぱー!!!)ぱぱぱぱー!!!!(ぱぱぱぱー!!!)

ぱーぱぱーぱーぱーぱーぱーぱー!!!!ぱぱぱぱー!!

 

 

晴れ渡るハイネセンポリス競馬場。

湿度という概念を振り切った良馬場です。

 

銀河一強い馬を決める、文字通り銀河一の頂上決戦。

選び抜かれた18頭は皆やる気に……おっと、シンバシルドルフ嘔吐しています。二日酔いでしょうか。

 

ですが、体調に問題はない、問題はないとのことです。

 

えー、実況は私ジュンイチ・モギ、「解説は私ネビル・シュートでお送りいたします。」

 

一番人気はパレルメント最強牝馬クイーンエリザベス、二番人気はアルレスハイム最強馬カイザーマンフレト、三番人気は我らがバーラトの誇りロードハイネセンです。

 

 

全馬ゲートイン。

 

体勢完了。

 

 

パンッ!

 

 

各馬一斉にスタート。

まず飛び出したのは12番レヴォリューツィヤ、それに続いて3番ロマンローマ。

その横16番トツキカクメイ、そこから一馬身離れて2番クイーンエリザベス、半馬身後ろに14番キングベルティア。

そのすぐ後ろには15番シープエレクトロと4番キャメル、少し離れて9番テンミンオーと10番スワドグウオー、6番レッドシュリンプ並んでいます。

 

「この5頭は皆個性的ですね、レッドシュリンプは少し掛かり気味です。これがレース展開にどのような影響を与えるかは未知数ですが」

 

少し離れて流れを伺うのは二番人気の5番カイザーマンフレトと13番マインカイザー、奇しくもどちらも黒い馬です。

 

その後ろにはハイネセンの誇り1番ロードハイネセン。

出遅れたのか11番ギガアケボノはその後ろについています。

 

「ギガアケボノの目が血走っています。何か嫌な予感がしますね」

 

その後ろを駆けるのは17番ローゼンリッターと18番メカローゼン。

 

おっと、二頭の姿が見えませんね。

 

あー、7番ゴールドトランプ、芝を齧っています。

そしてシンバシルドルフは……

 

「完全にダメですね、飲み過ぎです」

 

シンバシルドルフリタイア!

足に異常はないとはいえ、無念のリタイア!急患です!

 

\ふざけんなー!/\金返せー!/\ワハハ、こいつの負けで酒が飲めるぞ!/

 

おっと、先頭に戻りましたがなんとここでレヴォリューツィヤ、ロマンローマはおろか他馬に抜かされてます!

 

「逃げきりを目指したのでしょうがここは銀河最強決定戦、地元のG1のノリでは勝てませんからね。陣営は堅実な策をとるべきでした」

 

 

さて先頭は依然ロマンローマ、その後ろにトツキカクメイとクイーンエリザベス、シープエレクトロがキングベルティアを抜いて四番手に躍り出ています。

シープエレクトロに続いてキングベルティア、キャメル、レヴォリューツィヤとなっております。

 

「綺麗に逆噴射してしまったレヴォリューツィヤ、これではもう勝つことは無理でしょう」

 

その後ろ、ギガアケボノ、カイザーマンフレト、マインカイザー、スワドグウオー、テンミンオー、レッドシュリンプ、ロードハイネセン、ローゼンリッター、メカローゼンと並んでいます。

 

おーっとようやく7番ゴールドトランプが走り出しました!

 

「彼の脚質であればここからでも充分入着は可能です。展開がわからなくなってきました」

 

 

さて第四コーナーカーブ、ロマンローマは繋駕車をドリフトさせることで難なく曲がり……

おっとシープエレクトロ、転倒して爆発!火の粉が舞っている!

 

「どうやら曲がりきれず転倒、その際に回路が接触して出火したようですね、機械仕掛けの悲劇です」

 

さて他の馬も難なく曲がりきり駆けていきます。

そしてここで攻めてきたのはギガアケボノ!1トン超えの巨体で壁となっている!

 

「『コンソメスープ』でスタミナも長距離向けとなった彼に勝てるものは少ないでしょう。それこそロードハイネセン、クイーンエリザベス、カイザーマンフレトといった上位陣でもなければ厳しいでしょうね」

 

が、騎手のノハラ53世、尻でジャグリングしている!

 

「余裕そうですね、これはもしかしたらいけるやもしれませんが、スパートをかけるのが早すぎる気もします」

 

と思ったら後方に戻りまして、ここでテンミンオーがスワドグウオーに嚙みつきました!

 

が、おおっと!あえなく撃沈!リタイアです!

 

「いくらなんでもあの身体に噛みつくのは駄目でしたね。口から出血しているのを見る限り、歯が折れているかもしれません」

 

そして今度はレッドシュリンプのハサミが閉じてます!これはどういうことでしょう!?

 

「レッドシュリンプの大技が飛ぶでしょう。きっと相手はスワドグウオーとなることでしょうし、もしかしたらテンミンオーの敵討ちでしょうか」

 

そしてここで炸裂シュリンプパンチ!身体の破片が舞っている!

スワドグウオーが部位破壊された!大幅に失速しています!これはダメそうです!

 

「ですが、レッドシュリンプ側も両ハサミが傷ついています。打ててあと一発、それを誰に打つかでレースが大きく変わります」

 

さて、先頭ロマンローマは騎手のエミリアがイーゼルとキャンバスで何か描いている!

その後ろではギガアケボノがその巨体で壁となって妨害中!

そして三番手はクイーンエリザベス、堅実で真面目だ!

その後ろにトツキカクメイ、掲げる旗はプロパガンダ。

そして後ろはキングベルティア、カイザーマンフレト、マインカイザー、レッドシュリンプ、キャメル、レヴォリューツィヤ、ロードハイネセン、ローゼンリッター、ゴールドトランプ、メカローゼン。

 

「ゴールドトランプ、もう追い付いてきました。流石銀河有数の良血ですね」

 

さて、第一コーナーから第二コーナーに入っていきます。

皆次々と曲がって……

 

おーっと!ここでローゼンリッター転倒!メカローゼンも転倒!魔術師ヤンが倒れている!

そしてしれっとゴールドトランプ舌を出して挑発している!

 

「ゴールドトランプは賢い馬ですからね。脱落馬が既に三頭出ているこのレース、ここで更に脱落者が増えることを喜んでいます」

 

そしてここでギガアケボノの真後ろにレッドシュリンプがついております!

それを察知し引き離そうとするギガアケボノ!だがここで前に出てた弊害、前のロマンローマの繋駕車に阻まれて抜け出せない!

 

「完全に罠でしたね。まさかロマンローマの体力がここまで続くとは思ってなかったのでしょう。そして、皆これを察してかレッドシュリンプの道を開けていますからね。

レッドシュリンプはさして体力を使わずここまで来れました。つまり、最高のパワーを叩き込める状況にあります」

 

そしてレッドシュリンプのシュリンプパンチがギガアケボノの尻に命中!巨体を吹っ飛ばす!

ギガアケボノが空を飛び、騎手はおしりを出している!一等賞!

そして観客席に不時着!ここでリタイア!そしてこれより再度の薬物検査が予定されるとのことです!

 

そして英雄レッドシュリンプ、力を使い果たしたのか次々と抜かれていく!

役目は果たした、ゆっくり休め!

 

「そして始まる熾烈なデッドヒート、FPC(フリー・プラネッツ・カップ)らしい脱落具合と混沌とした内容。楽しくなってきましたね」

 

さてここハイネセン像を抜けて四コーナーへ。

ハイネセンポリスの直線は全レース場最長クラス!果たしてここからどうなるか!

 

ロマンローマ未だ逃げている!

とここで迫る影が二つ!

 

ロードハイネセンとゴールドトランプだ!

 

「その後ろにはローゼンリッターとメカローゼンもいますね。よくまあここまで2頭とも残ったものです」

 

おおっとここでメカローゼンが変形した!?何やらロケットが火を吹いているぞ!

 

「例のスコットランド民謡が流れ出しましたね。正直こうなるとメカローゼンの勝利は絶望的です。18番を買った人は泣いてください」

 

\なんて?/

 

 

そして先頭はやけくそで絵をばらまきながら失速していくロマンローマを追い抜いて、クイーンエリザベス、カイザーマンフレト、ロードハイネセン、ゴールドトランプ、マインカイザーの激しい競り合いです!

 

「どの馬も史上類を見ない名馬、どれが勝ってもおかしくない名レースです」

 

と、ここで大外ぶち抜いて上がってくるローゼンリッター!いつの間にかヤンからシェーンコップに交代している!

 

「因みに銀河競馬ルール第32条において騎手の途中交代は停止していない限り認められています。第1条の頭部を破壊された馬は失格となるに対し、騎手の頭を破壊することでレースを継続する場合に備え設けられたルールです。因みにこの2つの項目は競馬の復活に際し似た物とされたP1グランプリより引用されています」

 

そして六頭団子状態!誰が勝ってもおかしくない、まさしく銀河一を決める最高のレースです!

 

「……クイーンエリザベスの様子がなにかおかしいですね、紅茶の静脈注射でもしていたのでしょうか」

 

残り400メートル!

キングベルティアとレヴォリューツィヤはハイペースすぎるレースのせいでバテている!キャメルはハイネセンポリスの芝が適正にあっていない!

そしてメカローゼン遂に後ろ足が折れた!最後に自爆を目論んでいる!

 

そして、クイーンエリザベスが前に出た!マインカイザーもそれに続く!このままこの二頭が他よりぐんぐん前に出る!

ロードハイネセン、ここで三度目の敗北を喫するのか!?

カイザーマンフレトもここで終わってしまうのか!

 

「まだクイーンエリザベスの勝利だとは決まっていません。勝利の女神が誰にキスをしているのか、それはあと数十秒で決まるのですよ、モギさん」

 

わかっています。

 

残り200メートル!

おおっとここでロードハイネセン、何かをして……跳んだ!?

 

その脚力で空を駆けるが如く、空気を蹴って加速している!

進む、進む、ロードハイネセン!

さながら長征一万光年の如く!

 

先頭クイーンエリザベスとの差はどんどん縮んでいく!

最後方メカローゼン自爆!部品が飛んでいる!

一瞬謎の飛翔物が飛んできたその後にもつれあうように二頭同時にゴール!

 

少し遅れてマインカイザー入ってきた!

 

 

 

えー、しばらくお待ちください。どちらが先にゴールしたのかビデオ判定です。

 

……これは……

 

えー、現在ルールの確認が行われております。もう少しお待ちください。

 

えー、一着と目されていたメカローゼンですが、ルール第35条の『首が分離する馬は首がゴールしてから肩がゴールするまでの時間を計測し、それが10秒以上離れていた場合失格となる』に、胴体破損という形で違反しております。

 

故にメカローゼンは出走取消処分となり、一着はロードハイネセン、二着はクイーンエリザベス、三着はマインカイザー、四着はカイザーマンフレト、五着はローゼンリッターとなります。

 

それではまた次のレースで会いましょう。

 

――――――

 

――――

 

――

 

時は同時刻、ミハイロフのスタンド。

そこは、数千ディナール"だった"馬券を握り潰す者、三連単を当てて喜ぶ者、シンバシルドルフに賭けた結果即座にやけ酒に移行した者――兎に角、様々な者で溢れていた。

 

その中に如何にも品のありそうな老人も混じっていた。

この場に居るものは、まさか彼がピュコック提督だとは想像だにしなかっただろうが。

 

「……ロードハイネセン、勝ったか」

 

そう言いながらピュコックは白身魚のフライを口に入れる。

彼は、追い込みという豪快な勝ち方をするロードハイネセンが無敗三冠を達成するまで賭け続けていたし、秋のグエン杯にも賭けて勝っていた。

尤も、これら全てにおいてロードハイネセンは一番人気であったが。

 

故に、フリー・プラネッツ・カップで三番人気となったことに愕然としたことも、銀河最強の馬が彼となったことも喜んでいた。

 

「……そう、か。ロードハイネセンが……」

 

が、その言葉に現実感はない。現役最強牝馬を破り、当代最強馬を沈め、異色の名馬を撫で斬りにしたというのは些か現実感のない出来事であり、夢遊病のようであった。

 

だが、彼はゆっくり現実を咀嚼し、それを飲み込んだ。

 

「馬券を、引き換えるとしよう」

 

そう言い残し、彼は店を後にする。

 

 

翌日、自宅の玄関で動けなくなっているヤンがユリアン少年に発見され病院に搬送、理由が重度の筋肉痛と判明するのはまた別のお話。




ノリと勢いで書きました。後悔はしていない。


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