ない。何度確認しても、桃井朱莉の文字はなかった。
「落選、しちゃったんだ……」
この大会はアマチュア限定とは言え、大人が、しかも複数人で制作しているものがたくさん審査にかけられている。
その中で高校生が、しかも個人制作のゲームが一次審査を突破したということは結構すごいことなんだろう。でも、
「悔しいっ……! 今回は大人がいるから、プログラミングに時間費やしたのに……。 あ! フィードバック来てるよね、一次審査は通過したし。見てみようかな」
メールボックスにフィードバックのメールが来ていた。私は恐る恐るマウスを動かす。
「高校生の個人制作なのにすごいと思いました。だけど、サウンドが疎かになっている気がしました。」
そんなこと言っていただけて光栄です、サウンドはやっぱり自分でも出来が悪かったと感じています。時間が足りませんでした。
「プログラミングの技術はトップクラスでしたが、娯楽としての面白さを問われると少し評価が下がりました。」
プログラミングは小さい頃からしてきたので自信があります。娯楽しての面白さ……考えたことありませんでした。システムが悪かったのかな?
「バグも見当たらなかったし、プログラミングは頑張ったんだね。けれど、他の所を疎かにしてしまうのはいただけないな。」
プログラミングは頑張りました。他の所は……時間が足りませんでした。
色んな人からの講評を見て見つけた私の課題点。それはやっぱり、
「時間、だよね〜。それか、仲間を増やすか」
時間はこれ以上増やしたら、睡眠時間がほぼなくなってしまう。それに、学業に影響は出したくないし……。一番手っ取り早いのは仲間を探すことだと思う。
「報酬は山分け。あと、気兼ねなく喋れる同い年くらいの人がいいな……。贅沢は言ってらんないけど」
「ひとまず仲間を探さなきゃ。あ! もう朝礼始まるじゃん! 今日、何も作業できてないよ〜……。」
次の大会が二ヶ月後に迫ってる今、一日分でも遅れたらブラッシュアップに時間がかけられなくなってしまう。課題の通り、私には時間がない。
「うーん……一限目、仕方ないけどサボろうかな。本当はしたくないけど……まぁ、いいや。腹に背は変えられないし」
私、いつもはサボるなんてことはしないんだけど、朝にノルマが達成できなかった時とか大会前はたまにサボったりする。不可抗力ってやつかな。
ついでに仲間候補も一限目に考えちゃおうかな? いや、作業は作業に集中して二限目以降に考えよう。
あと五分で朝礼だ、早くサボるための荷物をまとめよう。場所は……屋上でいいや。
早く、放課後にならないかな。
放課後。帰宅部の私はとぼとぼと帰路についていた。
「仲間って言ったって、そう簡単には見つからないよね〜……」
はぁ、とため息を吐く。
その時、見覚えのある顔とすれ違った、ような気がした。
気のせいかと通りすぎようとした瞬間、声が掛けられた。
「……もしかして、朱莉?」